#06 私たちのイノチの源のそばで働くってどういうこと?①農業編
ここまでの復習
第五回のゼミで学んだことはこうでした。
ガチで社会を変えたいなら、〇〇を考えよう。
https://note.com/kikohendo/n/n01f3d209584d
〇〇を思い出せますか?
そう、「ガチで現実を変えたいなら、仕組みを考えよう」でした。
個人でできる事はどんどん勝手にやればいいですよね。しかし、たとえば「すべての小学校で農業体験」や「サステナブルプロダクトを社会の当たり前にする」というのは、あきらかに、一人では難しい。そこで「仕組みを変えるために、みんなで共にはたらく(Act locally)」を構想する練習をくり返しています。
複雑な現実と向き合う
これまでのゼミでは、「こうしたら正解」という話を学ぶこともありました。たとえば、脱炭素や循環型社会などは、それが気候変動の対策として正しいことは、科学的には決着がついています。たべものを無駄にしない…というのも、正しいですよね。
それが正しいのはわかった。それで、実際にそれをどのように現実の中で達成していけばいいのでしょうか。そのためには、複雑な現実と向き合う必要があります。
動画と対話で学ぶ
今、この社会で実際に何が起きているのでしょうか。
それがゼミの第6-7回での投げかけでした。特に、私たちの生活に欠かせない「食」。SDGs としても、飢餓をなくすこと、海や陸の環境を大切にすることが示されています。また、「食べ物の質」は目標の17個には掲げられていないのですが、私たちの幸せに深く関係することですよね。
そこで、農業や漁業、それに関わる人たちの実際を見て、聞いてみることにしました。ほんとうはみんなで現場に行きたい!ところでしたが、まずはわれわれ取材チームが現地に行ってきて、その様子や声を動画で収めてきました。
今回ご紹介したのは、さっぽろ連携中枢都市圏である長沼町で、卵農家をやっている「卵ラン農場ムラタさん」。そして、厚真町で漁師をされている澤口 研太郎さんです。
できればここでもその動画をシェアしたかったのですが、しません。というのも、その内容は一般公開するには、その内容がちょっとフクザツなものだからです。対話をプラクティスしてきた参加者とご一緒するという信頼をベースに「対話の呼び水」となること前提に映像作品をつくっているので、不特定多数に出しっぱなしにするにはちょっと刺激的です。ぜひ参加された方にその様子を聞いていただければと思います。
映像をみんなで見た後に、みんなで問いをもとに対話しました。
第6回 「卵ラン農場ムラタ」さん編
・サスティナブルな農業を経営する難しさ
・鶏を閉じ込める「ケージ飼い」と、自然の力を生かす「平飼い」
・生産者、消費者、メディアの「ほんとうのこと」
・若者へのメッセージ:思いがあるなら見せてみろ
こんな問いについて話してみました。
・動画を見て、自分のハッとしたこと、気持ちがうごいた場面はどこでしたか。なにがあったから、そうなったのでしょうか。ご自身の経験に紐づけて、シェアしてください。
・どんな環境や仕組みが日常にあれば、もっと「本当のことが見えてくる」「思いがあるなら見せてみる」ことがしやすくなるでしょうか。
こんな声が聞かれました。
・養鶏も農業も卵や作物が作られた製品の裏側、を知ることができたら、そういう仕組みがあれば(最近は掲げているところもありますが)、消費者も生産者のことを知る、そういう機会が増えると良いのではないでしょうか。
・生産者と消費者がうまく繋がると、お互いにより良い暮らしができるのではないか。その繋がり方は今コロナの影響でオンラインが盛んになってきたので、チャンスなのではないか。
・仕事で温泉旅館のオーナーなどに「本当のこと」を聞くためのインタビューをしているが、「かっこいいこと」が語られてしまうことが多い気がしている。もしくは、当日は本当のことを喋ってくれていたのに、いざ記事になると「かっこいいこと」に直してくれ、と言われることがある。もしかしたら、これまでの広告の仕事がそうだったからなのかもしれない。「本当のことをしゃべることが、かっこいい」という空気ができるといいのかも。
・仕組みというレベルは難しかったですが、これだけインターネットやソーシャルネットが発達していても何が真実なのか結局わからないし、思いはなかなか伝わらない。何か足りないのだろうなと。卵ラン農場の村田さんは、動きながらあれだけ説得力のある受け答えをしていたのが印象的。やはり全ての真実や思いはその事の現場や現実の中にこそあるのだろうと思いました。
・本当のことが見えてくるのは時間がかかりそう。甘い環境に居るからこそ見えてこないのかもしれない→無理矢理違う場所に身を置かないと今の視点や考え方から変わることは難しいけど、変わりたい気持ちはちゃんとある。
・「思いがあるならみせてみる」ができるには、その思いを丁寧に受け取ってくれる人がいること。その思いをいっしょにやってみようと歩んでくれる人がいること が大事だと思いました。(それ必要です!という賛同の声も聞こえました。)
・「いつかこうなりたいな。でも今はまだできない。」って思う癖がついている。私は、何があったから諦めるようになったの?
・人生へのやる気が違う。ガチで人生を起きている人からの言葉ってやっぱり違うな。いますぐは無理でも、自分もこうなれたらいいなと思う。このお父さんを見返そう!
小柳明子さんからの次のようなハーベストバックがありました。「オンライン越しでも、参加者のみなさんが(映像の内容から)揺さぶられているように見えました」「動画を見ている自分たち」を見ている人がいる。その視点から自分たちを見つめなすことで、どんな気づきがありましたか。
次回、漁業編につづく
【第7回目】私たちのイノチの源のそばで働くってどういうこと?②漁業編(2020.11.11)
グラフィックハーベスター 小柳明子
エディター 反町恭一郎