#01私が私を取り残さないために、今できることはなんだろう
札幌市みんなの気候変動SDGsゼミ・ワークショップ。第1回目のタイトルは、「今という時代を生きる私たちの暮らしのチャレンジにみんなで向き合い始めたら?」。
スタッフを合わせて60名程度の参加がありました。こちらのnoteではその模様をレポートします。
なぜゼミをダイアログでやっていくのか
ここでは「ダイアログ/対話」という方法が使われます。ここでは、代表ホストの牧原ゆりえさんから、2つの側面について語られました。
■土づくり
気候変動やSDGsという、複雑な課題をに取り組にあたり、すぐに解決策に飛びつくことをせずに、チームやコミュニティーとして育て、人と人の信頼関係という土壌(キャパシティ)を作ることを大切にしようと呼びかけがありました。
「土づくりは大切ですが、一人でやると途方に暮れるものです。皆さんの中には、すでに種があります。たくさんの種が芽を出して、根を張れる土を、対話で耕しましょう。」
それぞれに異なる私たちがどうやって居心地良く、互いのことを尊重しながら、自分のことを大切にするように過ごすことができるか。その過ごし方を話すところから始めました。
■より本質的な課題をつかむこと
「対話で課題解決をしません。いま見えている課題は氷山の一角で、その根っこにはパターン、根本的な構造、思い込みなどがあります。その『モト』をさぐり、共に働きかけることをしませんか」
「もぐら叩きゲーム」において、出ては引っ込みを延々と繰り返す「もぐら叩き」を続けると、いわゆる対症療法に陥ってしまいます。それを避けるため、対話は、その意味で「モグラを叩く」のではなく、皆で多様な視点を持ち寄り、より本質的に解決すべき課題が何かを明らかにしようとします。
誰一人取り残さない
https://concord.se/leave-no-one-behind
このゼミのタイトルにもあるSDGs(持続可能な開発目標)。
2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成されており、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」世界をつくることを誓っています。
そんな未来を作ろうとする私たちが、お互いを取り残さないために、また、先ほどの「土づくりとしての対話」の意図も込めて、こんなことについて皆で探りました。
あなたがあなたを取り残さないため、誰も取り残さないこのゼミの仕組みを作るために、このゼミで大切にされたらいいと思うことは何ですか。
たとえば、このような声が上がってきました。(一部抜粋)
みんなが聞いてくれている感じ/偶然を大事にできる場/人それぞれ意見は違って当たり前!意見の違いを楽しむ!/自分の今の好きな形、気持ちいい姿勢で参加する/お互いを否定しない、相手をお尊重する/わからないことを分からないと言える/新しいことに挑戦できる雰囲気/「許容」と「余白」という言葉が印象的でした!/とりあえずしゃべってみる/だらーっとできる余白/待ってもらえること。使い慣れないツールも、待ってもらったりフォローしてもらえたりすること/お菓子食べながら、好きなもの飲みながら。カメラオフの自由があること/「自分の声を聴く/毎回のグループ対話を楽しむ&大切にする などなど
「誰も取り残さない」というのは大切なことです。しかし、17色のバッジをつけて声高に「大切だ!」と言ったからといって、複雑な現実はどうにもなりません。
「SDGsのために、誰ひとり取り残さないことが大切だということを伝えてくれる人よりも、うまく話せなくても話を聞いてくれる人に私は助けられてきた。」というホストの言葉に多くの参加者の深い頷き、スラックで上記のコメントは盛り上がっていました。
その様子を見ると、まずは「私が私を取り残さないため」の過ごし方について聴き合うこと、そして、自分ができることから形にしていく練習を始めることの大切さを、参加者のみなさんが受け取ったようでした。
科学に基づき、正しく怖がる
いよいよ内容に入ります。気候変動の話に先立って、今の社会に大きな転換をもたらしている新型コロナウィルスを引き合いに、科学コミュニケーション(科学にかかわる情報を、科学者と市民がやりとりすること)について学びます。
ホストのゆりえさんは2020年2月頃を振り返って、「やみくもに恐れすぎていたかもしれない。」と語ります。
