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逃げたヤツ

経営者で院長だった頃、スタッフマネジメントが大変だった

そこから逃げたかった

だから、診療からフェイドアウトし、現場から離れようとした

それだけでは逃げきれなかったので、会社を売った

他にも色々な理由はあるけれど、現場を離れたのも会社を売ったのも、一番の理由はスタッフマネジメントが嫌だったからなのだ

そのことを認められるようになった

苦手だったし、やりたいことでもなかったし、でも自分がやるしかなかったからやっていただけだった

マネジメントについていっぱい勉強したけど、それも義務感からだったし、結果が欲しかったからだ

でも、マネジメントの勉強はそんなに嫌じゃなかったし、楽しいと思うこともあった

現場から離れる口実にもなるし、良いことをしている気持ちにもなれるし、逃げたい自分には好都合だった

マネジメント手法を学ぶことから始めたが、勉強していくうちに、問題は自分自身にあるというところに行き着いた

そこからは、学ぶ内容はスタッフマネジメントではなく、自分自身の内面に向いた

病院でスタッフと面談をしたり、ミーティングをしたり、デジタルツールでやり取りをしたり、現場を離れてもスタッフと関わることはたくさんあった

そんなスタッフなどの関わりから色んな体験があり、色んなことを感じ、そこから自分のことを理解できたり、得るものがたくさんあった

スタッフマネジメントから逃げることによって、そういうギフトが得られなくなり、心の成長が止まる気がして心配でもあった

でも、精神的にきつかったので、自分を守るために、現場を離れ、会社を売ったと考えるようにしている

あのまま続けていたら、鬱になっていたかもしれないし、ひょっとしたら鬱になっていたのかもしれないと思う

自分としては、精神をすり減らしながら鍛錬をしていたと思うし、精神が擦り切れるギリギリのところまで来ていたと思う

会社を売って、幹部メンバー以外との関わりがほとんどなくなって、スタッフマネジメントの苦しみから解放されるはずだった

でも、色々な葛藤が次々と訪れたのだ

売却直後には、大切に思っていたし、いい関係だった幹部メンバーとギクシャクした

また、新規事業を始めようと準備していた最終段階で、ビジネスパートナーがヘッドハンティングされて事業を始められなくなった(結果的にその事業はやらなくてよかったのだが)

自分の置かれる状況が変わっても、これまでと同じように、人間関係における不本意な体験はこれまでと同じようにやってくるものだ

だから、これからも色んな体験をして、そこから色んなことを感じられるし、学びもなくならないはずだ

むしろ、体験の幅が広がるので、感じることや学ぶことも幅広くなるのだと思う

会社を売ったことについて、本当にそれで良かったのか? ウジウジ考えてしまうこともあったけど、きっとこれで良かったのだろう

会社を売って、スタッフマネジメントという苦しみから避難することができた

副業としてやっていたこと、やろうとしていたことも、場違いな感じがすることや違和感を感じることからは全て手を引いた

その代わりに、獣医師としての診療の仕事がスルスルと僕の元に戻ってきた

古巣の動物病院が獣医師不足となり、今月の後半から外来+オペのヘルプを始めることになった

それと保護団体からの依頼があって、定期的に出張オペをすることになった

やってみると、獣医師の仕事は自分のキャリアが活きるし、貢献出来るし、意外にも楽しかった

いい仕事だなぁと思った

やっぱり僕が逃げたかったのは、獣医師の仕事ではなく、スタッフマネジメントだったのだ

お金の不安は常にあって、お金のためにやりたくないことをやろうとしてしまいがちだ

それによってお金がもらえるけれど、長い目で見たら自分の心を蝕んでいくと思う

そういうことに手を出さず、手放していけば、やるべきことがそのうち向こうからやってくるのだと思った

あと残ったのは

古巣の動物病院の相談役

動物病院経営者との個人セッション

ライフワークとしての焚き火会、畑仕事くらい

どれも違和感がない

毎日、イライラすることはあるし、不本意な体験は無くならない

でも、鬱になりそうだった過去と比べると、今は全然マシであり、健常なレベルの範囲内だと思う

そして、違和感を感じることをやっていない、シックリくることだけをやっている自分自身が気持ちいい

だから、今を平穏に感じられるのかもしれない


自分の体験を振り返り思うのは、「逃げることも時には必要だ」ということ

仕事を辞めるとか、コミュニティを離れることかもしれない

僕のように経営者であっても、会社を売ったり、廃業することだって出来る

自然の中で癒されたり、お風呂やサウナでリフレッシュするというのも一時的な避難として、良いと思う

逃げることは自分の身を守ることであり、体験の幅を広げることでもある

でかい「逃げる」を体験をした僕だから、いい逃げ場を提供することができるのかもしれないと思う

個人セッション、焚き火会、これからやろうと思っている畑のワークショップ、カフェなど

社会で疲れた人たちの逃げ場にして元気になってもらいたい


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