本のメモ〜『オプティミストはなぜ成功するか』 マーティン セリグマン
「上手くいく子と行かない子の違いは何なのか?うまくいかない子にできることは何なのか?」
子どもが将来自分の人生を切り開いていくための核となるものはなんなのか。
それは、
“認知スキル” が大切なのはもちろんだけど、
それを底上げし発展させるための “非認知スキル“ が不可欠。
「知識」は認知的スキル
「やり抜く力」
「自制心」
「好奇心」
「誠実さ」
といったものは、非認知的スキル
そしてこれらは持って生まれるものではなく、
親と子のコミュニケーションの中から育つものである。
中でも「レジリエンス」というキーワードはとても大切。
レジリエンスとは、
回復力・抵抗力などを含む弾力性。
困難な状況やそれによるストレスなど負の要素を跳ね返す力。
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【親がしてあげられること】
子供時代は、安心場所を提供する
愛情深く注意深く子供を見守る
➡子供は快活に好奇心旺盛に精神安定して育つ
子供に見合った逆境が必要であることを認識する
➡やり抜く力は失敗を通してしか育たない
ある程度(自分で解決させることが何より大切)の放任は必須
本人以上に本人の可能性を強く信じること
➡とくに思春期のやり抜く力に有効な動機付けとなる
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・泣いたときに親からすぐにしっかりとした反応を受けた乳児は、一歳になる頃には、泣いて無視された子どもよりも自立心が強く積極的になった。(愛着理論attachment theory)
・達成のメカニズムは『動機付け』『意志』の2つに分けて考えるとわかりやすい。
・気質:やり抜く力/自制心/意欲/社会的知性/感謝の気持ち/オプティミズム/好奇心
・知的な、あるいは身体的な能力を試すテストの前に、帰属する集団に関係する事柄をほのめかされると、テストの結果に大きく影響するという。
・やり抜く力とは、一心に一つのゴールを目指す行動と深く結びついた自制心のこと
・初級者は気に入ったやり方を見つけると確証バイアスの罠に入りやすい
・失敗を“なんとかする”ことを学ばせる必要がある
・ハーバードの学生はなぜウオール街を目指すのか。選ぶことが用意であらがうことのできない困難な道を会社側が用意するからだ。「特にこれをやりたいという確固たる願いよりも、成功者になれないことへの恐怖に突き動かされている」
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アメリカの貧困層が通う公立学校の学力を上げるため色々研究してきた結果を踏まえた考察。
大学に行き学位をとって就職すれば、貧困層から抜け出せる。
しかし、なかなかそれが難しい。
中学高校あたりで、教育を積極的に施すと、大学に入学はできるが、途中で辞めてしまう子も多い。
家庭の後押しが必要。
一方、富裕層が通う学校でも、思春期に精神的な問題を抱える率が高い。
これは「富裕な親たちは子供と精神的に距離をおきたがり、同時に高いレベルの成果を要求する」と分析。
子どもが小さいとき大切なのは
・母親のアタッチメントのレベルを上げる
・親が過度に批判的になるのを避ける
・放課後に親の目が行き届くようにする
中高生のときに大切なのは
・しっかり怒る
・子どもに失敗して立ち直る経験をさせる
裕福な家の思春期の子どもが、不安や鬱が高い値を示している場合。
親と子で感情面でのつながりがない場合。
親は往々にして子供の悪いおこないにひどく甘い。
年収百万ドルを超える親の中に、
自分は自分の親よりも子供に甘いと答えた人が圧倒的に多かった。
「やり抜く力や自制心は、失敗をとおして手に入れるしかない」
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何かに打ち込んだ人間が評価されるのは、「困難に打ち勝つ」という気質より、「困難であるという難易度の認識よりも、前にすすむための方策を考えることに意識を向けられる」というある種の自信と楽天性に対してなのかもしれない。
よって、子供には成功へのレールを引くのではなく、「困難と失敗をなんとかする能力」をつけてやる必要がある。
そのために、自分への根拠のない安心感と楽天的な思考、地道に行為を続ける(努力とは言わない。楽しんでやる必要があるから)力を身ににつける必要がある。
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〈人生の満足度・達成度に関わる強み〉
・やり抜く力
・自制心
・意欲
・社会的知性
・感謝の気持ち
・オプティミズム
・好奇心
若者の気質を育てる最良の方法は、本当に失敗する可能性のあることをやらせること。リスクの高い場所での努力は、低い場所より大きな挫折を経験する可能性が高い。しかし、独創的な本物の成功を達成する可能性も高い。やり抜く力や自制心は失敗を通してしか手に入らない。
科学的な理論の妥当性を調べる唯一の方法は、それが間違っていると証明すること(反証)。人は、その理論に反する証拠を探そうとはせずに、どうしても自分が正しいことを証明するデータを探してしまう。それを「確証バイアス」という。これを乗り越える力が重要な要素。
子どもが育つにつれて、愛情やハグ以上に、その子にそのときに見合った逆境が必要。転んでも一人で立ち上がるという逆境が必要。
子供にすべてを与えたい、子供をすべての害悪から守りたいという衝動と、本当に成功者になってほしいなら、まず失敗させることが必要という知識との葛藤が生じる。失敗をなんとかすることを学ばせる必要がある。
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子供が成功を収めるには、知識よりも、性格が大事。
諦めず、粘り強く、やり抜く力。
ストレス自体でなく、ストレスに対応するプロセスが重要。
母親が子供に特別な関心を寄せていれば、ストレス対応システムを壊すような負荷が低くなる。
つまり、子供がジェンガをやってる間に手伝ったり気遣いするというごく普通の親のかかわりが子供の将来に大きく影響する。
将来の年収に影響するのは、内なるモチベーションを持っているかどうか。良い結果、成功を収めるのには何よりもモチベーション。
知能は改善できる
気持ちが揺らいでいる時、強くストレスのかかった時に気持ちが混乱して我を忘れそうになっているとき、物事を大きな絵で見るように促す。メタ認知。
気持ちを落ち着かせ、自分の衝動を吟味し、生産的な解決方法を考える。
子供には適度な逆境が必要、失敗を乗り越える術を学ぶ必要がある。
棘の痛みを感じてこそ、
痛みを回避して楽しむ方法を学べる🌹