再出発
久しぶりに個人的なnoteを書きます
何度もnoteで書いたけど、ここ数年の僕の動き
2022年の2月末に、自分が創業し、12年と4ヶ月ほど経営した動物病院の運営会社を売却した
その直後は、借金からの解放、スタッフマネジメントからの逃避ができたと束の間の安堵感を味わえた
もう獣医師としては働かないとも思っていて、その時興味があったキャンプ場経営をしようと白浜の山林を買ったりとか、自然農を実践するために畑を借りたりとか、色々とやってみたかったことに手を出したけど、それは趣味の域を超えず、仕事にするということには違和感があった
その間、売却した会社の顧問として働かせてもらったり、保護犬の手術のアルバイトとか野良猫の避妊去勢手術のボランティアとか、自宅近くの動物病院で勤務獣医師として働いたりとか、なんだかんだ言って、獣医師の仕事からは離れられなかった
別に獣医師としての仕事が嫌だったわけではなく、大きくなりすぎた組織のマネジメントが自分には出来なくて、それが原因でしんどくなって会社を売ったのだ
やっぱり、自分は獣医師が天職だったようだ
獣医師の仕事をしない気持ち悪さ
獣医師としての仕事といっても、週2か週3くらい、3時間〜6時間の勤務
昔を思えば、全然仕事をしている感じがしなかった
自分の時間が十分すぎるくらいあって、これまでやりたくても時間がなくてできなかったことを趣味の延長で仕事にしてみようと思ってやってみた
そんな生活をしたかったはずなのに、なんか気持ち悪かった
楽をしすぎているというか、やるべきことをサボっているような、気が抜けてしまったような感覚が気持ち悪かった
家族に対しても、夫の役目、父親の役目を果たしていないような罪悪感のような気持ちがあった
身体は楽だけど、仕事のストレスもないけど、これで良かったとは思えなかった
獣医師としての仕事は忙しすぎるのはもう嫌だけど、暇すぎるのも嫌なものだった
それ以上に、自分の思うように病院運営ができず、誰かに雇われて他人が決めたルールに従って働くということへの苦痛も感じていた
自分は12年も病院を経営して、地域の中核的な役目を果たす組織を作ったという自負があったし、もっと「こうした方がいいのに」 と思うことも少なくなかった
でも、自分には決めさせてもらえないというストレスがすごく嫌だった
そんな生活はやっぱり長く続かなかった
そして、再出発
売却した会社との契約で、もうしばらくの間は自分では開業ができないので、小さな病院を任せてもらって勤務獣医師として働きたいと考えるようになった
経理、資金調達など、お金のことは会社にやってもらえる
スタッフを2〜3名くらいの少人数にとどめれば、マネジメントも大変ではないはず
自分は好きなように診察ができる
そんな風に考えるようになった
そして、その夢が実現した
それも、僕が働きたかった場所に新しくできる動物病院で
泉ヶ丘で働く
僕が働きたかった場所というのは、大阪南部にある泉北ニュータウンの中心的なエリア、泉ヶ丘だ
何が好きなのか?というと
緑が多くて、道路が広くて綺麗で、開放感がある
古めかしさもありつつ、でも掃除が行き届いていて清潔感がある
ガヤガヤ、ゴチャゴチャしていない 静かで、落ち着いている
僕が働く「ミモザ動物病院」がある「竹城台近隣センター」について、ミモザ動物病院のnoteの記事もぜひ読んでください
そんな職場で働き出して1ヶ月が経った
20坪ちょっとの小さな病院にスタッフは僕を含めて、午前は3名、午後は2名というシフト
狭いので動線に無駄がなく、すごく効率的に快適に仕事ができる
医療機器は標準レベルのものが一通り揃っている
色んな意味で働きやすい
しっくりくる 感じ
一番感じていることは、精神的な落ち着きだ
このように、自分の働きたかった場所で、自分のやりたいように獣医師として働けているという状況がすごく心地いい
家族に対しても後ろめたさがないし、堂々としていられる
たぶん、精神的に安定できているのは、将来の経済的な安心感によるものもあると思う
でも、それよりも「自分の進むべき道にやっと戻ってきた」という、説明ができない感覚だ
「やっと、戻って来れた」の方がピッタリかもしれない
仕事というのは生活のためにお金を稼ぐ手段ではあるけれど、それだけではなく、自分のやるべき職業につき、その職業を自分のやりたいスタイルでやるということの重要さを実感した
それができた自分は幸せ者だと思う
失敗を活かして
前に経営していた動物病院は大きくなりすぎて、自分にはマネジメントができなくなって疲れてしまったと書いた
本当は、大きくなったというより、僕が大きくしようとして大きくしたのだ
僕は人付き合いが苦手なので、人材マネジメントも苦手だ
病院を大きくしたら、または、競合がやっていないような斬新な取り組みをやったら、注目を集めれられる
そうなれば、自分から人に関わらなくても、向こうから人が関わってくれる、人が寄ってくる
自分から人に関わり、拒絶されるという痛みを避け、自分の周りに人を集めて向こうから関わらせる という戦略を無意識にとっていたのだ
経営者仲間や獣医師仲間からは注目され、チヤホヤされたこともあるけど、スタッフとは心の距離が広がってしまった
スタッフとしては、僕がやると決めた計画の実行部隊、労働力として、僕の手柄のために働かされるだけ
スタッフとうまくいかなくなるのは、当然の結果だ
そう気がついた時にはもう手遅れだった
僕は新しいことを開拓し、新しい場を作ることは得意だけど、その場を維持管理することが苦手だ
それに、大勢の人と関わると疲れてしまう
それなのに、自分が苦痛を受けずに人付き合いをする手段として、組織を大きくしてしまった。。。
だから、もう同じ失敗はしないように気をつけていこうと思う
人に注目してもらうために何かをやるのではなく、「自分がやりたいからやる、周りの反応は気にしない」というスタンスでいこうと思う
自分のことを理解できたというのは、前の病院運営の失敗からの学びだ
その学びを活かし、自分のことを俯瞰的に見て、自分という乗り物をうまく操縦して、幸せな獣医師ライフを送っていきたいと思う
何らかの決断をする時、その判断基準は
・腹落ち感、しっくり感があること
・自分に嘘をつかないこと
・心がきれいになること
・将来、自分の子供や孫の世代、もっと先の世代のためになること
そういう行動を選択していこうと思う
例えば
ミモザ動物病院では、犬と猫の混合ワクチンを勧めない
多くの場合、混合ワクチンは生まれた年とその1年後の追加接種でいいと僕は考えている
ほとんど他の犬猫と接触しない生活環境であれば、感染源となる細菌やウイルスに暴露される可能性は非常に低いからだ
賛否両論あると思いますが、僕はそういう考えだ
混合ワクチンは動物病院の経営上、非常に重要な収入源だ
それを勧めないことは経営的には大きない痛手だ
でも、その方が僕にはしっくりくるし、自分に嘘をついていない決断だと思っている
多くの犬猫と飼い主にとって、色んな意味で負担が減ると思っている
そういう選択ができる獣医師であろうと思っている
長々と書きましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます
また、しばらくしたら心境を言葉にしようと思います