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シナリオ教本がひとつも読めなかった私を導いてくれた記事

10年以上シナリオの仕事をしていると、「シナリオってどうやって作ってるんですか?」という質問を少なからずもらったりする。
だが、タイトルにも書いた通り、私はシナリオ教本を読む……という勉強法がとんでもなく苦手で、SAVE THE CATをはじめとしたシナリオ教本も、何度も買っては積ん読タワーとしてオブジェにしてきた。

正直、シナリオ教本って「自分にハマるかどうか」は運だ。
しかも、ハマる確率は、SSRカードの排出率くらい低い。

そんな中で、構成に悩める私を救ってくれた記事がある。
これだ。

シナリオの設計図――良質なシナリオを、より早く構築するヒント
江本あやえもん
https://ayaemo.skr.jp/pdf/scenario_hint.pdf

私とお仕事をしたことがある方はよく知っていると思うが、ほぼ私のシナリオの書き方は、この「江本あやえもん」さんのシナリオ設計に沿っている。

短編はテーマからトップダウンで発想し、ボトムアップでシーンをつなぐことはほぼしない。
ボトムアップで複数のシーンを作ってつなげると、どうしても途中で無理が出て、「作り手側の都合」がシナリオに現れてしまう気がするからだ。

とはいえ、あまり調子が良くない時……どうしてもテーマから構成を組めない時もあって、そういう時はどうしてもシーンをつなぐボトムアップの形でシナリオができてしまったりもする。

そういう時、私は「ああ、これはちょっと調子が悪いサインだな」と自分の疲れやアウトプット力の低下を認識していた。
別に、ボトムアップ式の発想が必ずしも悪ではないのだけれど、とてつもない分量をものすごいスピードで仕上げないといけない女性向け恋愛ゲームの世界で、私に合った発想法はトップダウンのアプローチ方法一択だったのだ。

この記事のすごいところは、シナリオの設計方法からメタファーの使い方などの細かいところまで、比較的わかりやすい言葉で、しかも無料で公開しているところだ。
マジでわかりやすい。
図とか入っているのが大変にありがたく、私はノートにこの図を書きながら、自分の今書いているシナリオと照らし合わせて、勉強をするなどもしていた。

「今、私が出来なくなっているところはどこだろう」「こういう時、どうしたらいい?」

今も、書いているシナリオの面白さが分からなくなると、今自分がどちらの発想法に頼っているのかに立ち返る。
「トップダウン」と「ボトムアップ」
私にとってこの二つのワードは、自分の現在地を知るための、魔法のワードなのだ。

シナリオは、どれだけ理論的に考えようとしても、どうしたって書いている最中に迷い、道を逸れ、思い通りに行かなくなるものだと個人的には思っている。

自力で抜けだせる猛者もいるだろう。でも、やっぱり迷っている時間というのは苦しい。そういう時に助けてくれるのが「教本」というお守りだ。

もし、今シナリオを書いていて何が正しいかわからなくなっている人がいたら、ぜひ、このあやえもんさんの記事を読んでほしいなと思う。

シナリオの設計図――良質なシナリオを、より早く構築するヒント
江本あやえもん
https://ayaemo.skr.jp/pdf/scenario_hint.pdf

そして、今は更新が終わってしまったページではあるのだけれど、
江本あやえもんさん。10年前の迷える私を救ってくれてありがとう。
私は、あなたのこの記事のおかげで今も書く仕事を続けられています。

すごくいい資料だったから、これからもたくさんの人に読まれるといいなと思って、お礼とともにアップ。
このお守りを使って、また私のように楽しくシナリオに向かいあえる人が増えますように。

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菊衣千花
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