2. 構造物近隣での伐採
(心構え)
・「手で押せば倒れる」と思って追い口まで入れて、倒れないというのは最悪の状況で、しまいには反対側に倒れる危険性が大きい。また、「矢で起こせば倒れる」と思っても、追い口を切り込んだらぴたりと閉じてしまって矢が入らなくなる等、構造物近隣の場合は確実安全な方法とは言えない。
・細い木を甘く見ない。細い木でも失敗すればミラーを割ったり、雨樋を壊す破壊力はある。
・(家の近くで蔓がらみの木を伐って倒れず苦戦したところ)蔓がらみはベテランでも難しい。家の近くは、特に経験年数の浅い人は残しておけばよい。その旨を重機のオペに言えばダメという人はいないが、無理して伐って失敗すると怒られ、レッテルをはられる。
(安全対策、失敗した事例)
・ヒノキの暴れ木(幹がねじ曲がり、枝が大きく横に張り、いびつ)を○○さんが下に向けて伐ったところ、倒れた勢いで枝が下に、元口が真上に来たかと思うと、1回転して元口が向こう側に倒れた。工事車両に数十センチの間隔でズドンと土にめり込んだ。
・JR。(現場に到着したので、伐採箇所を見に高架下をくぐろうとしたところ)単独で線路に近付いてはならない。見張員が手を挙げていないと、電車がきたとき緊急停車してしまう。
・伐倒方向に枯れ木があると、その木も倒れることがあるので、そうなった場合でも道路や構造物に届かないかを確認する。
・凸地形で元口がはねることがあるが、道路際だと道路に飛び出すことがあるため、注意が必要。
・(チルホールで伐採しようとしたが、蔓が絡んでいたため高所作業車で切ってもらった。)思い切ってやって成功すればいいが、失敗したら、「何で近くに高所作業車がいたのに頼まんかったんだ」と言われる。
・山の中のどこに倒してもよい木はいいが、伐倒方向が決まっている木は、受口の向きを確認すること。追い口を入れる時、反対側を見る。
・夕方は、危なそうな木は伐らない方が良い。何かあった時に対処する時間がない。朝のうちに先に切っておくか翌日にする。
・(私が細いナラを切り、大きいナラにもたれさせて枯れマツを切るようにだるま落とししたところ、すりぬけて家の屋根を直撃。)切ったらどうなるか、後のことを想像して伐る。手で支える等すべき。
・細いアカシアを、○○さんに押すから伐れと言われたので、いつものように木を揺らして上を確認することを怠って横に向けて伐った。上で枝が引っかかっていて木が下に回り、擁壁下の家の方に落ちた。
・伐っても倒れず矢を打ったまま放置して帰ったことについて、昨日のうちに、遅くなっても良いから倒しておかないといけない。会社にチルホールを取りに戻ってでも倒さないと、範囲外に倒れたらえらいことになる。
(伐倒方向に要注意)
・枝が屋根の上に被ったような木は、横に倒すと屋根を壊す。
・伐倒方向から見ると完全に右しか枝が残っておらず、左のフェンスぎりぎりを狙えそうなサクラ。倒してみると、奥の枝が上から倒れ込んできて、フェンスに当たった。
・二又の上等、高い所や木の上では、受口の向きが狂いやすいので、自分がどういう体制で伐ったらよいか、しっかり確認して慎重に伐ること。
(1)伐採木の確認、構造物等を保護する措置
・長い距離の枝打ちでは、片側通行の規制を解除するのが下流側から行うため、枝打ちを行う順番も作業車を逆送の向きに入れて下流側から行い、作業終了次第、カラーコーンを撤去して交通規制の範囲を縮小していくことができる。
(道路の規制)
・道路の狭い所はカラーコーンとコーンバーを両端に置いて通行止めに。
・片側交互通行のカラーコーンは15m間隔で置く(○○産業)。車道中央の線が5mなので、これを目安にする。カラーコーンの回収は車の流れの下流側から車をバックさせて行う。
・宅地等で現場にカラーコーンを並べる際は、基本的には場内に置く。
・道路を規制する場合
通行止め或いは片側交互通行等で道路を使用する場合はあらかじめ警察署でもらった道路使用許可証を携行。カラーコーンや規制標識、予告看板といった保安材を用意し、既定の時刻になったら規制を行う。そのあとで、規制内に作業車両を入れる。この間、トラックやクレーンを待たせることもあり。高所作業車やパッカー車の順序及び向きは作業効率に重大な影響を及ぼす。また、昼休み中に解放するか否かで段取りが変わるため、要確認。
・看板は重りで押さえるか、番線で縛る等、倒れないように。
*時間的規制
朝8:30から等。現場によっては12時になったら作業中止も。要確認。
(伐採木の確認、マーキング)
・スズランテープを伐ってはいけない木などに印をつけるために持っておくとよい。
(構造物の保護、養生)
・(工場へ水を送るパイプが堤防を横切っていて、パイプの両側に幹を置いて保護することになった。)現場に入る時、周りを見る。パイプを割ってから気がつきませんでしたではいけない。
・どうしても危険が回避できない木を切らざるを得ない場合は、事前に「最悪の場合、建物を壊す」等の説明をして、了承を得ておく。
・少しの工夫。○○さんがプラタナスの幹を斜面横に倒したら、転がってフェンスに激突した。上に倒せばそのままヒアブで取れた。倒れた後のことも考える。
・作業車・クレーンでの上下作業。上で切っている人は一番危険な作業をしている。下の人間は上の都合に合わせて作業する。
(2)機器のセッティングと伐採
・伐採のバリエーション:ロープで引いて倒す、枝を落とす。重機のバケットに乗って枝打ち。アイバン。もう1本のロープで控えを取っておくことも。
・高所作業車とパッカー車は車体後部(ケツ)が向かい合わせになる配置で停めて作業する。基本的に作業車が前進、パッカー車が後退で移動していく。
・クレーンで吊った荷を裏に置いて行けばクレーンが移動できるが、手前に置くとトラックがきて荷物を積み込みしてからしか動けなくなる。
・不整地では、鉄板を敷いて中に作業車が入れるようにする等。
・鉄板の積込みは、鉄板は2枚ずつフォークリフトで降ろせるので、2枚ごとに桟木をはさみ、後は穴を交互にずらして積んだ。
・重機をトラックに積む際に使うブリッジは人気があり、盗まれやすいのでよく重機のバケットで押さえて置いてある。
片側通行に規制された路上(1車線分)で、重機を入れ替えた例(ザウルスを回収してストレンジャーを入れる)。
①ザウルスを前に寄せておく。
②ザウルスの後ろまでセルフが入り、ストレンジャーを下す。ストレンジャーは少し下げる。
③ザウルスの前、1車分の規制拡大を行い、そこにセルフを入れ、ザウルスを乗せる。
・現場で、U字溝を踏まないために、ブリッジをかけてミニを渡らせた。
・こんな例外(構造物ではない)。川に傾いた木で重機が届かない場合、川に倒してしまってロープで引き上げる。
・高所作業でも、下で伐れる灌木は下で切る。
・どこから開け、どこに降ろしてさばき、積込むのかの検討が重要。電線が錯綜するなど、やりにくい所から片づけると気が楽になる。
・狭い道ではトラックのバック誘導。パッカー車を誘導していて、ギリギリまでオーライと言っていたらぶつかった。
①架線系器具を用いて牽引して伐倒
・絶対倒れてはいけない方向の反対側に控え索を張ると安全。切りすぎやワイヤの切断に備えて2重3重の安全策を考える。
・大径木は裂けやすい。裂けそうな木はロープやワイヤで元を縛っておくと安心。
a.ロープ・チルホールを使用する場合
(ロープで引く)
・ロープで引きながら伐倒する際、ロープを引く人は木が倒れてきたら木の下敷きにならないように退避する(樹高に対してロープが短い場合)。
・ロープを引く時に、別の木の幹に巻きつけておく場合もある。
・ロープで引きながら伐倒する際、ロープを引く人は木が倒れてはいけない方向へ倒れ出したらすぐに引く位置を修正して木がそちらへ行かないようにする。
・長いロープを滑車に掛けることも可能。
・ほぼ垂直に立った掛かり木ができた。掛かられた木にハシゴをかけ、掛かり木にロープをかけた。その下でロープで引く方向の反対側に受口を彫り、引く方向を切るとそこで「く」の字に折れ曲がって二分した。
・ロープで引く時、悪い方に倒れ出すなど、とっさのときは引いてもよいが、伐る人が良いよと言ったら引く。チルの場合も同じ。
・(ロープで引っ張ってもらって伐る時、やや大きい木は)枝分かれの付け根で分けて伐る。重機やユニックの力なら元から倒せても、人間の引く力は知れている。
(弦の残し方)
・(工場へ傾いた木をロープで引いて横に倒したとき、)受口は普通、水平か幹に対して直角に彫るが、少しでも力が工場の側に行かないように傾いている方を少し上げる(※逆の考えもあり)。受口はやや小さくして弦を作る場を確保。工場の反対側を多く残す。
(ハシゴ)
・ムカデバシゴを組み立てる際、2段以上では足をかける棒が右・左と交互に出るように接続しないと登る人が踏み外す。
