『STONER』を読んで
数年前に買って忘れていたジョン・ウィリアムズの小説『STONER』を読み終えた。ウィリアム・ストーナーという男の静かな一生を描いた小説である。
この作品では、農家の出であるストーナーがふと英文学への適性を見出され大学人になり、家庭や仕事での挫折を味わい、束の間の後ろめたい幸福にも与り、やがて不可避の衰弱に飲み込まれるという誰しもが味わいうるような人生が描写されている。
だからこそその結末、人間誰もが避けられない運命に向かって淡々と進んでいく語り口には言いようのない普遍的な悲し