キクチ・シン

ビジネスデザインやラーニングデザインを手がける人。ライフワークは #プラネタリーグッド…

キクチ・シン

ビジネスデザインやラーニングデザインを手がける人。ライフワークは #プラネタリーグッド な社会づくり。農畜水産、食料、生物資源分野が専門。慶應SFC研究所 上席所員/農林水産省生物多様性戦略 検討委員など。いきものカンパニーなど2社の代表。グッドデザイン金賞など。

マガジン

  • インキュベーター語録

  • いきものと生きる、ひと。

    生物・生態系・資源と繫がる、これからの人の暮らし・ビジネスの在り方を考えています。いきものCo.代表としての備忘録もかねて。

  • Food5.0 (食の未来像)

    Food5.0はキクチの造語。これから訪れる、食べ物や食べることの「未来」を描き出しながら、日々の気付きを書き留めていきます。動植物の進化、人類の歴史・文化、文明・テクノロジーなどにも幅広く触れていきます。

最近の記事

ラグジュアリー投資の意味するところ

日本は美しい、優しい、美味しい…と自画自賛したくなるのだけど、インバウンドがここまで盛り上がっているのは、その魅力以上に、やはり為替(円安)の影響が大きい。日本がこの千載一遇のチャンスをモノにする準備ができていたかというと、そうでもない。慌てて進めてるガイコクジン観光施策や、ヤスモノを場当たり的に値上げするような事業者だらけで、訪日客をガッカリさせてもいるのだろう。 ザンネンの典型が、京都あたりに国内資本が建てている(お値段だけ)高級ホテル。はっきり言ってヒドイの一言。「サ

    • 『進化思考』批判を読み解く。〜備忘録として〜

      『進化思考』という本について、「日本デザイン学会」にて提起された批判と、それを受けて、ある生態学者?(研究者)さんがブログにて指摘したことをシェアしておきます。他のSNSなどでも話題なので、既にご存知の方もいらっしゃるかと思います。 フォロワーさんの中には、この『進化思考』や、その著者の関係者・信奉者の方(ファンやコミュニティメンバーの方)もいらっしゃるので、気分良くないかもしれませんが、一つの考え方として記録しておきます。 「日本デザイン学会における『進化思考』批判」

      • 誤解されているCSAと、農業のこれから。

        CSAが誤解されている。 CSAは、ただの先払いでもないし、ただ天候不順や収穫不良を許容する仕組みではない(先払いした代金を返さなくて良い話ではない)。それでは購入者に一方的にリスクを背負わせているだけで、リスクを"分担"することになっていない。こういう誤解やすれ違いをそのままにしておくと、一時期横行した牛肉ファンドや蛸壺オーナー制度のような詐欺にも繋がる。 近年のCSAは、購入者側は先払い・予約購入をするが、厳格な納期や量、規格を求めない、というくらいの「委託生産契約」ま

        • 「パーパス」の取説 〜ここがヘンだよ、パーパス経営。〜

          そもそも、何らかの目的や存在意義(パーパスとか)があって集団・組織が構成されているのだから、その目的や存在意義を理解・共感していなければ、そこに所属しない方が良いのよね。強制されているわけでもないし、自分でどこに所属するかは選ぶことができるんだから。 ただ、そもそも存在意義が定まっていない集団や、謳っている存在意義とやっていることが違う集団が、実は大半。そこは中長期的には避けた方が良いのだろう。 一方、集団を運営し、社会に影響(インパクト)を与えていこうという責任・役割を

        ラグジュアリー投資の意味するところ

        マガジン

        • インキュベーター語録
          9本
        • いきものと生きる、ひと。
          9本
        • Food5.0 (食の未来像)
          8本

        記事

          世界は、社会は、国は、みたいな”大きな主語”で語れる気がしないのだ。

          SNSなどを通じて多くの写真や情報を目にしても、戦争について簡単に怒りや悲しみを表現するに至らないでいる。どうしても想像してしまう。住んでいる街に戦車や爆発物が飛び交う光景や、自分の大切な人を失うことを。もしそうなったら、怒りや悲しみ以上に茫然としてしまうだろうから。 だから今、非難や批判、デモやボイコット、寄附などの言動や姿勢を持てないでいる。いち早くそういう共感的な発言や振る舞いを示すことが"社会的に"正しいと評されることなのだろうけど。 僕は現実を何も知らない。

