【詩】観覧車
日が沈むほうに見える山の稜線
ひとつだけ 四角い建物が突き出ている
橙色をした寂しさのカクテルに
チェリーをひとつ乗せたような建物の灯りが
観覧車のガラスで拡散する
太陽と同じ速さで動くゴンドラが
海の向こうから伸びてくる夜を
街灯りが気づくより先に 僕に見せる
鳥が身を委ねるその風が
ゴンドラを静かに左右に揺らし
景色に僕が溶け込むことを許さない
山の上の建物が 他のゴンドラの向こうに隠れ
港を横切るバイパスの街灯の列が
じわりじわりとその数を増やしていったとき
どこに気持ちを置けばいいのか
分からなくなった18時半
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