・3段のハシゴの持ち運びに注意。構造物に当てないように。バランスを取りながら立てて運ぶと運びやすい。
・ハシゴはできるだけ垂直に立てる。特にハシゴを3段にして斜めにもたれかけさせて登ると継ぎ目が割れる。
・ムカデバシゴをつなぐ蝶ネジは踏む棒の無い方にやると足が引っ掛かりにくい。
・ムカデバシコは基本的には幹に平行にかける。
(高切り)
・木を途中(約半分の高さ)で切るのは倒した時に構造物等に届かないようにするため。弦を残し過ぎるとブランとつながったままになり、はずすのが危険になる。
(控としてとっておく場合)
・急斜面で伐倒の勢いで飛んで或いは1回転して下の道路に届くような恐れのある場合は、元をロープで他の木に縛っておく。このとき、伐倒方向の横の木で縛るなら張っておいてもよいが、伐倒方向反対側で固定する場合は緩めておく。張ると倒れないようにする張力が働く。目安として、倒れた後、元が切り株より上がってくるようなら張り過ぎ。太い木になると、幹に1~2周巻いて、手で持っていても人間の力では止められないため、巻き戻し(木こり結び)で固定。逆に緩め過ぎると、衝撃荷重が大きくなってロープが切れる恐れがある。切れてもよいという気持ちで使うくらいでよいが。崖の下に宙づりになると、ロープが取れなくなる。
<チルホール>
・チルホールの棒を現場に置き忘れそうになった。
・枯れマツの腐りかけた木はチルホールの力で山に引き込んだ。
・チルのワイヤは最後は平らな道まで引っ張って、そこで巻いた。
・チルホールを用いた作業システム:チルホールのセット、ハシゴを使って伐倒する木にワイヤをかける、伐倒、ワイヤはずし。
(チルホールのセッティング)
・チルホールを固定する木に、太い枝や竹をかませて台付を巻くと傷つかない。
・チルホール2本がけの場合、伐倒する木にフックを接続する際はワイヤがクロスしないように注意する。ワイヤがクロスすると正しい向きに引くことができなくなる。
・チルホールを固定するのに切り株を利用することがあるが、チェーンソーで溝を掘って台付を通さないと樹皮ごと剥けて抜けることがある。
・(二又になったサクラにチルホールをセットしたところ)裂けて手前だけが来ることがあるので、奥の枝にワイヤをかける。(ナラで、上の方で二又になった近い方の枝にワイヤをかけたところ)二又の部分がどうなっているか分からない(腐っている等)ので、奥の枝の方が安全。
・チルホールをセットする立木や伐根がない場合、作業車両にセットする場合もある。
・急斜面の岩盤上の木にチルを固定すると、根こぎになる恐れがある。
(受口の向き、弦の残し方)
・(家の方に傾いている木をチルホールで引きながら倒す際、受口の向きが安全側過ぎて隣接木の枝にかかったが)安全側に受口を作っておけば、後で弦を切っていくなどして逃げられる。危険側に受口を作ってしまうとどうしようもない。
・大木(今回はDBH=50cm)のナラ枯れをチルで倒す時は、最低でも10cmくらいは弦を残さないと危険。
・受口の上に重心が乗れば倒れる。ロープやチルで引く場合、木の自重と張力の合力をみる。
・チルホールで引く人はピンが折れるくらい強く引く。伐り手は見ていればきついかどうか分かる。固めの方が良い。この人は切り過ぎると思われたらおしまい。
・傾いた木は(傾きの)反対側に引いて倒すのがよい。傾きに対して直角に倒そうとして、倒す向きに引くと弦がちぎれて失敗する。
・上にチルで張っておいて横に倒すのは危ない。真裏に返す方が安全。
・最も起き上った時に引張り側になる方の弦を多く残す。
・一説として、段差をつけない方が弦が粘るのではないか。
(チルホールの使い方)
・750kgチルホール(中チル)は、T字型のレバーを引くとフリー(ワイヤが自由に動かせる状態)になる。
・フックは締まっている部分を引くと外側に外れる。
・チルホールを用意するときは台付2本とハンドルを忘れずに。
・フリーにしてワイヤを戻す時、1人がチルホールを持ってあげると作業が楽。
・荷重がかかり過ぎると、巻き取りレバー付け根のピンが割れて引けなくなることがあるが、予備のピンがチルによって場所は違うがどこかにある。750kg中チルはレバーの中。
(段取りと作業の流れ)
・作業システムの一例:チルホールで引きながら伐倒。チルホールを引く人が退避する際はハンドルを抜いておく。棒をさしたままだと、木が直撃して抜けなくなる恐れがある。フックをはずす。1人が次の木にワイヤをかけ、もう1人がチルをフリーにしてフックを次の木の根元まで持って行く。チルホールをロックしておく。フックがかけられたら張力をかける。
・チルで引いての伐採は一番最初に○○さんがこの木を伐ってみんなここに倒すという方針を示したからスムーズにいった。この全体の方向性を見出すのか、分からずにやるのかの違いが非常に大きいと思う。
(ワイヤを掛ける)
・チルホールをかけるために台付を伐倒する木に掛ける際、できるだけ高くセットするために先端(シャックル付き)を投げて枝に引っ掛けるとよい。
・伐倒する木にかける台付に長いワイヤを使用すると、フックを接続するときハシゴに登らなくてもよいので、次の木にハシゴが移動できる。
・チルホールに似た道具(トラックに乗せた荷物を縛る道具、荷締め機)で、小さい木なら引くことができる。
(退避)
・(傾いた木を、反対側からチルホールをセットして、軽く張って控にして伐採する際、)引いているので、弦が切れた時、元が引っ張られる。すぐに逃げるようにする。チルホールで大きく傾いた木を反対側から引っ張って倒すとき、倒れかかりもしくは倒れた後、弦が切れて元口が引っ張られて戻ってくることがあるので、伐る時は退避のことをよく考えないと怪我をする。
(チルの応用)
・倒せない木をチルホールを使用しながら伐採した事例(クレーンも重機も入れない場合)。上の枝にワイヤまたはロープを通して、ゆるめながら枝を落ろす。切った材は芝生の上にコンパネを敷き、一輪車で小運搬。
・枝にかけたロープに輪を結んで、そこにチルホールのフックをかける方法もある。
・幹を斜面上部に引き上げるためチルを使用。少しでも上に上げるため、幹に台付ワイヤをダブルでかけて引きしろを長くとった。
・○○さんのアイデアで、蔓がらみの2本のナラを台付ワイヤで結んで、そのワイヤにチルホールのワイヤをかけて引っ張った。
・かかり木で元玉切りをするとき、切り欠きと追い口を交差させるとじわっといく。今回はこの切り込みを入れて元をチルで引き、「く」の字型に曲げた。
・(大きく傾いた木を近くの木の上の方に滑車をとってチルで引いて起こしたのでなぜか聞くと)木に対して90度の角度が一番力が出るから。
・滑車がない時は、シャックルでも代用できる。
b.重機付属のウインチを使用する場合
・ザウルスのウインチを用いてワイヤで引きながらの伐採、集材はワイヤをかける人、伐る人、はずす人、オペによる作業システム。ウインチの巻き取り速度はチルホールより速いが、倒れ始めたら巻き取りは間に合わない(屋根を壊した事例)。ここがアイバンとの違い。
・最後に倒した木から出さないと、下敷きになって出にくい。
・ウインチで引く時はアームの向きとワイヤの向きを同じにする。重機の旋回は弱いので、横を向いていると引く力に負ける。
c.ユニック・バックホウを使用する場合
・木にワイヤをかけ、重機で引きながらの伐採は、ハシゴのセット、ワイヤ掛け・ワイヤはずしを伴う作業システムである。
(ユニックを使用)
・ユニックで引きながらの伐採でロープをかける位置が低かったために元口が外れて腕に直撃。
・ユニックで木を引いて倒すとき、ユニックの竿をのばしているとトラックが横転する(ユニックの竿が折れたり曲がったりすることも)。竿を一番縮めて、竿を立てて(ユニックの竿自体の重みを真上にする)巻きあげる。もっと力が要るときは、巻き上げの力より竿を起こす力の方が強いので、竿を倒しておいてワイヤを張って、竿を起こす力で引く。
・普通のユニックは滑車が1つなので横に引くとワイヤが外れるが、うちのユニックは、両横に滑車がついているので横引きができる(竿が引く向きでなくても、引く方向を竿の旋回で変えられる。)
・巻き上げの時はフックを見ておかないと巻き過ぎてフックが先端に当たる。両サイドの滑車の所がもう開いている。ワイヤを固定するクリップのナットもぶつかる方が緩んでいる。使うだけでなくよく見なければならない。
・(川に大きく傾いた木をユニックで引いて伐る際)、受口を作ってはいけない。裂けてもいいから、引きながら追い口を入れて行く。受口をつくると、残る部分が少なくなる。また、受口がふさがった時に弦が切れて横に倒れる恐れがある。
・ユニックの竿で押して倒す場合もある。
・傾いた大木を起こして伐るには、引張りながら少しずつ伐り足していく。ウインチは一気に引けない。