          世界は、社会は、国は、みたいな”大きな主語”で語れる気がしないのだ。

          【メモ】ビジョンやパーパスを文化として浸透させたい企業の実務的課題

          ビジョンやミッション、パーパスなどの言葉は定めたものの、なかなか浸透しない、という話をよく聞く。(なにもこれに限らず、会社が決めても社内には定着しないことの方が多いのだが) 話を聞いたり、実際に一緒に仕事しながら見えてきたことは、以下の9項目。 ①そもそも社内で知られてすらいないか、その意味や解釈を話し合っておらず、共有されていない/バラバラの理解になっている。 ②経営や日常業務において、判断基準に使われていない、意思決定の拠り所になっていない(プロトコル=共通言語にな

          【メモ】ビジョンやパーパスを文化として浸透させたい企業の実務的課題

          デフレなのは「未来から資源を奪っているから」という話。

          長らく続くデフレの原因が、環境問題や非持続的な経済活動にある、という考え方は、一理あるように僕には聞こえた。 要約すると、今は、未来から資源を先獲りして、常にモノの供給過剰状態を作り出している。だからデフレのまま。 反対にインフレは、モノがない・買えない状態が起きること。だから、資源が逼迫するか規制されるにつれ、社会はインフレに振れていくだろう(しかも急速に)という指摘。 ウッドショックや飼肥料の高騰なんて序章に過ぎなくて、これからもたびたび起きることだ。 特定の資源

          デフレなのは「未来から資源を奪っているから」という話。

          ビジネスデザイン論: 「VISIONが大事」の意味を"分解"しよう。

          今日は、会社のVisionがまだ、唱えてるだけの概念になってしまっていて(勿体ない)、手がける事業とうまく紐付いていないスタートアップとの相談。 ビジョンは「自分達が作りたい未来に、実際に行って来たみたいに鮮やかに語ること、その具体的な景色」のことだから。本来は映像化してでも伝える・共有するべきもの。キャッチコピーみたいなフワフワしたワードでは、たぶん本人達も"視えていない"はず。むちゃくちゃ解像度を上げないと。 ★誰が、何を思い、どう行動している社会にしたいのかを具体的

          ビジネスデザイン論: 「VISIONが大事」の意味を"分解"しよう。

          自然科学と、無神論と。サステナブルなモノゴトの捉え方。

          僕は積極的無神論者、だそうです。「背景は様々あれど、神も法も、人間が社会秩序の為に一生懸命考えて生み出した概念や規範でしょ」と言い切ってしまう時点で、そのようなのです。 天国、輪廻転生、運命…全部そう。それら人が作った概念がいつの間にか、人間を超越した存在として支配的になったり、人間自体を生み出したかのように逆転した形で語られ始めると、ゾッとする(拒絶反応がある)側です。 確かに、自然現象などは人の理解や対応力を大きく超えているため、それを擬人化するなりして畏怖・警戒するこ

          自然科学と、無神論と。サステナブルなモノゴトの捉え方。

          自分がタイヘンな時にこそ、周りの人の性質が見えてくる、という話。

          いつものブログとは違う話題だけど。 これは、僕の先輩・アドバイザーにあたる方が、調子が悪かった時の僕に言ってくれた話です。なので今度は、僕から"あなた"に対して伝えます。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 あなたがとっても調子が悪い時には、そういう"どうしようもない"事情を想像・考慮してくれたり、労ってくれたりする人達が沢山いる。 反面、あなたがとっても調子が悪いことを伝えてもなお、しつこく自分の用件を自分のペースで投げつけ続けてくる人もいる。しつこく、連絡よこせとか。残念ながら家

          自分がタイヘンな時にこそ、周りの人の性質が見えてくる、という話。

          主語は「地域」ではなく「若者」だ、という話(※やや長い。)

