今宵星降る里で
今宵星の降る里で、小さな奇跡が起こる。
あの子が眠り、この子も眠り、夢があちらこちらでふわふわ舞う今、はるか彼方の国から、贈り物が届いた。
届けるのはサンタクロース。彼を乗せ、闇の向こうからすべるようにやってくるのは、四頭だてのトナカイのソリ。
シャンシャン、シャンシャン・・
耳を澄ませば、きっときこえるはず。
信じてさえいれば、奇跡は起こる。疑いという心の形に、奇跡は入り込めない。
サンタクロースは今あの子に、夢を描く力を落とした。あの子には、誤解にも曇らない心の鏡を落とした。あの子には、気持ちが楽になる精霊の水を落とした。
そしてこの子には、人を好きになる勇気を落とした。
そしてあなたには、大事なものを愛し続ける力を落とした。その隣の人には、創造の泉を落とした。そのまた向こうの人には、失敗にひるまない心を落とした。
そうやって宿していったひとつひとつの奇跡を、サンタクロースはいつも、フィンランドの空から笑って見ている。
わたしには、何を落としていってくれるんだろう。
それはいつかわかる。ああこれだったのだと、気づく何かが、きっとある。
今宵星の降る里で、街で、雪の降る村で、雲が戯れる水辺で、ほら奇跡が起こり始めている。
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