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意志を持つピアノ「名器ベヒシュタインピアノと語らうコンサート」
「名器ベヒシュタインと語らうコンサートシリーズ 太田太郎サロンコンサート」を聴いてきた。
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ピアノパッサージュ蔵
演奏したピアノは、ドイツ・ワイマールのリストハウスにあるモデルと同じと思われる、1880年製I-270。
ピアノパッサージュで、丁寧にメンテナンスされた平行弦のフルコンサートピアノ。
平行弦は交差弦と比べ音が混じらない。その分低音弦が短いが、このピアノはずしりと重厚な音を響かせた。
一言でいうと、「なんだコイツ、すげぇ‼︎」というピアノだった。
そう思えるのは、ピアニストの力も大きい。
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ピアニスト太田太郎
太田太郎さんは、国立音楽大学を卒業後ドイツ国立リスト音楽大学に留学。そこでベヒシュタインピアノに出会い、ドイツピアノの感触を体感した。
太田さんは、ベヒシュタインピアノは、ベートーヴェンを弾くことに糸目をつけず思い切った挑戦ができ、演奏後のほっと安心した時間を約束してくれるかけがえのないパートナーだと言っている。
今回のシリーズでは、ホールにあるグランドピアノから、個人宅にあるアップライトピアノまで、また製作年も1800年代から2000年代と様々なベヒシュタインピアノを演奏している。
コンサートの度に使う楽器が違うのは、ピアニストの大変なところでもあり、醍醐味でもあろう。同じプログラムでも全く印象の違うコンサートになる。
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プログラム
ショパン:前奏曲集作品 28から
第6番 口短調
第7番 イ長調
第8番 嬰ヘ短調
ベートーベン:ピアノソナタ
第 14番 嬰ハ短調 "月光"作品14-2
メンデルスゾーン:幻想曲(スコットランド・ソナタ)
嬰へ短調 作品28
リスト:2つの伝説
第1曲 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
第2曲 水の上を歩くパラオの聖フランチェスコ
ショパン:エチュード
ホ長調 "別れの曲"作品10-3
演奏会が始まる
ショパンの前奏曲から、ずしりと迫り来る迫力があった。
なんかすごい!
と、おもわず息を呑んで構えてしまう。
音は益々迫力を増し、容赦なく襲いかかってくるようで、怖ささえ感じた。
このままどこまで行くのだろう。
ベートーヴェンのピアノソナタ"月光"の第一楽章は知名度のあるメロディで知っている人も多い。短調で静かに始まり様子を伺う。
次第にピアノが調子に乗ってくると、2楽章から3楽章では、解放されたピアノが、喜びに満ちているのがわかる。ピアニストはピアノの声を聴き一体になっていた。
観客の中には、流れる涙を堪えきれず聴いている人もいたほどだった。
メンデルスゾーンの幻想曲では、ピアノの興奮を少し抑えるように演奏する。
リストの2つの伝説では、ピアノを諌めるように、しかし敬意を払って聖フランチェスコのことばを伝える。
あっという間に最後の曲、ショパンの別れの曲になった。
ピアニストは、最後であることを告げようとしていたが、ピアノはまだまだ鳴らしていたそうだった。
こんな空間があることに、静かな興奮を覚えた。
終演後
太田太郎さんは、
このピアノは、力を入れて弾くと逃げてしまうので、リラックスして弾くように心掛けた。ここまで、色々なピアノを弾いているが、それぞれに良さがある。
とお話しされ、まだまだ色々なベヒシュタインピアノを弾いていかれるようだ。
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