          うーん、やっぱりさ…やりがい、学び、成長、生活力向上あたりを掲げて、その実、若者をタダ働きさせたり、たらい回しにしたりするやり方はイヤなんだ。キライと言っても良い。悪意の有る無しに関わらず、結果として搾取になってしまってる。 企業が、学生や新卒、入社数年目の若者に対して「君らは若くて経験不足だし、面倒見て育ててあげてるんだから給与はないよ?」「ローテーションさせるけど、行く先々ではまたゼロスタートだからね?」…って言って給与払わなかったらヤバいよね?クロいよね?地方や農林水

          主語は「地域」ではなく「若者」だ、という話(※やや長い。)

          知の探索: 何かを「辞めた人」と向き合うこと。

          2021年に入り、人生の転機を迎えた連絡をもらったり、人づてに耳にしたりすることが増えた。その大半が、何かを始めたことよりも、何かを辞めた(次のことは決まってない、これから考える)という話だった。僕はこういう時、その人からゆっくり話を聞くようにしている。 誰かが何かを辞める(または辞めさせられる)時は、必ずしも美談では片付けられないことがある。卒業、栄転、ネクストステップへ…の裏には様々な事情や人間模様がある。様々な負の影響や風評、関係性の悪化を考慮してもなお、何かを貫きた

          知の探索: 何かを「辞めた人」と向き合うこと。

          "らしい"サステナブルから、"できる"サステナブルへ。

          サステナブル(持続的)な社会を作ろう…が最重要命題となっている2021年の定点観測に変えて。 皆さんにとって、メディアを通じた知識ではなく、実体験として「何かがサステナブルじゃなくなって、自分が困った」とか「何かがサステナブルではなくなった原因を、自分で確認できている」ことって、ありますでしょうか? どうやら人間が排出するCO2が気候変動の原因らしい、どうやら農薬が原因で生物種が急速に減っているらしい… これらは原因も結果も自分の目で見ているわけではなく、ほぼ全てメディ

          "らしい"サステナブルから、"できる"サステナブルへ。

          プラネタリー・グッドは「誰一人、他人事ではない」ということ。

          「ソーシャル・グッド」が社会変革の軸(キーワード)になってきたこの10年。あらゆる社会課題への取り組みが生まれ、ソーシャル○○、フェア○○、シェア○○などに代表されるような、新しい働き方、新しい支援、新しい分配手段などの選択肢が本当に増えた。世界の「優しさ」や「個人の自由や尊厳」は増えた時代だったと思う。 とはいえ、正直、社会課題の多くは解決していないし、ジェンダーやダイバーシティなどへの取り組みはまだまだ始まったばかり(正確には、長く取り組んでいるが時間がかかっている)。

          プラネタリー・グッドは「誰一人、他人事ではない」ということ。

          エコロジカルな農畜水産と食を、日本から。〜日本発の認証の可能性〜

          資源循環的な農畜水産/食料産業ってのはこうだ!これが持続的な産地と流通のデザインだ!って認証はなにより大事だぞ。日本から作れるんじゃないのかい、これ。 環境保全型農業とか、エコファーマーとかもあるにはあるんだけどさ…うーむ。(農水省の皆様すみません…色々とご検討されていることは知っております。。) https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/index.html 生活者も、流通業界も、「サステナブルな生産者・産地と長

          エコロジカルな農畜水産と食を、日本から。〜日本発の認証の可能性〜

          生物多様性は、地域を選ぶ「新しい時代の選挙」になる。

          今日はある委員会だったのだけど。 生物多様性は、やはり都市部より、海や山や川、野辺や湿地、あるいは田畑など、直接かつ大きなインパクトがあるところから考えるべきでさ。つまり、生産者や農山漁村に暮らす人が"最前線"の守り人、なんだよね。 「社会全体で生物多様性に取り組もう」っていうのは、ほぼ「生物多様性に取り組む生産者や地域の担い手に対して、社会全体がどうコミット(約束)するか」という問いに集約される。 生態系サービスや生物(遺伝的)多様性がなければ僕らの持続的な生活はなく、

          生物多様性は、地域を選ぶ「新しい時代の選挙」になる。