・ユニックで引いて倒すとき、倒れ出したらワイヤを緩めないと、引っ張られてトラックが横転することがある。
(重機を使用)
・重機でロープを引いての伐採するような場所(重機が入っていけない)では、平場(トラックが入れる=直接積み込みできる)まで1本なりで持ってきて造材する場合がある。
・(道際の大木で、大きく外側に傾いた木があったので、もし伐るならどうするか聞いたところ)旋回では倒れない。チルホールをかける株もない。ワイヤをかけて重機で引く。
・アイバン(広義)で伐るとき、ロープは重機のフックに掛けると外れることがあるので、穴にシャックルをかけてシャックルでロープを固定。
・ワイヤをかけて重機で引っ張る時は、バケットにシャックルをつける。
・(かなり傾いた木にワイヤをかけ、重機で引っ張って反対側に倒す際)受口の角度を広くしないと途中でつっかかる。
・(重機でロープを引いてアイバンで伐採したが、引いて途中で緩めた)一気に引かないといけない。ロープやワイヤが切れそうと思ったら、止めてもっと切り足してもらい、引く。戻すと反動で反対側に行くおそれがある。
・アイバンで伐って重機で引くとき、伐り手が退避してから少し引いて力がかかったら、もう少し伐り足してもらってから一気に引く。何もせずに一気に引くとワイヤが切れる。
・アイバンでロープ・ワイヤを引く時、ロープはバケットのフック(留め金がないもの)に掛けると外れる恐れがあるため、バケットの穴にシャックルをつけて固定する。
・併用もある。チルホール+長いワイヤを滑車に通して引く等。
・受口を作らず、弦が離れないようにする場合もある。
・立木にワイヤを回して滑車代わりにして、引く方向を変えられる。シャックルも滑車代わりになる。
・シャックルのネジが回らなくなったらよく石等にぶつけるがそれでもダメなら。ネジの持つ部分の緩む方(Uの右側に持つ部分が来た時、手前側)をハンマーや枝でたたく。
②バックホウを用いて伐倒(アイバン)
・バケットでくわえた丸太で支え(狭義)、或いはワイヤ・ロープを重機で引く(広義)。
・アイバン:重機で引く時、ロープをかけなくてもバケットが届けば、短い丸太を握っておいてその丸太を伐倒木にかけて旋回で倒す方法もある。
・アイバンで伐る時は弦を多く残す。重機は力が強いため、そのままでも倒せるほど。材としてとりたい場合は別。
・傾いた木を伐るのに、一番確実なのは傾いた方に重機が入って押すことだが、出来ないケースが多い。
<重機との連携作業>
・重機との連携作業では、重機から見える位置(前側・左側)に立ち、近づく時は相図する。何かあったら遠慮せずに止めて教えてあげる。オペも知っていることなら知っていたで済むが、教えてあげないと何で教えてくれなかったのだという話になってしまう。
・長い物をつかんでいる時は周りの作業者も離れる。
・重機のそばは危険。特に集積した枝の向こう側等、死角に入らない事。
・重機でロープを引く時、1回引ききって、ロープをかけ直さなくても、ロープをバケットでつかんで引くこともできる。
<伐り手>
(弦の残し方)
・アイバンで伐る時でも、小さくても良いから受口を作ることで、オペにどちらに倒したいのかを示す。
・アイバンで切る時も弦はしっかり残す。中が腐っていると弦がきかず、どうしようもなくなる。
・重機で木を引いて倒す場合、引く方向(倒したい方向)から見て重心の掛かっていない側に少しずらして受口を作る。
・アイバンで伐る時は(特に重機が土建屋の場合)重機のバケットが外れても反対側に倒れないように弦を多く残す。弦が薄いとバケットが木の重心より下のとき、ちぎれる恐れがある。
(安全対策 退避)
・アイバンで、重機のオペによっては木がはねるので注意。あまり緩く持つと木がふらつくし、力をかけすぎるとはねる。
・(アイバンで○○さんが伐るとき、枝が入りこんだ奥の木に受口と追い口を入れてから、ワイヤで引いている木を伐りにかかった。)順番が逆。切り過ぎると先に伐った木が倒れてくるおそれがある。引いている手前の木を伐り終わって逃げるときに奥の木に切りこみを入れて退避する。
(伐倒方向)
・アイバンでも、チルでも伐る人が決める。
・アイバンで伐った時。重機からみて左側に傾いた木を右側から支えていた。上に受口を向けたが、木の重みで左に外れるといけないので、もう少し重機に直撃する向きにするとよい。
・アイバンで伐る時、もう少し重機側に受口を向けてほしい。(キャタの角を狙うくらい)腕を縮める力の方が強いため。重機に倒れてきたとしても、腕の外側なので旋回でよけられる。(逆に、重機オペは左旋回で倒すときは注意)
・(大きく傾いた木をアイバンで伐る時、)あまり欲張って真横に受口をつくると逆に損をすることが多い。
・倒れた時、枝が折れて飛散しても安全な方向を選択。
(竹)
・竹をアイバンで倒すとき、何本かまとめて倒すが、バケットから遠い方(伐倒側)から伐る方が安全。(場合によっては重機でなぎ倒し、元をむしり取ってから玉切りする方が楽)
<オペレータ>
・重機で引く時、ゆっくり倒そうとして多めに弦を残し過ぎるとカシの木は特に裂けて逆に一気に倒れる。裂けないようにするには元を縛るのも方法。
・アイバンは倒す人がどちらに倒すか決め、重機はそのサポートをするというのが基本。旋回でいかない時はくわえて掛ける。
・(ロープをミニで旋回で引いてアイバンで倒していたところ)もう少し前に出ておかないと旋回で回って手前に引いてしまう。特にミニは腕が短いから。
・(アイバンの話で)コンマ45の旋回は力がない。特に斜面下から旋回で起こそうとすると起きない。ワイヤをつけて引くしかない。だからコンマ7が入っていれば気が楽。
・(二又の木を伐る時)あまり強く引くと裂けるかも知れないのでじわりと。
・(2mパルプを咥えてアイバンで倒すとき)右手レバーを左にして咥える力をかけておかないと、油圧が逃げて外れる恐れがある。
・重機の旋回は弱いため、旋回で動かないときは、手前に引き、少し動いたらすぐに旋回する。
<ザウルスで掴んでの伐採>
・ザウルスでつかんでのアイバン作業の場合、つかむことが分かっている木の枝を先に打っておくと作業が円滑。
・ザウルスで太い枝をつかみ、もう1人がハシゴで木に登って枝の付け根を切る際は、顔の前で切ると、切れた瞬間に顔に跳ねてくる可能性があるため、頭の上で切る。
・庭のような所に入る時は、鉄板を敷いて養生することもある。
・アイバンで伐る時でも、木が傾いている方に位置して伐るな。
・路に傾いた竹は、はじめはザウルスで掴みながらアイバンで伐っていたが、しまいにはザウルスで川の方になぎ倒してからチェーンソーで元を切り離した。
・受口を作って倒す場合は重機に対して横に倒す。バケットの回転と旋回。
・スギはザウルスで掴んで揺らすと梢端が折れて落ちてくることがある。
・グラップルでアイバンで伐採するとき、木は掴まずに隙間を開けておいて、倒れたら開いて離す。
<鉄板の敷設>
・「鉄板吊り」のセット+木っ端。
・鉄板は木っ端を梃子にバールで浮かせ、別の木っ端をかませて地面との間に隙間をつくり、鉄板の穴にフックをかける。吊って移動して地面に置く際も、木っ端をかませておかないとフックをはずす時にまたバールで浮かせなければはずせなくなる。
ザウルス
・重機との連携作業の例(応用):重機が滑車を通したワイヤを引き、ザウルスがバケットで押す。
・ザウルスにフックをつける際、ワイヤをダブルにして短くすれば、玉掛け・はずしはやりにくくなるが、より高く吊ることができる。
・ザウルスのバケットは運転席まで来る。
ヒアブでのアイバン
・掴む部分は立たない(チルト機構がない)ので、下向きのまま横に押して、木が寝たところを掴む。このとき元がはねることがあるので、伐り手が退避してからとする。
スイングでのアイバン
・スイングヤーダを使った木出し。ドラム(ウインチ)が2つついているので、1つは先に掛けて引っ張り倒し、もう1つは元に掛けておき引き出す。スイングヤーダはリモコンで動かせるので、1人で伐採できる。人間は木の上に乗って一緒に上がってくればよい。
③吊るし切り
a.ユニックを使用する場合
・吊るし切りで幹にワイヤをかける時、重心の真上にワイヤがかかるのが理想とする。切って吊った幹を降ろす際は、ワイヤを取り、幹の一番太い部分の下に引いておいてから玉切りすると効率的。
・手で運ばなくてもよい(その場で吊れる)枝は大きく切る。(そうすれば、パッカー車に積み込むより速い)
・下にもロープかかけて動かないように引くことも(自然に垂下すればどう動くか予測する):振れ防止
・ユニックが届かず、斜めに吊る形となったが、ユニックの方に受口をつくり、倒れて弦が切れた位置で真っすぐ上から幹を横にして吊る形となるように伐った。
b.ラフターを使用する場合
<クレーン>
(玉掛け、補助)
