(読書メモ)投資は「きれいごと」で成功する 新井和宏 その①

以下、読んでも良く分からないかもしれません。
読書しながらまとめたメモです。


社会性を追求すると、お客さまからの信頼が生まれ、結果として儲かる時代になった。
会社の姿勢や思想まで知りたいと思うお客さまが増えているとも言える。
社会性と経済性はいま、徐々に両立しはじめている。
この世界には、社会を想い、まっとうなことを、まっとうに行っている方がいる。かつて「まっとう」を優先するには、多くの犠牲を払わねばならなかった。しかし、鎌倉投信の「結い2101」は、社会性と経済性を両立でき、「きれいごと」で金融商品が成立することを証明した。
「結い2101」は非常識な商品である。

非常識①
目標は「勝つ」ではなく「応援」である

投資先の経営者とお金の話をすることすら稀。
また創業して日が浅いことも二の次。
経営者に資質があれば数字はついてくる。
一般的な金融機関は「晴れているときに傘を貸し、雨が降りはじめたら傘を回収する」。
しかし、「結い2101」はほかのファンドに勝つのが目的ではなく、「いい会社」を応援することを目的にしている。
多くのファンドマネジャーの目標はTOPIXの動きより良い成績を収めることだが、私たちはローリターンだ。しかし、実は投資効率が高い。

非常識②
投資家と投資先企業がつながる場がある

年に一度「受益者総会」を行い、受益者の10%が参加する。
これは、金融機関に販売を委ねず直販にこだわるからできること。
投機目的のお客さまは簡単に解約し、頻繁に解約が起こるとファンド内の現金が常に圧迫されてしまう。そのため、良い運用ができないこともある。
しかし、私たちのファンドは簡単に解約されない。だから、良い運用ができる。
投資家に「なぜこの会社に投資するか」きちんと伝える直販にこだわるのはこれが理由だ。

非常識③
運用の手のうちを明かす

普通のファンドは手のうちを明かすことはない。ほかのファンドの真似や嫌がらせを避けるためだ。
例えば敵対ファンドの投資先の株を空売りすれば株価がどんどん下がり、ショートさせることができる。
また、投資先の株を5%以上保有すると大量保有報告書を当局に提出することになり、なぜ買い増したかと憶測が広がる。
ファンドは情報戦なのた。
一方、「結い2101」はすべての投資先を公開している。リターンが少ないファンドだから、攻撃されづらいからである。

非常識④
お金ではないリターンがある

リターンが低いわりに3年以上も資金流入が続いている。
理由は二つ。まず、安定を求める日本人の性質。次に投資効率の良さ。つまり、リスクに対してリターンが良いという点。
さらに、リターンを金銭以外も含めた3つだと考えていること。
「資産の形成」リターン期待値は報酬控除前で短期金利プラス5%
「社会の形成」投資先会社が社会で活躍すること
「心の形成」受益者自身の心が豊かになること**

非常識⑤
投機的でないが長期でリターンが欲しい「賢いお客さま」が買っていること

上場していない企業に対しては社債に投資するが、10年といった長いものに投資している。ほかの運用会社がリスクを感じてやらない方法だ。すぐ現金化できないのでもし解約が突然増えることがあると対応できなくなるからだ。
しかし、我々は3割は現金で保有している。
受益者が簡単に解約しないため、滅多に現金が減ることはない。
さらに積立型を利用する受益者が多いため、定期的に現金が入る。これを元に割安なタイミングで買い増しができる。
つまり、相場が上がっても下がっても成績を出しやすい。それを期待したお客さまに買われているのだ。

非常識⑥
投資先会社の利益予測をしない

リターンの期待値を5%に設定しているのは、日本企業の一年間の活動率と同じだけのリターンを提供するという意味である。
ここからファンドの報酬は1%。
さらに相場の上げ下げを見て毎日1時間売り買いすることで少しずつ利益を出す。**
「応援」が目的なので、急落していても普通に買う。投資先への信頼があるからできるのだ。

非常識⑦
成績より理想

通常投資信託の販売会社は、運用管理手数料と言われる信託報酬と販売したときに発生する販売手数料で儲けている。
販売手数料は通常3%。信託報酬は受益者が保有する限りかかる。
鎌倉投信は信託報酬のみで運営している。それは「結い2101」の純資産の1%(消費税別)。
1%は低い設定だが、そうしたことで勝ちに行かなくて良くなり、理想を追えるようになった。

非常識③
一社に投資する金額を限定する

現在資金残高は130億円。数年後には300億円と予測。
「ファンドは大きすぎてはいけない」という常識があるが、「結い2101」の場合は以下の3点に理由がある。

・全体のリスク量を10%以内に抑える

・一社あたり投資額の比率を純資産総額の1.7%にし、等金額で投資している(倒産リスクの高いベンチャーが多いため分散投資している)

・投資先の発行株式のうち、5%未満しか保有しない(大量保有報告書を提出しないため)

こうすることで、企業の成長率より資産総額が高くなる可能性があり、投資効率が下がる。
かつて、1兆円ファンドも存在したが、残高が大きくなると動きの悪い大型株に投資せざるを得なくなる。


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