地域暮らし1年生、働きながら通いで運転免許を取得しました──2019年7月
東京から車移動が当たり前な滋賀に引っ越して、11ヶ月目。わたくし24歳、普通自動車免許を取得しました。
滋賀では鉄板ネタのように私が免許を持っていない話が登場していたので、たくさん「おめでとう」と祝っていただけてうれしいです。いっぱい見守られながら生きている。
今回は、「フリーランスとして仕事しながらの教習所通いって、実際どうだった?」 という話を書きます。
なぜ免許を取ろうと思ったのか
免許を取った理由は、「未来」をもっと広げるための投資です。
生活するためだけなら、免許は不要。でも、自分のやりたい仕事をしていくためには、免許があったほうが可能性が広がるから。
前提として、私は東京からどこの地域に引っ越すか探していた段階から「免許がなくても生活できる」ことを条件に入れていました。
その結果出合えた今の家は、駅まで徒歩3分、スーパーも商店街も7分、コンビニは12分くらい。
役所、郵便局、お土産処、定食屋、カフェ、本屋、図書館、大きい病院が徒歩圏内に揃っているので、生活するだけなら車なしで生きていけています。
電車は1時間に1〜2本程度だけれど、電車に合わせてスケジュールを組めば全く問題なし。あまり混んでいないし、移動中の景色が美しいので、東京にいた頃の何十倍も電車の移動が好きになりました。
総じて、私のような地域暮らし初心者にはぴったりの便利な町。だから今年の春まで免許を取る気がまったくなかったのです。仕事しながら教習所に通うなんて難しいでしょ、と思っていたし。
そんな私が突然免許を取ることを考えたきっかけは、滋賀県にもう一年住んで隣町の元気なおにいさんチームを密着取材しようと決めたこと。
彼らの主要拠点は、途中乗り換えながら電車で3駅乗って、駅から徒歩30分。終電は21時台。定期的に通おうと思ったとき、免許がないことはネックだと感じていました。
免許がなければこの密着取材をできないわけではありません。
彼らは毎回行くたびに私を乗せて駅と村を往復してくれて、彼らの奥さんやお母さんが乗せてくれることもあり、帰れない日は家族のいる家に何度も泊まらせてくれています。また別で書くけれど、こういうことを当たり前だと思ってやってくれて、私に一切気を遣わせないでいてくれる彼らの心意気。
でも、一年と決めている以上は、彼らの日常にもっと近づきたい。これからもっと、「地域」をテーマにした取材を増やしていきたい。
そのためには、地域一拠点目の今こそ免許を取ろう。
じゃあ今だな、と思って、教習所に入ることを決めました。
2ヶ月半の教習所通い
教習所には「合宿」と「通い」があるものの、合宿タイプだと仕事がストップするので、自分のペースで進められる「通い」一択。滋賀にいる間は仕事する時間を選べる状態なので、週に2〜3回程度通うなら仕事を減らさなくてもなんとかなるかな、という計算でした。
入校手続きをしたのは、5月14日。
「教習所に行こうかな」と話したら、密着取材対象である彼らのうちの一番歳が近いおにいちゃんが、家から通える2ヶ所の教習所に問い合わせをし、諸々の交渉をして値段を教えてくれて、申し込みまでしてくれました。
2ヶ所の候補は、1つ目は家から徒歩圏内、2つ目は家から送迎のバスに乗って45分くらいかかるところ。この2ヶ所で値段が5万円程度違ったので後者を選び、滋賀の県境をまたいだ先の福井県敦賀市に通うことにしたのです。
そしておにいさんたちが田んぼ仕事で使っている軽トラを運転する可能性を消したくなかったので、多数派なAT(オートマ)ではなく難度の上がるMT(ミッション)を目指すことに。
入校初日に上の行程を説明されるわけですが、先が長すぎて気が遠くなったことを覚えています。
第一段階は学科+技能(運転)で合計25時間以上、第二段階は35時間以上、ぜんぶで60時間以上(MT車の場合)。ここに合計3日間、4種類の試験が加わる。すべて終わる日はくるのか……って絶望したよね。
しかも、自分で選んだとはいえ教習所が遠いので、往復1時間半〜2時間のバス通学。ここに昼休憩も加わるので、日によって授業のコマ数が違うものの、最短で1日4時間、基本は7時間、最長9時間拘束の日もありました。
腹をくくり、ここから心を無にして教習所に通い続ける日々がスタート。
運転するたびに「向いていないことをお金払って自分からやっているなんて、本当にえらい」と図太く自分を励まし続け、ただただ「早く終えたい」と願っていたこと、そして取材対象であるみんながずっと近くで応援してくれていたことが大きな支えだったな。
5月14日に入校してから7月30日に卒業し、8月2日に最終試験を受けるまでに2ヶ月半。教習所に通ったのは計21日。ちなみに、運転が下手すぎて技能教習を3コマ追加されています。
仮免許前が25時間、仮免許後が35時間なのですが、私が仮免許を取得したのは7月5日。つまり第一段階に1ヶ月半、第二段階に1ヶ月かかった計算です。
月ごとに教習所に通った回数は、
となりました。バランス〜。