・荷をはずして手を離した瞬間にフックが振り子状に動いてヒトやモノに当らないように注意を払う。
・トラックの荷台に直接吊り下ろす際、クレーンのオペは荷台の中が見えないため、オペに相図する必要がある。
・道路際や片側交互通行にした道路に荷を下ろす際は、枝がはみ出して通行する車に当らないように注意する。枝の根元側を危険側に固定して斜めに置とよい(パッカー車への積み込みの際も同様)。
・あまりにロープを余らせて(長いロープで)玉掛けすると、荷を下ろす時に絡まり易い。
・クレーンの荷はずしでは、吊り荷が不意に落ちてくることも想定しておく。
・荷はずしの際、近くに構造物がある時はワイヤをフックからはずさずに、シャックルからはずしてワイヤを握っておけばフックが揺れにくい。
・つくねた荷やパルプは先端のシャックルだけ外して、クレーンで引いてワイヤ・ロープをぬいてもらう。
・クレーンで吊り降ろされた大きな枝を複数の作業者で切って行く際、太い枝を切り離すとバランスが変わって回転するため、他の作業者に危険が及ばないか確認する。
・クレーンは作業終了後ブロアで吹いてやる。
・木の根元にも補助的にロープをかけて吊るし切りした場合、伐り終わって元が離れたらロープを外さないと引っかかる恐れがある(重機を使用する場合でも)。
・家の近くでの吊るし切りで、荷を下す場について、樋を壊すくらいなら広い所に下した方がよい。
・吊られてきた大きな枝を下す時、クレーンで吊ったまま枝の先端から切り落として小さくすることがある。特に2人で作業するときは、バランスを考えて切らないと枝が回転する。
・運びに行っている間、下された枝を切って荷を貯めておく時、つくる場所について。奥から置いて行くだけでなく、トラックの通り道を確保しなければならない。
・(クレーン籠の中に多めにロープやワイヤを入れておいたところ)作業の際に邪魔になる。こんなになくてもいい。
・(クレーンで下りてきた荷を外してワイヤをフックにかけるとき、シャックルを上にしていたら)狭い所ではブラブラするからこうするが、広い所ではシャックルを下にする(そのまま使える)。
・クレーン籠は親(2索の方)につける。親は動きが遅い、かつより安全だから。
(吊るし切り)
・枝にワイヤをかけて吊るし切りする場合、重心を見極めないと天秤になったり裂けたりする。ロープで2点吊りすると安全。
・(幹の部分)クレーンで上部を吊っておいて、根元にもロープをかけて引きながら切る。(ロープは別の木の幹に回す)。
・幹の吊るし切りは、太い幹になると1本のワイヤでは斜めに持ちあげる力が働くため、ワイヤ2本で2点吊りすると作業が楽になる。
・クレーンでの吊るし切りは手前側、上側から。
・吊るし切りで、二又の根本で切れば、2回吊らなくて済む。
・クレーンで吊っての枝打ちは上からが基本。吊りあげた時、引っかからないようにするため。
・クレーンで吊った枝を切る時は、切った瞬間に天秤になって動く可能性がある時、ゴンドラ(籠)かワイヤに当って止まるようにする。ゴンドラの下で切ることも。切れた瞬間に吊りあげるクレーンのオペもいるので要注意。
・クレーンでの吊るし切りで、蔓がからまった枝を吊ったところ、引っかかった枝が落ちてスレートが割れた。(クレーン籠)
・1人が木に登って切る、クレーンで吊るという方法も。
・太い枝をクレーンで吊って切るとき、切れた瞬間に付け根が落ちるのを防ぐために、付け根から少し離れた所で下から半分切り、付け根で上から半分切るとそのまま上に吊れる。
・最後の4mを吊るし切りする際、伐り残し(弦)を縦に切って切り離していたが、木の重みがバーに乗らないように縦に切る。
・最後の4mは倒してしまってから吊った方が安全である場合もある。
・(クレーン籠に乗って切る時、元が上がると怖いので、下がる方がいいのか聞いたところ)確かにそうだが、奥にさしている枝は元が上がらないように先に掛けると、斜めに吊ることになり、切った時に手前にズドンと来るのが一番怖い。元が上がっても近くに掛けた方が良い。
・クレーン籠が木の内部に入るのが大変な場合、ロープで吊って切り(あるいは切り落とし)、下におろし、そこでロープやワイヤでつくっておいてあとでトラックまで吊り込む方法も。
・クレーンで枝を切る時、枝を切り残した(とび出した)ままにすると、どういう動きをするか分からず、怪我の原因となるので落とすこと。
・(元から吊るし切りの時、)傾いている木は上から切っていけば挟まれない。(先に下を切って、合わせ切りをするのが一番安全だが、しだいに腕・肘を傷めるという。)
・無線でクレーンのオペを誘導するとき、クレーンからみて右が右旋回。こちらからクレーンを見ると逆になるので注意。(クレーンの旋回でこちらの位置に合わせるには、竿の側面が見えなくなったら止めればよい。)
・クレーンで吊って元から切る時、斜めになっている木を上から切ると、挟まれる恐れは少ないが、切れた時に振る。反対に起こしながら切っていくと振れは少ない。特にクレーンから遠いところでは、木が振れた勢いでクレーンが持って行かれないように起こして切る。
・クレーンで幹を起こしながら伐る時、天秤にならなぬよう先の方に掛け、クレーンは木の根元の真上で吊ると振らない。
・ゴンドラから顔を出して切ると切り口が顔に直撃する恐れあり。
・はじめに、竿が当たるような邪魔な所から開ける。
・(箒立ちのケヤキについて)竿が当たらなければ、真ん中から開けると両側がやりやすくなり、楽。
・幹だけ残すと、切れた瞬間激しく動く。
・元を吊るし切りするときは、木本体の自重の見極めと同時に、張力によって圧縮側と引張り側が入れ替わるところに難しさがある。
・クレーン籠より高所作業車で掛けられた方が楽。自分の位置で切ることができる。
・作業車が入れるならワイヤをかけるのはクレーンの籠に乗った人、切るのは高所作業車に乗った人というのが良い。(作業車の人だけでワイヤがけ、切る場合もある。)
・(応用例)クレーンのワイヤと高所作業車のロープの2点吊りで切る。
・枝の根元側にもロープをかけておくと天秤になりにくい。
・クレーン籠で太い枝を切る場合は、奥を先に切っておいて、最後に手前を切る。
・クレーン籠に乗ってチェーンソーで横に切ると反作用で籠が回転してしまう。それを防ぐためには籠をロープで木に縛っておく。○○さんが籠に乗る場合は籠に長いロープ(木を吊る)と短いロープ(籠を縛る)が必要。
・ゴンドラが枝に乗りそうな時は足で枝を押してゴンドラを移動。
・枝は幹の付け根で切る。意味もなく中途半端に残さない。或いは幹から2mなど、パルプをとることを考えて切る。
・クレーンの竿に沿った線が切れるとクレーンが止まってしまう。枝の中に竿を突っ込む時、注意。
・吊ったものを下ろすとき、子のワイヤがゴンドラの枠に当たって回る。ワイヤを持って回らないようにするが、手を挟まないように。枠を手にかけるときは、指を枠の外側にかけない。
・吊って切る時、切った元がこちらに来るのが一番怖い。できるだけ先の方にワイヤをかけておく。枝の細い所でも、意外と大丈夫。ただし、横になった枝は、先の方に掛けると却って元が押してくるので、どうせ枝先が垂れるなら元に掛けた方がよい。
・幹の太い部分は2点吊り。ワイヤ2本で対角線上に吊り、シャックルでワイヤをつないで、ワイヤがフックを自由に移動できる形で吊る。
・倒木で、まだ根がついているものを切る際、上に切り欠きを作って下から追い、「つる」を残してクレーンで起こし、切り足して引いてもらった。
・(どうすれば段差なく元を伐れるか聞いたところ)バーを定規にして、既に切った面をベースにバーを回して切り進む。幹の中央を中心にバーを回せば平らになるでしょ。
c.他の枝や又にロープを通しての共吊り
・(枝を別の枝に掛けたロープで吊って切る時)切った時に自分の方でなく反対に飛んでいくのが理想。(外側の枝で吊る)
・隣の木で吊る場合も。ナラの枝にロープをかけ、隣のサクラの又に通して下で引いておいて伐る。
特伐
・木を吊る時、ロープを金具に巻きつけてブレーキとする。1周巻けば10分の1、2周巻けば25分の1となり1人で持てる。
・自分を吊っているロープは最初に上まで登ってかける。下りるのは難しいのでロープにぶら下がって下りる。最後は下から外せるように大きいリングと小さいリングがついた構造になっている。
・若い人が力で登って切ると3日持たない。力を入れずに楽に作業すると一週間登っていられる。
・ハンドウインチ(30万)で引きながら家に被った枝を切る際、受口をわざと30度にした。ウインチで引いて、枝が丁度屋根を越した所で弦が伐れてぶら下がるようにした。
・最初に現場をみて、こうやろうと構想を練り、その通りいくと面白い。この仕事の醍醐味である。
・不要な枝は切っておく。切った枝が引っかかったりして事故になる。
