動物病院を売却して1年半 今思うこと
久々に自分の内面について、noteを書こうと思う
前にそういう内容を書いたのは去年の11月だった
会社(動物病院)を売却するという大きな体験をしたのが2022年の2月末だった
そこから9ヶ月ほど経ったタイミングで、「逃げ」という捉え方で売却とその後を振り返る内容だった
今回は、前回の記事から11ヶ月ほどの間の出来事、体験、心境などを振り返って書きたいと思う
会社を売却してある程度のお金を手にしたが、これまでと同じような生活を一生涯続けるほどではなかった
これまでのようにバリバリ働く必要はないが、ある程度の収入が必要だった
動物病院スタッフ向けのセミナー事業、動物病院の人材紹介業などをやってみたが、自分の仕事としてしっくりこなかったし、長続きしなかった
古巣の動物病院の顧問もやったが、なんか違う感じがした
唯一、獣医師としての診療の仕事だけはやってみて違和感がなかった
売却前の2〜3年は診療業務からフェイドアウトして、経営とかマネジメントの仕事が中心だった
診療はブランクがあって不安だったけど、やってみると体が覚えている感じがあったし、嫌じゃなかった
前に診療業務を手放そうとしたのは、他にもやらないといけないことがたくさんあって、時間が足らなかったからだと思っていたからだ
でも、その他にやらなければならないことは、本当に必要なことだったのかと、今は疑問に感じている
それは自分が嫌な思いをせずにスタッフをマネジメントするためであり、現場から逃げるための口実でもあった
外に出て経営やマネジメントの勉強したり、大きな会社の社長のように会社の方向性を言葉にしてみたり、幹部メンバーとミーティングをしたり、、、
あの時にやっておくべきことはそういうことではなかったのだけれど、あの時の状況を考えれば、仕方なかったとも思う
診療業務からフェイドアウトしようとした理由は、現場から逃げたかったからであり、自分の心が痛くなるのを避けたかったからだ
診療が嫌だったからではなかったのだ
古巣の病院の診療を手伝うことになったのが、前回のブログを書いた去年の11月ごろからだった
結局、今年の6月末まで診療の手伝いをしたのだが、獣医師として動物の診療をするという仕事は自分に向いているという実感があった
診療のヘルプが終わると同時に、6月末で自分が産んで育てた会社、動物病院を完全に手放しことになった
会社の売却から1年半、その間は顧問+非常勤獣医師として関わらせてもらい、気持ちの整理をするには十分な時間があった
そのせいか、未練とかうしろ髪引かれるような感覚は全くと言っていいほどなかった
その場所で体験し尽くし、学び切ったという感覚もあったし、自分が完全に離れることで、大切に育てたスタッフにとって自立という大きな成長ステップになるという感覚もあった
だから、自分も大丈夫だし、残されたスタッフも病院も大丈夫だと思えた
そうこうしている中、長女が「獣医師になりたい」と言い出した
将来、娘と一緒に仕事ができるかもしれないという妄想が膨らみ、もう一度、動物病院を開業したいと思うようになった
会社の売却先の企業との契約で5年間は開業できないことになっているので、しばらくの間は勤務獣医師として、できれば無理のない労働条件で働きたいと思うようになった
そんなことを思っていると、知人の紹介で雇われ院長のお誘いの話が舞い込んできた
自分の時間、家族の時間を大切にしたいという僕の要望を理解してくれたので、その会社にお世話になることにした
頑張って大きくして、いろいろな体験をして、そこからたくさん学ばせてもらった動物病院を手放した
その後、経営者でもなく、獣医師でもない仕事や活動をいろいろやってみた
先にも書いたが、仕事の面では動物病院向けのセミナーや人材紹介事業だ
仕事以外でも、山林地を買ってキャンプ場の運営をしたり、畑を借りて自然農をやってみたり、趣味の延長の活動もやってみた(それについては後述する)
でも、どれも違和感を感じて、やっぱりもうしばらく獣医師の仕事をしたいという感覚があった
そして、無理のない働き方で、獣医師としてもう一度働けることになり、犬と猫の診療をやっている
ようやく、いろいろな面でストレスが少ない状態になれた
そんな今思うこと
前の病院でスタッフマネジメントに悩み、いいチームにしたいと頑張っていたのだけれど、本当はいいチームにしたかったのではなく、自分は自分の好きなようにやりたかっただけだった
僕にとってのいいチームとは、僕の思い描くビジョンを理解して、それに向けて自発的に動いてくれるチーム、なおかつ、スタッフの関係性がいいチームである
いいチームである方が、楽だし、気分がいいし、不快じゃない
自分は自分の思うビジョンを自分の思うように実現したかっただけであり、マネジメントは面倒で苦痛なだけだった
いいチームにするためにマネジメント手法を学んでいく中で、他者を変えることは出来ないということがわかり、学びの対象が自分の内面や意識に変わっていった
そういうことを学び、知識が増えていくと自分が偉くなったような錯覚を覚える
そして、他の人に教え、救ってあげようとしてしまう
でも、そういうことを学ぶ目的は誰かを救うためではなく、自分が楽になりたいだけだった
