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JAFのプロフェッショナル魂

比較的早い時間に帰路に就けてよかったと思ったが、連日の超睡眠不足のツケはやってくる。
常磐道入った頃にはかなり辛くなり、サービスエリアでバタンキュー状態だった。

目覚めてびっくり外はどしゃ降り。
やっべ~と思いつつエンジンキーを回したが、セルモーターすらクスンとも言わない。

ハッ

案の定、ヘッドライトをつけっぱなしだった!

今頃ライトを切っても遅い。悲しいかな、お手上げである。

冷静に考えた結果、わたしはJAFに電話をした。
深夜0時過ぎ、同じような車が5台いるので、一時間待ちになるという。
ここはもう待つしかない。よろしくお願いして電話を切った。

トイレに行きたい。

ふと気付けば傘がない。 緑に赤色花を散らした、お気に入り商品券取得傘がない!(またかい!)

よ~く考えてみたところ、今回、忘れたのは親戚宅の裏口とわかり、ほっと胸をなでおろす。
しかも、トランクの段ボール箱に折りたたみ傘を入れておいたのを思い出し、ことなきをえた。

自販機でうす甘い紅茶を買って車に戻る途中、エネオスのガソリンスタンドに、コウコウと電気がついているのが目に入った。
そうだ、スタンドでバッテリーへの充電をしてくれるかもしれない。雨が降っているとはいえ、車との距離は数十メートルだ。

こんばんは~とドアを開けると、予想に反して年配のスタンド員二人が、リラックスした姿勢でおしゃべりをしていた。

「バッテリーが上がっちゃったんですが、充電してもらうのにおいくらかかるでしょうか。」

「2100円です」

「!!」

・・うう~そんなに払えるわけない。。
ひそかにただを期待したわたしがバカだった。

大雨の中小さな傘をさして小さな箱にもどり、と友人とメールのやりとりをしつつ、久しぶりにスマホ日記でも書くかぁと、キーを打ち始めた。

しばらくしてフロントグラスの向こうからライト。次の瞬間、運転席の横の窓がコンコンとノックされた。
ザーザー降りの中で、分厚いジャケットに帽子を深々とかぶったJAFのスタッフだった。

「車の中にいてください。」と言い残してテキパキ作業を進め、エンジンがかかり、ヘッドライトもつくのを確かめると、そのまま伝票を作成に行った。

サインが終わり、最後に、
「念のため、コンビニで買い物をしたりする時も、エンジンは切らないでください。」
とアドバイス。その間わたしは座りっぱなし。一滴の雨に濡れることもなかった。

その上、
「もしまた寝ちゃって、エンジンがかからなくなったりした時は、遠慮なく呼んでください。」
ですと!!にこにこ顔で!!

は~。見上げた精神。
ふつうそこまでは言えないだろう。
感動した。

少し離れて再度停まったJAFのロードカーに、短く2回、お礼のクラクションを鳴らして、わたしはその場をぐるりと走り去った。

雨は相変わらずじゃんじゃん降っている。
でも車内は、好きな音楽が流れ、温かい紅茶も飲める快適空間。
完全に守られた場所だと感じた。

JAFのスタッフのホスピタリティーに、わたしの心はすっかりなごんでいた。

ありがとう!

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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