・枝を別の枝にかけたロープで吊って、もう1本のロープ(介錯ロープ)を地上で横引きすることで、斜め下に下ろせる。
・スリーロックのカラビナ スライドさせて回して押す。ツーロックだと稀に勝手にロックが外れて開く。
・枝を吊ったロープを(枝を降ろした後、木に登っている人が)地面から回収できるように、足元の枝先から「吊る用ロープ」を細いロープで結ぶ。
・「枝吊る用ロープ」を山側の枝で縛り、それを足元の枝の切り口より手前に固定したカラビナを通したロープで横に引きながら吊って切るとほぼ真上で吊れ、この横に引くロープを緩めていくことで枝が山側へ移っていく。
d.高所作業車のバケットで吊る
・高所作業車のバケットで吊る時、一番上の手すりにロープを回して吊るとよい。下の手すりは弱い。
・応用例。高い位置の枝で落とすと衝撃が大きいとき、ロープの片方をバケットの手すりにくくりつけ、枝の又を通し、バケットの手すりを回して足で踏んで固定して枝を又の下で切り、ロープを伸ばして枝が低くなった所で手を放して枝を落とす。
④先端部から切り落とし
・枝を落とす時、下に直接落とすと危険な場合は隣接する枝、上にある枝と切る枝をロープで縛って切り落とす。またはそれらの枝にロープを通して下から引っ張り、ゆるめながら降ろす。
・枝を落として棒になった木は、追い口を入れても倒れて行かないため切り過ぎて失敗しやすい。ロープをかけて伐倒方向に引くなどするとよい。また、倒れた際にもはねやすいので注意。
・切った枝が落下する衝撃をすくなくするために、太い枝の根元を途中まで切って垂れさがらせておいて、枝の先端に手が届くようになったら先端から細かく切り落とす方法がある。
・高所から枝を切り落とす際、下に枝を少し敷いておけばクッションになる。
・枝を一気に切り落としたいとき、突込み切りしてから下を切り、最後に上を外していた。
・トップハンドルのチェーンソーは危険。向こう側に倒れた枝を途中まで切ってぶら下がった所を、落ちないように左手で持ちながら右手で持ったコガルでつなぎを切った勢い余って左腕を切った。
・高所作業等で片手でチェーンソーを持って切る時、チェーンソーを立てて切ればまだよいが、前に出して切ると、切れた後に足までふりこになって危ない。
a.高所作業車・ユニック籠を使用する場合
<高所作業車>
(高所作業車のセッティング)
・アウトリガーの下敷きは、頑丈な面を下にする。
・高所作業車のアウトリガーはA型とH型がある。H型は前後左右に対応した4本のレバーのスライド/ジャッキを切り換えて、「出・入」のレバーで調整する。作業中はレバーを守るためカバーを閉めておく。
・作業車のアウトリガーは、まず前2本を出し、左右のバランスを調整してから後ろ2本を出して前後のバランスを調整する(水平器がある)。
・セッティングでは、どこから腕をさすか、アウトリガーをどこに張るか検討する。狭い場所では、腕を一番縮めた状態でも旋回して目的の方向にするまでに邪魔になる枝は切らないといけない。
・作業車の作業台をしまう時は、ペダルを踏んだ状態で格納というボタンを押し続ければよい。(12m作業車には格納ボタンはない)
・一度高所作業車を規制から出して向きを変えたことについて聞くと、竿を後ろにしようと思うと旋回しないといけないが、アウトリガーを張れない状況で竿をかなり起こさないと旋回できず、電線が横切っていたのでキャビン側に竿をのばしてやることにした。キャビン側だと、竿の付け根が後ろにあるから、竿を縮めた長さ1本分伸びない。
・作業車のアウトリガーを出すときは、最後にアウトリガーを入れて調節すると油圧が抜けてくることがあるので、少しアウトリガーを出にしておくとよい。
・作業車の設置。前のアウトリガーを出して左右の高さを調整し、後ろを出す。
(高所作業車の操作と特性)
・高所作業車は転倒の危険を自動で感知して、アームが伸びなくなる。
・大きすぎる作業車は竿を振るのにぶつかって使いにくい。
・高所作業車が止まる。作業車は水平をとらずに作業すると止まる。腕の付け根のレバーを操作すれば動く。格納センサーを押せばアウトリガーは動く。作業床のパネルで緊急停止ボタンを押してしまっている場合は解除する。
・12m作業車はよいが、22m級になるとバケット下の油圧ホースが縦になっているので引っかかりやすい。
(伐り方)
・高所作業車に乗って切る人は、必ずしも枝の太い部分を付け根ギリギリで斜めに切らなくてもよい。時間がかかるため、下で作業する人が遊びになり、全体が回らない。
・道沿いでタンコロを切り落とす際は、通行中の車道に転がらないように注意。
・現地置きの現場では、最後の幹も追い口まで切って作業車に乗って上端を押して倒す事も。
・高所作業車で枝打ち、頂端を切り落とし、ロープをかけてもらって、最後は元から伐る方法もある。(こちらが一般的)
・高所作業車で枝を落とすと、枝の先端が下になって落ち、弓なりになって切り口側が幹の方向にはね戻ってきてガラスが割れる事がある。
・高所作業車で枯れ枝だけ落とそうとしても生きた枝が邪魔になって腕が差せない。
・作業車の用途外使用。バケットにロープを回して枝・幹を吊る。
・幹は最後に6mないし4m残すのが採材には合理的。
・作業車の下には入らない。移動している時に拾いに来る。
(枝打ち)
・作業車と2tダンプによる枝打ちの作業システム(一例)。高所作業車で枝打ちして直接荷台に落とす。1人が2tダンプの荷台に乗って枝を細かく切る。もう1人が高所作業車を移動する。もう1人が2tダンプを移動する。もう1人がその後を掃除してブロアで吹く。計5人。
・道沿いの林の剪定伐採では、落とした枝の持ち運び・処理が楽なように予め下草・灌木を伐っておく。
・道路から出た分の枝打ちでは、先に刈払機で届くところを打っておき、作業車で枝打ち、パッカーで回収という方法がしばしば用いられる。
・(面的な枝打ちの場合、作業車とパッカーのケツを向かい合わせ、作業車前進、パッカー後退で移動していくが、)作業車をセットして手前から切り開いて、腕を伸ばしながら(パッカー側に行きながら)枝を打って行く。作業車移動前に枝を打ったところまで届くとまた移動。
(芯止め)
・高所作業車での芯止め。高所作業社に乗って上からみれば、高さを合わせられる。
(その他)
・ゴンドラを後ろに回すと車高が抑えられる。その状態で移動する際はゴンドラが格納される部分のボタンを押す必要がある。
(高所作業車の貸出、返却)
・高所作業車はレンタルであるため、弁当等の荷物を置いたままにすると返す時に持ちださなければならない。
・レンタル屋で燃料満タンにせずに返すと倍以上のガソリン代をとられる。近くに給油所がなければポリ容器に軽油持参。
(安全対策)
・(○○さんは、見回りがくるので、高圧電線に近づかないように、細いロープに1mごとにテープをまいて、高所作業車から垂らして高さが把握できるようにした。)こういうのをみて「気を使っているな」と評価が上がる。
<ユニック籠>
・枝は荷台に落とし(或いはパッカーに)、幹は吊って積めると楽。
・フックの過巻きに注意。
・10mまでしか伸びない。
・揺れて怖い。
b.クレーン籠(ゴンドラ)を使用する場合
・クレーン籠による伐採で、籠に2人乗って枝を受け取る時は、籠を吊るしている四隅のワイヤの外側から手をまわして受け取る。
クレーンでの吊るし切りで、蔓がからまった枝を吊ったところ、引っかかった枝が落ちてスレートが割れた。
・クレーン籠に乗って枝を切り落とす時、先に受口のように下側に切れ目を入れると良い。切り落とした枝にチェーンソーが引っかかった場合は、そのままチェーンソーを持っていると自分も落ちるのでそういう時はチェーンソーを手放す。
・(クレーン籠に2人乗って1人が枝を持って切り、クレーンを旋回して落とす作業で、私が下で拾っていて、1つの枝が落ちてきたので拾いに行ったところ、籠に入れてあったもう1つのタンコロが落ちてきて膝に当った。)上の人優先で作業する。上の人が「いいよ」と言ったら拾いに行く。その時も、上をよく確認する。(枝を持っている人がいても、持っている所が折れて落ちたりしていた。)
・カシの木を切る際に、木の枝分かれの下にロープを結んでおいて、枝にワイヤをかけては枝の根元に籠が下りてきて切る際、ロープを足で踏んでいた。チェーンソーを縦に枝を切り落とすのはよいが、幹を横に切ると籠が回る。完全にロープで結ぶと枝が当たった時に怖いので足で踏んでいる。
c.木に登っての切り落とし
・伐倒の準備段階として、一部の枝を切り落とす場合もある。
・木に登って枝を切っている人がいるとき、引っかかって落ちてこない枝は触らない。
・伐採で枝を先に落とす時、根元を少し残しておけば、木のぼりで足をかけるのに利用できる。
