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THE GAZETTEを読む(26)2017年7月号 文化は視野狭窄の別名なのだろうか?

 本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
 この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。

 今号のタイトルにもある視野狭窄の言語は「Tunnel Vision」である。ちょうどトンネルの中で見える外の景色のように、ある限られた範囲のものだけを見る精神医学の領域で使われる用語である。

 あなたは、自分の会社や組織が同じやり方を続け、同じ過ちを繰り返していることに、しばしば不満を感じていませんか?そして、実際に何も変えることができない無力感を感じていませんか?あるいは、自分の組織ではなく、クライアントがそうかもしれませんね。
 周りの人をどうにもできないように感じることもあります。下を向いて、文句を言ったり、他人や他の要因のせいにするのは、誰にとっても簡単なことです。
 私たちがレゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のパワーと可能性について話すと、彼らは興奮し、3次元モデルを構築することがいかに障壁を取り除き、理解への扉を開くのに役立つかを理解し始めることがよくあります。しかし、そこで彼らは立ち止まります。このプロセスは、自分たちの組織や文化では受け入れられないと言うのです。

THE GAZETTE 2017年7月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 組織の抱える保守的な雰囲気、推進力を失っている状態というのは、そこを脱したいと感じる人たちににとってはこれ以上ない苦痛であるとともに、何かによってそれを変えようと検討し始めたとたん「自分達の組織や文化では無理」という気持ちと闘うことになる。レゴ®︎シリアスプレイ®︎の自社への導入を検討する人も、かなりの割合でこの気持ちに苦しんでいる(あきらめてしまっている)のではないか。

文化を言い訳することについてのある人の考察

 組織が多様化し、大規模化し、多国籍化する中で、他者の視点を理解することは特に重要です。新卒で入社してくる社員も、他の国や同じ国の他の地域からやってくる社員も、常にオープンマインドでいることが大切なのです。私たちは皆、自分の考えを明確に表現し、相手の話を敬意を持って聞く方法を学ぶことで、利益を得ることができます。もし私たちが新しいアイデアに対して閉鎖的であることの言い訳として文化を使い続けたり、受け入れたりするならば、私たちや私たちの組織は無用な存在になる恐れがあるのです。

THE GAZETTE 2017年7月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 いまや大企業や多国籍企業はもちろん、中小企業にとっても他者の意見や考えを受け入れ、自らの行動を変化さえたり、新たな取り組みのヒントを得ることは必要である。その点からいっても上記について否定する人はほとんどいないだろう。

 ドイツに本社を置くカナダのビジネスコーチ、Mike Allison氏は、文化を言い訳にすることについて、興味深い見解を示しています。画像をクリックすると、彼のビデオを見ることができます。

THE GAZETTE 2017年7月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 Mike Allisonは英語で話しているが、Youtubeなので英語の自動書き起こし→日本語翻訳を使えば、おおよその意味はわかる(実に便利だ)。

 ビデオの中で「文化」という言葉を簡単に使いすぎて思考停止しているのではないか、という指摘がなされる。例えば、同じ文化圏の人々が全員同じ行動をとっているならばまだしも、「仕事への熱意」などはよく見ていれば、ある人とない人が混ざっているのであり、その場合は(ほとんどの場合だろう)、その人の自由意志の問題に帰するのである。
 私が好きな言葉の一つに、ある社会起業家の「真に必要なのはそれを自分がやる理由だけだ」という言葉がある。意志の有無こそ行動の基盤になるべきだということである。文化であるかどうかは本質的な問題ではないということだ。

私たちは深いレベルで、文化的な信念を超えたニーズを共有する

 人間は、食料、住居、安全の次に、他者とつながり、理解され(他者を理解し)、参加したいという欲求を共有しています。
 レゴ®︎シリアスプレイ®︎は、このような基本的な欲求に対応するように設計されています。私たちが文化として表現するものの多くは、私たちを体制(支配者、政府、所有者)に従わせるために作られた規範です。文化的な圧力によって義務付けられた多くの行動は、時代遅れになっています。グローバル経済の担い手である私たちの役には立ちません。世界は日々小さくなっています。成功するためには、私たちを差別化する文化的規範ではなく、私たちを結びつける人間の精神的な要素を解放するアプローチや方法を用いることが有益です。
 LSPワークショップのビデオで、ワークショップの様子をご覧ください。

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 「文化」が規範を示し、行動を抑制し、お互いの差を排除するように機能しているならば、それは組織の競争力を失わせることをわれわれファシリテーターは、はっきり伝えるべきだと思われる。お互いの差を排除するのではなく、お互いに差を認め合い、自分にないものとしてお互いに尊敬し合うときにも、新たな結びつきが形成される。そこにいる全員が満足し、関わりを深めるようなつながりを、レゴ®︎シリアスプレイ®︎はつくるのである。
 最後にあるビデオのリンクは以下からみることができる。

 また、この文章の横のコラムには次のような写真とコメントがのっている。

"文化 "と呼ばれるものは、多くの場合、単なる習慣です。プレゼンのときにひどいパワーポイントのスライドを使うのは、他のみんながそうしているのを見たからで、それ以上のことを知らないからです。無意味でひどい会議に参加するのは、それが彼らの経験したすべてであり、どうすれば違うように行えるかを知らないからです。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎はパワーポイントなどは使わずに、参加者一人一人から知恵や意見を引き出し、有意義な意見交換と結論に導く会議の技法である。とはいえこの「違うように行える方法」は文字だけでは伝わりにくい。この手法の体験デモはやはり重要であると改めて痛感させられる。

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