5月は入校した直後に『TURNS』の取材に行ってそこから執筆に集中し、月末には足首をブヨに刺されて歩けなくなり、全然行かなかった。
このときは「ゆっくり通えばいっか」と呑気だったし、教習所の時間以外は免許に時間を割く必要はないと思っていたのです。
しかし6月。教習場内のS字カーブや狭い道を90度に曲がるクランクで物損事故をおこし、技能教習の追加を決定されて、自分の下手さを目の当たりに。
さらに悪いことに、6月中旬に東京に行く前後で10日間ほど休んだら運転の感覚が消失し、「無理をしてでも頻度を上げないと、いつまでも卒業できない」と焦るはめに。結局6月下旬からギアを上げて、週に3〜4回通うスタイルに変更。
運転中に言われたことを予習復習しないと上達しないことも、このタイミングでようやく発見。私の場合、6月後半あたりでやっと教習所の通い方を体得したような感覚だったな。
そして7月初旬の仮免許試験前から、すベての試験において「これ以上免許にかける時間を増やさないために、落ちるわけにはいかない」と心に固く決め、久しぶりに試験勉強をしました。結果オール一発合格でほっ……。
こんな2ヶ月半でございました。終わってよかった。
免許を取った今、言えること
仕事との両立はどうだったのかというと、時間的な制約が強いので、正直体力勝負でした。
特に前半期は物理的に7時間拘束されるだけでなく、慣れないことに集中しているので体力を根こそぎ持っていかれてしまい、家に帰ってから仕事をするエネルギーが残っていなかったり。
夏バテも重なり、締め切りを調整していただいたり遅い時間の連絡をOKしていただいたりと、お仕事をご一緒しているみなさまにたくさん助けていただきました。普段よりうっかりが増加してしまい、ご迷惑をおかけしたことも。
それでも逆に言えば、「ちょっと無理をすれば、教習所に通えるほどのまとまった時間を仕事以外のことに使う選択肢もある」と実感できたことで、見える景色が少し変わったように思います。だって、ついこの前までは仕事しながら通うなんてできないと思っていたから。
同じ場所に定期的に通うことも久しぶりで、あまり興味ない分野であろうと新しい分野を学ぶことは純粋に楽しかったです。仕事と違って「確実に正解がある」安心感も久しぶりだったな……。
新しい習い事のような感覚で、教習所通いも運転にもようやく慣れてきた頃から少しだけ楽しくなった印象です。
そしてこれからは、駅周辺という「点」でしか動けていなくて本当に行動範囲が狭かった滋賀県内をまわったり、他の地域での取材に行ける可能性が高まったりと、より「地域」を見ていけることがとても楽しみ。
運転が苦手な私でも免許を取れたのは、仕事やプロジェクトをご一緒くださっているみなさまと、いつも応援してくれる「ONE SLASH」のおにいさんたち、見守ってくれた滋賀のみなさまのおかげです。
そして、助手席に乗ってくれたたくさんの教官たちの中でも、絶望的な状況だったS字とクランクのレベルを引っ張り上げてくれて、一番励ましてくれた先生には感謝しきれない。
あと、申し込んでくれたけいちゃん。あなたがいなかったら一生免許を取ることはなかったと思う、いつもありがとう。
一枚のカードが、これから何か壁にぶつかりそうになったときに「あんなに苦手なことも、たくさん支えていただいて頑張れたんだから」と自分を励ますきっかけをくれそうです。
お力をお貸しくださったみなさま、心からのお礼を込めて。ありがとうございました。
2019年7月のお仕事
アパレルブランド・ALL YOURSの木村さんを滋賀県長浜市にご招待して、ご近所のおにいさんが主催したイベントのレポート。執筆と撮影を担当しました。
READYFORnoteに関わっている私にとってクラウドファンディングはホットなテーマなので、お声がけいただけてうれしかったし、すごく学びになりました。
「ものづくりをサイコウする」メディア「FAct」が7月に立ち上がりまして、そのうちの1本を執筆。メディアのローンチと同時にリリースする記事を書いたのは、初めてでした。
あとは引き続きインクワイア関連のお仕事で、CX Clipの執筆をしたり、IDENTITY名古屋の編集をしたり。
記事の企画段階のお話をいただいたりと少しずつ裏方も増えてきて、幅を広げるチャンスになるのでありがたいなと思いながら仕事しています。いつもありがとうございます!
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さて、自動車学校を卒業したその日と、学科試験に受かって免許を手にした後1時間くらいは「もう教習所に行かなくていいんだ〜!!最高!!!!!」とテンションが上がっていたのですが、あっという間に喜びも過去のものになりました。はや。
ということでさっさと切り替えも終え、ここからはまた新たなる挑戦に向かっていきます。
8月も、どうぞよろしくお願いします!
言葉をつむぐための時間をよいものにするために、もしくはすきなひとたちを応援するために使わせていただこうと思います!