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三瓶玲奈「Practice_02: 繰り返す」EUKARYOTE

2024.10.12

EUKARYOTEで見た「Practice_02: 繰り返す」に出ていた、三瓶玲奈さんの新シリーズ一作目の作品が面白かった。

ぼんやり眺めると道にかかったパースに従って目線が奥に向かうのだけど、目線は奥に行き切る前に、画面と並行ないくつかの筆触に遮られて止められる。

すると今度は、画面の中心あたりに集まっている、地に対してコントラストの強い筆触の群れに目線が捉えられ、それらをランダムに目線が行き来させられる。と思っていたら、ふと筆触がイリュージョン──すなわち、葉の隙間からこぼれ落ちる光──になり、絵具が光景に変わる。

その、イリュージョンと物質を意識の上で絵画が行き来する体験は、カメラのオートフォーカスでピントが被写体にあったり外れたりする時の、対象の物質としての肌理が際立ったり、単なるボヤけた色あるいは光として対象が現れたりするときの見え方の質に近い。

三瓶さんに直接お話を伺うことができたので、この作品の意図が聞けたのだが、三瓶さん自身は、葉っぱが緑以外の光を吸収して、緑の光だけを透過するという、光景の知覚の背後に存在する物理的なメカニズムまで描き出したいとのことだったのだが、自分が作品を見た時の感覚は、眼のピントの機能まで描き出してる、みたいな感じだった。まだうまく分析しきれていないのだけど、なんというか、絵を見ることで、逆に見てる主体としての私の、眼のピントの機能とかものの見方みたいなものが意識化されるような作品だなという気がした。

作品の現れがどんどん変化していって、いつまでも見続けてしまうような、上質な絵画体験をすることのできる大変興味深い作品でした。

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