マネジメントを学ぶ目的は他者をコントロールするため
内面や意識を学ぶ目的は自分が楽になりたいからだった
いっぱい勉強して他者をコントロールする方法はわかったけど、その手法を強制することは気分が悪く、意識を学んで楽になれるかと言えば、そうではなかった
今思えば、もっと自分のやりたいように、もっとわがままに、思ったことをやっておけばよかった
ひどい経営者かもしれないけど、僕と一緒に、僕の思い描くビジョンを実現することが嫌なスタッフには、僕が舵を握る船から降りてもらえばよかったと思っている
自分のやりたいことを成し遂げるために、他者をコントロールするのではなく、協力または理解してもらおうと表現してみるだけでよかった
それに賛同してくれる人たちと一緒に海賊王を目指して、航海を続けて入ればよかったと思う
あの時に思っていた海賊王とは、日本で一番いい動物病院を作ることだった
年中無休、夜間救急対応が可能な「いつでも診てくれる動物病院」を目指していた
まずは、病院を大きくしたかった
そのために借金をしたし、スタッフを手当たり次第にかき集めた
借金を返すためには業績を上げる必要があり、そのためにはスタッフの頭数が必要だった
だから、同じ方向を向いていないスタッフも船に乗せて、船から降りないように気を遣っていた
船から降ろそうと思ったことはあって、ある程度のアクションを起こしたこともあったけど、中途半端だった
相手を不快にすることによって自分が受ける苦痛に負けたのだ
これでいいのか?という迷いもあったし、非情になりきれなかった
先にも書いたが、僕は診療を離れ、マネジメントを学び、いいチームを目指して頑張っていた
でも、上手くいかずに僕の心は疲れていて、他人のことを考えれる余裕はなかったはずだ
自分のことで精一杯だった
だから、現場から逃げて自分の心身を守ろうとした
趣味というかライフワークとも言えるキャンプや畑を副業とし、自分の仕事をそっちにシフトしていこうとしていた
山林地を買ってキャンプ場を開き、そこでアウトドア研修のようなワークショップを開き、自分が悩み、学び得たことを共有して、参加者に元気になってもらおうとした
畑も同様、自然農を学び、畑で一緒に無肥料無農薬の野菜を作り、みんなで収穫してバーベキューをしたり、、、ということもワークショップにしようとしていた
会社を売ってからの1年半ほどの間、古巣の動物病院の顧問と診療の手伝いをしながら、そういう活動をやってみた
今思えば、それは参加者を癒すためはなく、疲れ切った自分の心を癒すための活動だったと思う
それはあの時の自分にとって、必要不可欠なかけがえのない時間だったと思う
でも、これらの活動は好きなことだけど、本気で仕事にするのは違うと感じた
たぶん、まだタイミングが早かったのだと思う
今、勤務獣医師として働いていることには意味があるように思う
たぶん、獣医師という仕事はまあまあ好きだけど、天職ではない気がしている
前の病院を開業し、バリバリ診療の仕事をし、スタッフが増えてからは現場を退いてマネジメントをやっていた
それを経て、もう一度、現場に戻ることに意味があるように思う
現場スタッフとしての気持ち、飼い主さんや動物たちと接して感じとること、雇われの身という立場に立って思うことなどなど、いろいろなことを感じ、受けとっている
僕はまだ自分を整えるステージにいるからなのだろうと思う
次のステージに進むために、ここでもうちょっと修行が必要なのだろうと思う
次にやりたいこと
学んで得たことを上から教えるのではなく、いい感じの場を作って、そこに大切な人やその仲間を招き、自然の中で豊かな時間を過ごすことで、元気になってくれたら最高だ
畑、焚き火、美味しい料理と酒、自然豊かな環境、景色、空気も水もきれいで、気持ちいい場
リラックス出来る場
そういう場を作ることにモチベーションを感じる
僕が次のステージでやることはそういうことだと思う
その時が来るまでは、今、その時々にやろうと思うことに集中したい
今は臨床獣医師として勤務することだ
それともう一つ、子供たちや次の世代にバトンをつなぎたい
自分は一つ古いパラダイムの中で、そこそこ幸せに生きれたと思う
あとは次の世代、4人の子供につなごう
コロナ禍に入ってから、世の中で起こっていることに対する見方が変わった
メディアが伝えることにはスポンサーの意図が含まれている
決して真実をわかりやすく伝えようとはしていないことも分かった
僕でもそれに気がついたのだから、すでに多くの人も気づいていると思う
僕が気づくくらいなのだから、そろそ時代の転換点がすぐそばまで来ているのだと思う
僕たちの世代が時代の転換を見届けられるかわからないけど、子供たち世代はきっと新しい世界を生きると思う
ひょっとしたら、すでに地域ごとに、小さな新しい世界が少しづつ生まれ出しているのかもしれない
そういうローカルな新しい世界が横につながり、次の時代が開けるのかもしれない
僕も上に書いたような場を作ることで、自分たちから新しい世界を作っていきたい
子供達や次の世代の若者たちと一緒に
それも楽しみ
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