みんなの気候変動SDGsゼミワークショップ第7回までの振り返り
札幌市主催の「みんなの気候変動SDGsゼミワークショップ」。
絶賛進行中ですが、これまでをストーリーにして振り返ります。
あくまで私(反町きょう)の視点からのまとめであることにご留意ください。ここに記載のあること以外にも様々なことが学ばれています。
まずはウォームアップ
第1〜3回はウォームアップでした。多様な私たちが、居心地よくいられるための基礎力づくりです。
そして、4回目から「まちづくり編」がはじまりました。
札幌市の次期総合計画やその背景について学びながら、公務員や企業人、農業者、ママ、おじいちゃんから学生など多様なみんなで話を進めています
テーマは、日本のトレンドである「人口減少+超高齢化」
「ジンコウゲンショウ、コウレイカハ、シャカイモンダイ」と1339回くらい聞いた気がして、つい私もそう言ってしまうことがありました。
しかし、よく考えると、それはただ起きていること(現象)であって、それ自体は良くも悪くもないのですよね。
どういうことを前提にすると、人口減少は、「ピンチ」になるのでしょうか。逆にどうしたら、それは「チャンス」になるでしょうか?
根っこを探る対話を進めると、どうやら大量消費・生産・廃棄の経済を前提にするとき、私たちは「高齢化と人口減少」を、ついなんとなく、まるごと問題視しがちなことに気づいてきました。
しかし、その暗黙の前提に囚われずに、具体的かつ主観的に語ってみました。人口減少が進むと、どのような人が、どんな顔で、嬉しかったり、嬉しくなかったりするのでしょうか。こうしてリアルに描いてみると、必ずしも負の側面ばかりではないことが見えてきました。
ありたい暮らしの未来を描く
そのようにひらかれた発想の中で、人口減少+超高齢化という現象が進む中でも、「これは譲れん」という、今後も大切にしたい暮らし方を描きました。(その議論のOSとして、第2回に学んだ「マックスニーフの“ていねいな発展”のフレームワークを使いました。)
たとえば、銭湯に行って、「あの人今日は来ないねえ」と、心配してくれる/心配したくなる人がいる。高齢になった時に、お世話になるだけじゃの存在じゃなくて、役に立つ存在でいられる。毎日の暮らしの中で、環境を壊さない商品があたりまえに使われている。そんな暮らしでした。
そこには、第1〜3回で学んだことも意識されていたようです。たとえば、「脱炭素」。これはもう、気候変動の解決策として科学的には正しいと決着がついています。だから、環境を壊さない商品(サスティナブルプロダクト)を使用することも正しいですね。
ちなみに、2020年10月26日 には、菅総理大臣は臨時国会で、所信表明演説を行い、脱炭素社会の実現に向けて「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明しましたね。
仕組みを考える
さて、問題はそこからです。正しくてキレイなことは描けたのですけど…じゃあ、実際、どうしましょうか。
正しいことを言うだけではなくて、ガチでそれを実現しようと思うと、どうも〇〇について考えざるを得ないみたいなんです。
そう、「ガチで現実を変えたいなら、仕組みを変えざるを得ない」でした。
どういうことか。もちろん、私たちが個人でできる事はどんどん勝手にやればいいですよね。
しかし、「毎日の暮らしの中で、環境を壊さない商品があたりまえに使われていること」「すべての学校で農業体験をできるようにすること」などを実現するのは、あきらかに、一人では難しいことです。
それゆえに、「個人の努力」だけではなく、「いいことをしやすい/ダメなことはしづらい仕組み」を考える必要があります。
あなたがゴミを拾うのはとても尊いことですが、「そもそもゴミが出づらい仕組み」をつくれないか。あるいは、あなたが一生懸命走るのはステキなことですが、もしあなたが逆向きに動く「ランニングマシーン」に乗っているなら、まずは「その仕組みを止める」ことをできないか。そんな視点で考える練習をしています。
ただ、それと並行してやらなくてはならないことがありました。
複雑な現実と向き合う
描いた「ありたい姿」が、いくら正しいことであっても、「実際にガチで現実を変えていく」となると、話は一気に複雑なものとなっていきます。
たとえば、「脱炭素しよう!」と言っても、もしあなたの友人が石油産業に従事していて、家族を養っていたとします。あるいは、あなたが冬場に自宅で暖をとるために、大量の石油を消費していたとします。そこに「気候変動対策をしろ」「脱炭素」という、正しいことを叫んだところで、現実は本当に変わるでしょうか。
そう、ガチで現実を変えていくためには、「暗黙の前提に囚われないこと」や「未来を描くことも」だけではなく、複雑な現実と向き合う必要があります。そして、それがゼミの第6-7回のテーマのひとつでした。動画でリアルな農水産業の現場の声から学びました。
そんな今から未来へと進んでいくための道筋には「一直線で進めるような、唯一のただしいやり方」はありません。だからこそ、多様な視点を持ち寄り、対話しながら共に試行錯誤をして、欲しい仕組みをつくる・続ける/いらない仕組みをやめることが必要になってきます。
つまり、「ガチで現実を変えたいなら、仕組みを変えざるを得ない」。そして、「仕組みを変えたいなら、みんなで共にはたらく」必要があります。
みんなではたらくために「呼びかける」
さらに、今回は、そこからさらに一歩踏み込んで考えてみましょう。
では、どうすれば、「みんなではたらく」ことを始めることができるでしょうか?
そう。「変えようよ!話そうよ!」という「呼びかけ」がなくてはなりません。まるで火起こしをするための、最初の種火をつくるように。
実際に、このゼミの第5回では、参加者のひとりである、みかさんがそれをやってみました。
私は自然がめっちゃ好きです。なんでみんな地球を壊すものを使っているんだろうかとモヤモヤしています。サスティナブル・プロダクトを使うことを「あたりまえ」にしたい。でもどうしたらいいんだろう。答えはないけれども、みんなで考え始めませんか?
みんなで「モヤモヤ」を始めました。モヤモヤは答えのないことに直面することであり、それゆえに、イノベーションの生まれるところでもあります。
「呼びかけ」をつくろう
「みんなのSDGsTV」の特別番組です。第5回で行われた「みかさんの呼びかけ」の本番の様子と、その舞台裏を映像にしました。みかさんが呼びかけ人、私がコーチを務めています。
実際に、本編の中で「呼びかけ」と、それに応ずる対話に使われた時間は15分ほどですが、その準備のためにダイのオトナ3〜4人が実際に手を動かした時間は、およそ3週間、20時間ほどでした。
その結果、現在、みかさんは、少なからぬ応援を受けることになり、さらに次の動きを呼びかけています。サスティナブルプロダクトをつくる企業に、若者のみんなで取材に行って話してみよう!と言う企画です。12月に実施予定です。
そのように、社会を変えていく動きをつくる最初の一歩が「呼びかけ」です。それがどのように作られているのか。一時間と長いですが、よかったら少しずつでもご覧になってください。
【ご案内】参加者募集中です!
自由で多様な学びの機会たっぷりの「みんなの気候変動SDGsゼミ・ワークショップ」は、引き続き、参加者募集中です。開催期間は、2020年9月~2021年2月、18時30分から21時00分。
お申し込みの方は、各回のご案内をメールにてお届けします。
➡︎こちらからお申し込みください。
https://forms.gle/9pDvPskPTWqY82RS9