それに対して、札幌市の佐竹さんは、こうお誘いします。「正しく怖がるために科学のことを一緒に知りましょう。もちろん、そもそもどうやって聞いたらいいのかもわからないこともあるかもしれません。私のように、知識を持つ人で話したがっている人もいるものです。科学のことを知らない人が遠慮せずに科学者に聞くことも大切だし、科学者が(佐竹さんが実演するように)絵を使ったり、わかりやすく説明することも大切ですよね。そこから始めましょう」
気候変動について学ぶ
続いて、札幌市佐竹さんから気候変動にまつわるイントロダクションが行われます。
地球温暖化は温室効果ガスが蓄積することで引き起こされるものであること、世界人口は1950年の25億人から、2020年現在およそ78億人に増加、CO2濃度が急激に上昇しており、科学的に、地球温暖化には、 もはや疑う余地がないこと。
そして、気候変動は「一度変わったら、元に戻らない(不可逆)」こと。世界の現在と未来が、数字をベースに淡々と述べられます。
昨年のゼミで放映した2100年未来の天気予報もご覧ください。地球温暖化対策が実らず、平均気温が最大4.8℃上昇した世界。環境に関する話題は規模が大きく実感しづらいものですが、長期的にみるとハッキリと影響が出てしまうことがわかります。
ズームと同時並行で使っている参加者のスラックからは、「元に戻らない!ということに衝撃を受けた」や「インドで気温50℃!知らない。エーッ」「気候変動は戻らない、とても恐怖です」「テレビだけじゃなく色々な媒体に目を向けないと、本当に自分が必要な良い情報は掴めないのかなと思いました…」など、ショックを受けていた様子が見られました。
「我々に課せられた使命」
こうした気候変動の現状を踏まえて、佐竹さんは、「この課題に取り組むことは、我々に課せられた使命だと思っている」と繰り返しました。
それに呼応するように参加者からも、次のようなコメントが寄せられています。
・私がおばあちゃんになったとき、散歩して心地よくないといやだ。
・子供が私と同い年になった時に、平和な地球というか、暮らしやすい地球、日本になっていて欲しいです
・人口変動の一番大きな時代に生まれ育ってきたんだ、すごい時代に生きているんですね。そう思うと、ドキドします。このドキドキをどうしたらいいのか、これからのゼミで見えてくるといいなあ。
気候変動など複雑でかつ長期にわたる課題は「今すぐ、身に危険を感じる」ことが難しいテーマです。一方で、「やみくもに恐れる」ことや、「我慢をすること(将来世代のために現在世代のニーズが満たされないこと)」も、私たちの豊かな暮らしを損ねてしまいます。
そこで、ゆりえさんから、このようなお呼びかけがありました。「この困難な課題を、私たちの暮らしの質を下げずに、なんとかしていくために、どうしたらいいかを一緒に考えていきませんか?」
科学から学び、みんなで賢くなる。そして私たちが共にできることを探り、より現実に影響力のある実践へとつなげていく。そのようなつながりを育む、札幌市みんなの気候変動SDGsゼミ・ワークショップ。
全12回の開催を通じて、「誰一人取り残さない」社会に向けて「ガチ」で動き始めました。私が私を取り残さないことを、暮らしや仕事の中で、実際にできるよう
【ご案内】 参加者募集中です!
自由で多様な学びの機会たっぷりの「みんなの気候変動SDGsゼミ・ワークショップ」は、引き続き、参加者募集中です。開催期間は、2020年9月~2021年2月、18時30分から21時00分。
お申し込みの方は、各回のご案内をメールにてお届けします。
➡︎こちらからお申し込みください。
https://forms.gle/9pDvPskPTWqY82RS9
【リソース】
① Facebookページ
https://www.facebook.com/ourclimatechange.semi/
②これまでどんなことをしてきたの? (2019開催レポート)
https://note.com/kikohendo/m/m9a74a087ec5d
③ワークショップについてのお問い合わせ
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/sdgs/workshop/2020.html
主催:札幌市 環境局 環境都市推進部 環境政策課
【第0回目】グラフィック・ハーベスティングを用いて表現する(2020.9.29)
グラフィックハーベスター 絹村亜佐子、伊勢田麻衣子
ライター/エディター 反町恭一郎