第7-3回 【肩書きの“悪用”術を学ぶ】ガチに気候変動に取り組むための”ユース”の作戦会議
立場、役割、肩書き、看板…。
「レッテルを貼る」なんていう言葉もあるように、これらは、私たちのものの見方に影響を与えます。
たとえば、「公務員」と「ITベンチャー社員」と聞くと、あなたはどんなイメージを持ちますか。
前者はなんだかお堅い人で、後者はなんだかイケイケな感じがしますか。
実際には、私たちは十人十色であるにも関わらず、私たちは看板だけを見て、人を判断することがあります。その人の内側にあるもの、人格やスキルは見えづらいものですが、肩書きは見えやすいものだからでしょうか。それらがあると、ぱっと見で、その人のことを決めつけて、分かった気になれます。
これらは、便利ではありますが、それだけでは、深い相互理解や、私たちが大切にしている対話と協働をする関係には、至りづらいでしょう。
しかし、今回は、私たちが挑んだのは、名付けて「肩書きの“悪用”術」です。あえて、肩書きでその人を決めつけることをやってみました。そして、その決めつけを「可能性というフィルター」で見つめるとどうなるかということを試してみたのです。
具体的に説明しますね。
たとえば、「公務員」という肩書きに対して、勝手なイメージ決めつけてみてください。
お堅い…融通がきかない…休暇がとりやすい…どうせクビにならない…安定している…まじめ…
こんな調子で、普段このゼミで大事にしている「ダイアログの原理」をあえて放棄しましょう、と呼びかけまでしました。
それらを可能性として見た時に、なにが見えてきますか。「公務員」という肩書きが、社会的に負っているレッテルがあるからこそ、それを”悪用”することで、持続可能な社会づくりのために、ひらかれる可能性はなんでしょうか。
実際に、今回の参加者の中からは、「公務員」という肩書きを、「民間人では容易には入りづらい、社会のさまざまな場所に出入りするための武器として使っている」などの声が出てきました。公務員という肩書きが社会的に信用を負っているからこそできることでしょう。
あるいは、「おばさん」という肩書きも出てきました。これは決めつけですが、「おばさん」は、人が並んでいる列に、横入りをします。そして、空気を読まずに、人の話に割り込んできます。もちろんこれは実態ではありません。しかし、この「しょうがないな。横入りされても、おばさんだから」とみてもらえる看板を”悪用”するとどうなるでしょうか。
たとえば、みんなが小難しく経済の話をしている時に、「ごめんねー、私おばさんだからさー。私にもわかるように、話してくれない!?」「環境を大切にする話をしたいんだけど」と、ぶっ込むことがしやすいかもしれませんね。
他にも、「中・高学生」という肩書きは、「守ってもらえる」「影響力が高い」などがいくつか聞かれました。中高生がするから、ニュースで取り上げられやすいということもあるのかもしれませんね。
長期的に成果を出すためには、その人の内なる力が発揮されるのが望ましいと私は考えています。しかし、それに関わらず、私たちが、時に息苦しいと感じている立場やレッテルは、開き直って使えれば、それは武器や防具として使えることがあるかもしれませんね。
今回は少しテクニック寄りの話でした。私たちは気候変動対策、SDGsの達成という大きな目標のためには、「使えるものは使っていこう」という、しなやかさも必要なのかもしれません。