・チェーンソーを右手だけで持って遠い枝を切っていたところ、バーが挟まったのでエンジンをふかして上下に動かした。枝が切れてチェーンソの重みを片手で支えきれず、足の甲を切った。とっさにギュッと握ったので刃が回った。(そういう時はチェーンソーを手放す)。
・木に登って枝を切り落とすとき、枝が下の枝に引っかかると切った枝の元が自分の方に飛んでくることがある。
・切り口は水平という基本を身につけると、木に登って切る時に安全。
・災害事例。向こう側に倒れた枝を途中まで切ってぶら下げたところを、落ちないように左手で持ちながら右手で持ったこがる君でつなぎを切った勢い余って左腕を切った。
・右手で持ったこがるで枝を持った左手を切りそうになった。
・木にのぼる時枝がちょっと届かない時、ロープを枝にかけてロープを手繰ると登れる。
・木に登って伐る時は、下の枝から足場の分だけ残して縮めていき、最後は奥から手前に切りながら逃げてくる。
・木に登っての伐採は、枝を落として登れなくなる前に上の枝にワイヤをかけておく(チルホール等使用)必要がないかを考える。
・木に登るのにステップ(巴化成工業製)があり、肩に何個もかけておき、胸の高さで木に縛って足場にする。ロープも持っておき、足らなくなったら下とやりとりしてステップを受けとる。
・登って切ったりするときは、届く所の短い枝は落とせるものなら落としておく。それを落とさなかったために引っかかって失敗することがある。
・太い立った枝を2点で吊って元にプラロックをかけた。なぜかと思ったら、切ると上からの重みでバーが挟まるので、プラロックで引いて外す。
d.重機バケットに登っての切り落とし
・重機のバケットに乗って切る。少量かつやむを得ない場合の手段。蔓がらみを切ったり、ワイヤを掛ける際にも行われる。
<根切り>
・伐根しやすくするために、チェーンソーで株をミカン割にする。V字の切れ込みを入れるとバケットが入り易い。
・株をサイの目に切り取っていく。突込み切りをするため、キックバックに注意。
(作業システムの一例)
道路を通行止めにし、軽バン、高所作業車、クレーン、ミニ、パッカー(バック)の順位入りトラックはおいておく。Aさんが作業車に乗ってサクラの枝にワイヤをかけ、吊るし切り。Bさんが玉を外して幹を2mでとり、ワイヤでつくる。Cさんが枝をミニでパッカー側に振る。私が枝を細かくしてパッカーに積込み。幹が溜まるとパッカーと7tユニックを入れ替え、幹を7tUに積込み(クレーンで)。
(3)抜根
(構造物付近の抜根)
・塀際の抜根で、塀に向かって左右と手前を掘っても起きない。横に回って掘り起こす。塀際は、重機が近づいて、握るように掘ると、バケットのカーブが塀に当たる。遠くから腕を伸ばして爪を立てて、地面にさして手前に引く感じで。最後に均すときは、塀を横に見る方向で、旋回で均す。手前からやっても、結局キャタの跡を消さなければならないので奥から逃げてくる。排土板を使うなら、下しておいて後退すればキャタの跡がつかない。
・抜根していてU字溝を壊した。U字溝の際は旋回して逃げながら掘れと言われたという。私は、できるだけ離れて、腕をのばして掘れと言われたことがある。
・(街路樹の抜根で)細い木は高く伐って、抜根のときに伐根をバケットで揺らして起こす。太い木は周りを掘らないといけないが、細い木なら梃子の原理で起きる。細い木なら、切り株を高くしておけば抜根しやすい。
・掘れない株は、後で土工に掘ってもらうのが一番。重機を持ってこなくてよい。
・抜根しない場合で、株の切り直しをする場合、斜面ではタンコロが転落する恐れがるので、下が構造物や道路の場合は注意。
・事前に、電気ガス水道等埋設物の確認。
・埋設物がある場合は誘導員を配置し、確認しながら作業を行う。また、道路際の抜根では道路に石が飛ぶ恐れがあるため通行を見る者をつけるなど。
(4)集積・場内小運搬
集掃
社寺や個人邸では、集掃を丁寧に行わないと見栄えが悪くなるため、きれいに集掃する必要がある。
・集掃葉基本的に上から・奥から行う。(きれいにしながら下がってくる。)
・掃除等:公園やグラウンド内に車両や重機を入れた場合は箒・熊手等で轍を消す。
・集掃の際、金属片は取り除く。破砕機が故障する原因となる。
(人力で運ぶ)
・枝を運ぶ際は目に入らないように注意。
・散らかった枝は何本か束を作っておいて(手で集積)両腕で抱え込むと一度に沢山運ぶことができる。
・アカシヤ等、棘のある枝は皮手袋をすると防げる。
・重機(ストレンジャー)がつかみやすいように、枝を集める際は向きを揃えて重機から見て横(同心円状)に置くとつかみやすい。
・高所作業での伐採で落ちた枝を片づける時、遠回りしてでも作業している下は通らないようにする。
・斜面で枝葉を集める時、タンコロを混ぜると重機でつかんだ時に転がり落ちることがある。下に自動車等のワレモノがある時は分けて集める。
・高所作業車の下で枝を拾う際は、できるだけ作業車のオペから見える範囲で動き、籠が移動している時に拾うようにする。
・枝を運ぶ際、下に3人いれば1人がチェーンソーで切って向きを揃え、2人が運ぶというように連携した方が早く終わる。
・沢などで小枝を集めるときは、重機でつかみやすいように山にする。山になっていれば一掴みで済む。
・荷を斜面下にマクるときは、横に倒しておいて斜面上から棒を差し込んで梃子の原理で回す。
・○○さんは、川に倒した竹を手で引く時、滑るので受口にような切れ込みを入れて、持ちやすいようにした。
・狭い所でザウルスの場合は手で寄せた方がよい。ザウルスは掴みにくい。
・枝は元を揃える。
・灌木1本ずつ倒しては切るより、1人はチェーンソーを持たずに並べた方がはやい。
・トビで丸太を引く時は、丸太側面の真上ではなく、少し横側にかけると、丸太が回りながら動く。トビで用材を引く時は、横に引くのではなく、上に浮かせながら引くと動きやすい。本当は2人1組で、1人が浮かせてもう1人が横に引くとよい。
・トビで丸太を揃えるとき。転がして片方の端を合わせておき、もう片方をトビで引っ張って持ってくる。太い丸太に細いのを合わせる。
・(フェンス沿いの竹藪の伐採で)社長は搬出路から近い方から順に伐りながら出すことを想定していたが、○○さんは逆に遠い方から全部倒してしまい、その後で手前から(元を引いて)出していく段取りを組んだ。
(その他)
・斜面の下側にワレモノ等がある時、コンパネを持って重機による落石等を防止する事があるが、コンパネで防げるの範囲外に転がってきたものも止める必要がある(必死)。
・チェーンソーで枝を切るのを手伝うために枝を持って浮かせる際、持つ所を中心に先が上がるように力を入れると切れた瞬間はねるため、先を中心に持つ所を上げるように力を入れる。
・株は、学校や公園では、躓かないように角を落とす。
・(最後にサクラの元を「ヘ」の字型に伐った理由を聞くと)あとでもっと低く切り直してくれと言われると細かいのが出るため。
・土日を開けるので飛散防止対策を求められていたが、○○さんは竹と草を隣合わせて集積し、最後は草の上にキャタを乗せ、竹の上にバケットを乗せて飛ばなくした。
・ブロアの調子が悪い時はエアクリーナを掃除して見るとよい。
・ザウルスはバケットを縦に掴んだ方が地面を傷つけにくい。
・重機のバケットに細かいゴミを入れて積込む方法もあり。
(現地置き)
・枝をつくねる最、葉が裏向きになるように置くと枝葉が浮きにくい。
・伐った木を粗朶にしておいておくときは細い木なら揃えておいて一気に切りそろえた方が早くてきれい。
・刈った灌木をつくねる際、急斜面なため、1箇所に山にすると転がり落ちるので帯状に置く(棚田状)。
・つくねた枝を踏むと沈む。
・現地集積。斜面ではつくねる前に邪魔な木を切る際、株を高く伐って後に支えとなるようにする。
・玉状に置くやり方はしんどい。帯状に流せばよい。
・法面の一番下は高めに切り株を残し、丸太が転がり落ちないようにした。
(ユニック・クレーン使用時のつくりかた)
ユニック
①荷の作り方:ロープ(ワイヤ)でつくねる場合
・ユニック(クレーン)の腕が届かず、真上に吊れない場所では、ユニックから見て縦(放射線状)にロープを置く。ユニックから見て横(同心円状)にロープを置くと、つくねた荷を引く時に輪が抜けやすくなる。
・シャックルは、ユニックから遠い側の先端につけると、引く時に締まっていく。
・吊り上げる時に荷の上に乗ってシャックルを踏んで絞ることもある。
・枝はロープが中央にくるように確認して置き、切り口側と葉のついている側を交互の向きに置いていくことで荷全体のバランスをとる。
・ロープをシャックルに通した後、ロープの輪(アイ)がシャックルのネジ側、通したロープがシャックルの「U」字の下の部分を通るように向きを直す。吊って荷が絞られる際、通したロープがネジ側だとシャックルが緩んではずれる恐れがある。
