【詩】製品
1.あたたかい革靴がほしい
どれでもいいから安い奴と
選んだ革靴
プレミアム靴磨きが
本体の値段より高かった革靴
信号待ち
点字ブロックを踏んだ革靴の
他人のような固さ
エスカレーター
前の人と似た黒い革靴の
他人のような冷たさ
やっと靴を棚に戻したとき
僕は
散文を書く余力すらない
鳥は春を望んでいる
僕はあたたかい革靴がほしい
2.ビニールでできた傘
傘立てに残された
ビニールのきみたち
5日くらい雨を弾いただけで
仕事がなくなった
街角に残された
ビニールの男たち
5回くらい彼女を助けただけで
恋の季節はすぎた
男たちは年に二、三度
自分が 晴れの日の傘立てに似ていると思う