【研究】絵画における「サイズ」と「スケール」
「大きさ」を表す言葉に「サイズ」と「スケール」がある(他にもいろいろあるけど)。この言葉を絵画に適用してみると、絵画の物質としての測定可能で客観的な大きさがサイズ、絵画の描かれたイメージの中の測定不可能で主観的な大きさがスケールと言える。
それを言い換えると、画面に定規を当てて測れる大きさが「サイズ」。
で、絵画は仮に「サイズ」が5cmだとしても、それがイメージ内では巨大な山脈であったりする訳で、そこで感じ取られる大きさが「スケール」(その山脈はイメージなので大きさを測定できないから)。
ところで、絵画における「サイズ」は現実的な条件から決定されることが多い。それは、締め切りまでの残り時間とか、会場の広さ、アトリエの広さなどから導き出されたりする。対して「スケール」は、そうした現実的条件から遊離した、別の原理で決定されると言える。「スケール」はそのように現実的条件から自由であるがゆえに「スケール」なのかもしれない。
絵画は物質でもありイメージでもある。物質である以上は現実に存在するものであるが、イメージはその現実とは別の、現実とは関わらない仕方で存在している(「サイズ」と「スケール」が別の原理である以上そうなる)。イメージは物質を依代にして、現実とわずかに重なり合いながら、現実とは別に存在している。
イメージのそうした二重性──、それが絵画の特質であり、そうした特質を持つが故に、絵画は人類にとって大事な媒体なのかも、と、思った。
(まだこの部分は直感的にそう思ったみたいな話なので、今度理屈を考えたい)
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