・ロープでつくねる時は、奥からつくって行くと動線が確保される。
・ワイヤでつくねる時、パルプ用材となるものだけ分けておくとあとで仕分けせずに済む。トラックの荷台でワイヤをかけたままにしておき、プラント(処理場)に到着したら先に降ろす。
・長い枝を切りながらつくねる際は、1人が枝の先端側半分が束になるように持って真ん中を切ってもらう。切れたら束の上に根元側のもう半分を置く。
・ユニックから遠い位置で荷をつくる時は、引きずって引くことになる。手前に切り株等引っかかるものがある場合は、切り株の手前につくる。
・流派A:枝をつくねるとき、枝の向きを反対にして置く時、枝の先端が離れるようにずらしておくと太くて短い形にならない。荷の長さはトラックに入ればよい。
・流派B:荷が大きすぎて、荷台で切ろうにも処理できない
・ロープを敷いて置いて小さい木を倒していけばつくねるのが楽。
・枝が素直なサクラやナラは下にロープを敷いて置いて枝の分かれ目のV字で切って広がりをしぼめれば荷の完成。
・6mくらいで切ったのを、ロープとワイヤを敷いておき、ワイヤに根元が来るように下し、パルプと枝をほぼそのままつくねる。
・パルプはワイヤを敷いておいて並べるが、ない場合は下に桟木を置くか側溝等の段差を利用してあとでワイヤが通せるようにしておく。
・パルプも2mで切ってワイヤをかけておけば、プラントで楽。仕事の「流れ」を考えて作業しなければならない。
・ロープを敷いておいて重機で乗せてつくる場合もあり。(河川・調整池等でトラックと重機の位置する高低差が大きく、直接重機で積めない場合)
・つくるとき、長い枝は元(or先)を玉の端に合わせて枝を切ると揃う。
図2.1 ロープで枝をつくねる場合の例
造材
・パルプ(チップ用材)を2mで切るのは、急いでいないことと4mで切ってプラント(処理場)へ持って行くとまた並べて切り直ししなければならなくなるため。ダンプであけると積むのが面倒だが、ワイヤでつくねておけば吊り下ろすだけで済む。
・造材で枝を切る時は幹に平行に切らないと、切り直しが必要になり、細かいゴミが出る。
・道沿いでは、切り粉が飛ぶ方向を考えて切る。(どちらに立って切るか、バーの腹を使うか背を使うか)
・複数人で玉切りする際は、幹を切り離す瞬間は他の作業者の状態を見る。木が回って大変な事になることがある。
・カイヅカは少し混ざっているくらいなら良いが、パルプにならない。
荷寄せ・集積作業の選択(重機類あり)
①重機が届くなら掴む②近いならロープをかけて引く③ユニック・ウインチ④架線系機械
・重機は進入禁止の所はロープでつくって重機で引く。遠い所はユニックで引き上げる。
(ロープで引く)
・○○さんは、ロープを下に敷かずにつくねた枝にロープを通すため、細い枝をロープにさして、針と糸の要領で枝を地際に差し込んでロープを通した。
・(応用編:ロープでつくる流れ)クレーンで竹をロープでからげて引張り出して、そのまま半分に切ってクレーンでロープが付いた方を吊って合わせるか、ロープを敷いた真ん中に吊り降ろして両側を切って(三等分)真ん中に合わせる。
・引っ張り出し。途中の立木に滑車をかけ、重機につけた台付と引張る木につけた長いワイヤをつなぐ。つなぎ目には、キトークリップがつけてあり、重機で引いた分だけ絞っていける。
(ウインチで引く)
・ブームを起こして引いた方がドラムが乱巻きになりにくい。
(5)積込み
何による(人力、重機、クレーン…)、何への(パッカー、ユニック、ダンプ、ヒアブ…)積込みという組み合わせ。
①ユニックへの積込み
(玉掛け)
・つくねた荷の玉掛けの際、フックが手元に来るのを待っていないで自分でできるだけ取りに行って持つことで、フックが振り子になって物に当る事を防ぐことにもなる。
・ワイヤでつくねて、ユニックで遠くからコンクリートの上を地曳きするとワイヤが切れる恐れがある。また、ロープはシャックルを使わずにつくねると絞る時に擦れて切れやすい。
・クレーンで荷を吊る時、シャックルの向きを正しくしないと吊荷が外れて危険。
・幹を4m造材してワイヤを中央に掛けてユニックで引いてもらったところ、ユニックから遠い場合は幹の端にワイヤをかけ、近くに来たら中央に掛けて吊りあげる。
・ユニック操作はクレーンと同じで手間仕事。掛ける方で決めればよい。
・ユニックで荷を絞ってかけ直す時は、ゆるまないように手で持っておく。
・ユニックも竿を立てて振るとシャックルが窓に当って割れることがある。そのため、狭い所をユニックやで積み込む場合、荷をはずしたらフックを降ろさせてフック側にシャックルをつけてやるとよい。
・大きいまま荷台に吊り降ろすより、下で玉をつくった方がはやい。(特に人が多い時)
(荷台への積み込み方)
・ユニックに枠を搭載し、ロープを2本渡して積み込む際は、前・後ろと交互に乗せて行くことで、ロープを吊って荷を下ろす際に割れにくくなる。
・昔はユニックで荷を下していたので、ロープを2段に敷いていた。草は3本かけて割れないようにしていた。
・荷台にかけるロープは、(前後の長さが違う場合)後ろが短い方が良い。後ろが長いと下ろすときに引っかかる。
・ユニックに枝や幹を積み込む際は、端の隙間を埋めるように入れて行き、上面が平らになるようにする。枝は葉が裏側になる向きで入れて行くと収まり易い。
・(4tユニックにパルプ材を吊る時)最後の荷はかけたままでよい。
・重機がないとき、ユニックの荷をクレーンの竿で押さえることができる。
・ユニックでの積込時、手前から積み込まないと邪魔になる。(地曳きする場合)
・トラックに積み込む際は、最初に真ん中に置いてしまうと前後に中途半端な隙間があいてしまう。4tユニックの場合、最初は荷台後部に置くと、後から乗せていった荷物が前下がりになり、竹などでも後ろから落ちにくくなる。・先に後ろを積んでケツを上げた方が落ちにくい。
・ユニックで玉を積んで行く際、邪魔にならなければ先に大きい玉を積んで、後で小さい玉を積むとよい。
・荷が細かいときは底に長めの枝を敷いて、その上に細かいのを置く。荷が少ない時は玉のままにしいておく。前後2玉に分けて作る例も。
・ユニックで積む時。竿を縮めると操作が多くなり遅い。竿を起こして積む。
・トラックの荷台でチェーンソーを使用するのは1人とする。
・作業車とユニックによる作業システム(一例):作業車に乗った人がユニックのフックからのびたワイヤを枝にかける。吊るし切りしてそのままユニックに積み込み、荷台に乗った人が荷はずし、細かく切る。
・斜面でユニックを使って積み込み、アウトリガーを上げる際は、運転席に1人乗ってブレーキを踏んでおく。サイドブレーキの効きが甘く、斜面を下がっていく事がある。
(枠・スタンション)
・ユニックで枠を降ろす時、①トラックが倒れてくることもあるので、その方向には居ないこと。②ワイヤが切れることを頭に置いて、できるだけ低い位置で旋回する。
・ユニックに用材を積む時は「スタンション」(ステッキともいう)を設置する。スタンションはグラップルでつかんで乗せる。またはユニックを利用する。
・パルプを積込む時、スタンションは鎖のついた輪は外側にしておく。
・スタンションを立てる時は、ストッパーをかけておく。一発降ろしの時は外しておく。
・7tユニックのステッキは車体後部に格納されている。両側上端の鎖を通す所が向かい合うように設置。
・ミニで4tユニックに積み込む時は、枝を短く切って荷台の後ろ側から入れる。
(ユニック使用上の注意)
・ユニックのフックをしまう時は、シャックルが緩んでいないかを確認する。
・(○○さんがクレーンを斜め上に吊って、荷とあおりの間に挟まれそうになったところ)上を見て吊れ。
・(枝葉をワイヤでつくねようとしたところ)上に線があって絞らなければならないところはロープでないとダメ。ワイヤでは絞れない。
・アウトリガーを格納したらロックをかけないと走行中に出てきて危ない。
・7tユニックで4mのパルプの片方を浮かせて引きずり出し、1箇所に揃えておく時、竿を伸ばした状態で浮かせたら、そのまま竿を起こしたり縮めたりせずに旋回して動かす。そうすれば、巻き下げるだけ。竿を起こすとユニック側にいくので、また置く時に竿を伸ばして巻き下げなければならなくなる。(この時、荷台にはパルプが相当乗っていて、横転の危険がなかった)。
・ユニック操作はソフトにじわっと。ラジコンのボタンはソフトでなくてもよいが、エンジンの吹かし方をソフトに。
・ユニック操作でキャビンの上にいるのは、ドラムに絡まないように見ておくという意味もある。
・竿を伸ばしたまま吊りあげると倒れる恐れがあるので、竿を縮めながら巻き上げる。
・重いものは地面スレスレで吊って、もしもの時に地面につくようにする。
・7tユニックのフック格納は、格納ボタンを押したままアクセルを握り続ける。
