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歴史として、芸術として、はにわとして、3周見た展覧会 はにわと土偶の近代展(東京国立近代美術館)
東京国立近代美術館のはにわと土偶の近代展を見てきた。
はにわが戦前、戦後においてどのように受け止められ、どのように描かれてきたかを紹介していた。
純朴な姿が昔から描かれていたところから、戦時中はその純朴な姿でありながら鎧と刀を纏った姿から、軍人の模範として描かれたこともあった。加えて、日本の皇族、王族が日本固有のものであることを示すシンボルとしても発掘され、描かれていたという面も知ることができた。
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戦後は一転して、日本人の歴史を神話ではなく、事実や考古学に基づいて語るために、はにわが登場した。その後は近代、現代の視点から再解釈されたはにわの作品が紹介されて、現代のカルチャーにまで登場している(私の中では、はにわが出てくる作品というと、どうぶつの森が印象深くて、文字でだけだけど紹介されていた。)ことをみて、長い時代を見つめてきたことを確認して展覧会を締めくくっていた。
私は展覧会を一通り見た後、だいたいもう一回入り口からざっと見直しに戻るんだけど、今回は3回くらいぐるぐるした。その理由は、それぞれ違う観点で作品全体を見たいと思ったから。
1周目は最初に説明したようなはにわを巡る歴史の流れをメインに見ていった。はにわそのものは変わらないはずだけど、社会情勢によって描かれ方が変わってくるのは面白かった。今でいう国民的キャラクターともいえる存在だったのかもしれない。
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2周目はシンプルに作品をフラットな気持ちで眺めた。基本的に単色であり、そのままでも展示されるものを作品にするという独特の対象が、これまでどういう手法や展示方法で見られてきたかを知ることができた。
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3周目ははにわに注目して鑑賞した。というのも金曜日にも東京国立博物館でたくさんはにわを見たので、違いがわかるようになったという面もあれば、はにわに見慣れすぎて細かいところに目がいかなくなっているような気がしたので、はにわを改めて注目してみることにした。今日まで続く美術の歴史から繋がっていない、あらゆることを推測するしかない存在の特別さ、不思議さを楽しんで見た。
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当時の見られ方や表現のされ方は文章や資料とともに紹介していたので、展示のような面があったことは間違いないけど、当時の人の多くがはにわと戦争や軍人を結びつけていたりしていたかというとよくわからないところもあった。そうした一人一人の声を歴史から見て振り返るためにも、紙なりデジタルなりに自分なりの感想や雰囲気などを残しておくのは大事かなと思ったりもした。
まあそんなところで。それでは。