・ユニックのセッティング。誘導者は上(木の枝、電線等)も見てユニックが使える位置に持ってくる。
・リモコンの電池がなくなって予備を使ったら必ず補充する。
・ユニックで吊る時は吊る側に入らない。横転した時下敷きになる。
・フックの過巻きとアウトリガーが浮いていないかを見ながら作業する。
・重いものを横に伸ばして旋回すると横転の危険。横に旋回するときは竿を縮める。
・ユニックのワイヤは、クサビで固定されており、外すときはクサビを叩いて抜く。
・2索は、動滑車がついており、動きが遅いが重いものでも吊ることができる。
・4tユニックのフックを格納する際、フックは車体側とし、ゆるんでも外れないようにする。
・7tユニックはユニックの操作とアウトリガーの出し入れは同時にできない。
(ミニで積む)
・(ミニで4tユニックに積込む際)前も後ろも(その場で)旋回で積もうとするから荷台の中で斜めになる。キャタで動くというひと手間が必要。
・(最後に4tユニックのモサの上に幹を置くのに、幹をワイヤでからげて吊るかと思ったら)荷台にワイヤを敷いておいてミニで幹を積む。
・ユニックで遠い所のものを吊っているときは、吊っている側に入らない方がよい。万が一トラックが横転すると危険。
ユニック籠で切って放り投げる場合も
(荷降ろし)
・プラント(処理場)でユニックの荷を吊って下すとき、重機側のロープを先にかける。
・ユニックでパルプを吊って下すとき。パルプが荷台の外まで旋回したら、腕を伏せてトラックが倒れないように(傾いてもすぐに地面につくように)する。
・パルプをユニックで下ろすとき、トラックのあおりを越したら竿を伏せて1~2m離して巻き下げる。そうしないとトラックに傷がつく。重いもので横転しそうな時はすれすれで下ろせばよい。
・ユニックのアウトリガーは前輪が浮かない程度に上げる。作業車やレッカーは4点支持なのでタイヤを浮かせる。
・荷をストレンジャで吊って、ロープを回収するとき、バケットが完全に下がってから近づく。
・自社のユニックで降ろすとき、重機で掴んで出した場合は、時間があれば枠を外して掃除する。
・ユニックのモサの上に幹を乗せるとき、そのまま載せてグラップルでつまんで降ろそうとすると枠を傷めるので、ワイヤをかけておき、吊って下ろすとよい。
②パッカーへの積込み
パッカー車
・パッカー車に枝を入れる際は、枝の根元側から入れる。
・緊急停止ボタンは車体後ろ側下の赤い棒と左右のボタンがある。
・車体後ろ側左のレバー操作で「単独」と「連続」の切り変えが可能で、「単独」にすることでも止められる。
・再び動かしたい時は「積込」ボタンを押す。
パッカー車の荷降ろし方法
①エンジンのかかった状態で「T.P.O」ボタンを押してクラッチを踏んで離すとスイッチが入る(エンジン音が変わる)。
②一番右のスイッチを「排出」に。
③ホッパ(真ん中のスイッチ)を「開く」に。
④左上の黒いスイッチで蓋についたゴミを落とす。
⑤一番左のスイッチを「後ろ」に。出しきったら前後に振り落とす。
⑥出し切ったら左のスイッチで完全に前にして、真ん中のスイッチで蓋がロックされるまで閉め、一番右のスイッチをかき込む方にして「T.P.O」ボタンを解除(解除せずに走るとギヤがいかれる)。
・ゴミを降ろす前に必ず道具を降ろす。計量器(カンカン)に乗る前に道具を降ろすようにすると降ろし忘れがなくなる。
・パッカー車の輪止めの紐がマフラに接触して溶けるため、紐は縛っておく。
・枝をパッカー車に入れる際、枝を横にして口に収まる長さにすると速く掃ける。細かく切ってから運ぶと大変なため、運んでパッカー車の前で切る。
・パッカー車の横のポケットや上に道具を置いたまま走行することのないように注意する。また、走行時はホッパを閉める。
・棒状になった枝をパッカー車の後ろに立てかけると、倒れて車道に転がる危険がある。
・パッカー車はシリンダーが動かなくなるまで積み込めるが、満杯に積むと出す際に時間がかかる。
・パッカーは「排出」モードになっていると後ろの積み込みボタンを押しても動かないので、レバーを「積込」にする。
・(生きた)サクラの枝は、(折れにくいので)パッカー車に縦に入れない方がよい。いつまでも入っていかない。
・竹の幹を玉切りするとき、足で固定すれば回らない。
・枝を1人が持って1人がチェーンソーで切る際、切る人はパッカー車を背にして切ると遠くなるのでパッカー車にむかって(もしくは横で)切る。
・短く切った幹(タンコロ)を大量に積みたい場合、パッカー車を排出の時のようにホッパを上げてタンコロを先に入れてから、枝を積込むとよい。
・1人が長い枝を持ってもう1人が切る時は、先端から切っていくと持ち直さなくて済む。
・パッカーに積込むとき、3車で1日ギリギリとする。2車目を積んでいる時、あと1車分だと思ったら、少し早めに走らせて、最終を時間的余裕を持って積むとよい。ただし、乗り切らなかったらアウト。2車目をめいっぱい積んでいると、3車目で時間がなくなる場合。
・積込みでパッカー車を移動する際、積込みの動作が止まってから(TPOを切ってから)動かないと機械を傷める。
・連続作業では枝を拾う人、運ぶ人、パッカーの前で持つ人、細かく切る人の役割分担をするとスムーズ。
・(参考 荷降ろし)パッカーの荷降ろしで、ホッパに枝等が引っかかって落ちないときは、安全棒で固定してから下に入って取る。安全棒はどのパッカーにもある。ロードメンテナンスの黄色パッカーは、レバー式で出る。
・ミニで掴んでパッカーに投入したり、軽ダンプをケツ同士つけて投入する応用も。
③ダンプへの積込み
クレーンで吊って降ろす。重機で積む。作業車で切って放り投げる場合も。
・高所作業車のバケットにロープをかけて、パルプを2tダンプに積込したことも。
・高所作業車で切り落とした枝を、1人が4tダンプの荷台に乗り、下の人が拾って渡す場面があった(人海戦術)。
・(荷降ろし)ダンプアップしたあとは真っすぐ前に出る。カーブすると軸がゆがんだり横転する危険がある。
④ヒアブへの積込み
ヒアブ
・ヒアブから荷降ろしする際、アームを戻しながら、次にどこをつかむかを見ておくと迷いがないためグラップルが揺れない。
・ヒアブに積み込む際、前・後ろ、右・左を交互に乗せて行くと収まりがよいようである。降ろす時もその逆で。
・ヒアブは縦に置いた方が扱いやすい。横に置くと遠くが届かなくなる。(ストレンジャーの場合の直角方向)
・ヒアブは先端にフックがあるが、最後に細かいのをさらえる時にグラップルを横にしてつかむ方法はフックがいかれるのでダメ。
・ヒアブで荷物をつかんで遠くに置く時、旋回してから腕を伸ばしていては遅くなる。旋回しながら腕をのばせば置くだけ。
・ヒアブでも、積み込んで荷台でさばく場合もある。(散らばるスギの例、この時はパルプだけ取って梢端部はプラントでつざんだ)
・ヒアブに2mパルプを混載で積む時、パルプは荷台に対して横に置いてかため、モサを縦にすれば下ろすときに分けられる。
・ヒアブの操作。左レバー左右:旋回。左レバー上下:アーム上げ下げ。右レバー左右:グラップルの回転。右レバー上下:ブーム上げ下げ。左ペダル:グラップル開閉。右ペダル:アーム伸縮。
・作動油は46番。機械(→重機)によって油のかたさ(番号)が異なる。
・ヒアブは前が見にくく、半分勘で動かしているので、人はよけるようにしてほしい。
・旋回は旋回だけすると激しく動いてバケットを振る。アームの伸縮やバケットの回転をしながらだとスムーズに動く。
(重機による積込み)
・4tユニックに積込む場合。4tUのユニック竿の根元にギアオイルのエア抜きがある。積込みの時、割らないように注意。
・重機でつかんで垂れ下がった枝は、4tUの枠のリア側のあおりが低い所を通すとよい。ただし、このときトラックのロープに引っ掛かって動かないように注意。
・キャビン側の端は揃える。掴んでとび出した枝があれば、一度置いてその枝だけ掴んで抜き、揃え直してから掴む。荷台からはみ出した状態で押さえつけると、運転席の後ろのガラスを割る。
・荷台の中で掴んで押さえると入っていく場合がある。
・積んだ後に、荷台に上がって状態を見て確認。
・沢山掴んだ時は、奥の見えない所で枝が縦になっていることがあるので、集積したモサの山に撫でつけて縦になった枝を折る。
・上から縦に押すだけでは入らない。積込む時、奥側がスカスカになるので、手前から奥に転がす感じ。
例
・現場に3tダンプと3tパッカーしか入れない竹藪で、はじめはパッカーに入れていたが、コンマ25を入れてのち3tダンプにロープを敷いて積込み、近くの広場まで小運搬して4tユニックに積替えた。
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