THE GAZETTEを読む(26)2017年7月号 文化は視野狭窄の別名なのだろうか?
本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。
今号のタイトルにもある視野狭窄の言語は「Tunnel Vision」である。ちょうどトンネルの中で見える外の景色のように、ある限られた範囲のものだけを見る精神医学の領域で使われる用語である。
組織の抱える保守的な雰囲気、推進力を失っている状態というのは、そこを脱したいと感じる人たちににとってはこれ以上ない苦痛であるとともに、何かによってそれを変えようと検討し始めたとたん「自分達の組織や文化では無理」という気持ちと闘うことになる。レゴ®︎シリアスプレイ®︎の自社への導入を検討する人も、かなりの割合でこの気持ちに苦しんでいる(あきらめてしまっている)のではないか。
文化を言い訳することについてのある人の考察
いまや大企業や多国籍企業はもちろん、中小企業にとっても他者の意見や考えを受け入れ、自らの行動を変化さえたり、新たな取り組みのヒントを得ることは必要である。その点からいっても上記について否定する人はほとんどいないだろう。
Mike Allisonは英語で話しているが、Youtubeなので英語の自動書き起こし→日本語翻訳を使えば、おおよその意味はわかる(実に便利だ)。
ビデオの中で「文化」という言葉を簡単に使いすぎて思考停止しているのではないか、という指摘がなされる。例えば、同じ文化圏の人々が全員同じ行動をとっているならばまだしも、「仕事への熱意」などはよく見ていれば、ある人とない人が混ざっているのであり、その場合は(ほとんどの場合だろう)、その人の自由意志の問題に帰するのである。
私が好きな言葉の一つに、ある社会起業家の「真に必要なのはそれを自分がやる理由だけだ」という言葉がある。意志の有無こそ行動の基盤になるべきだということである。文化であるかどうかは本質的な問題ではないということだ。
私たちは深いレベルで、文化的な信念を超えたニーズを共有する
「文化」が規範を示し、行動を抑制し、お互いの差を排除するように機能しているならば、それは組織の競争力を失わせることをわれわれファシリテーターは、はっきり伝えるべきだと思われる。お互いの差を排除するのではなく、お互いに差を認め合い、自分にないものとしてお互いに尊敬し合うときにも、新たな結びつきが形成される。そこにいる全員が満足し、関わりを深めるようなつながりを、レゴ®︎シリアスプレイ®︎はつくるのである。
最後にあるビデオのリンクは以下からみることができる。
また、この文章の横のコラムには次のような写真とコメントがのっている。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎はパワーポイントなどは使わずに、参加者一人一人から知恵や意見を引き出し、有意義な意見交換と結論に導く会議の技法である。とはいえこの「違うように行える方法」は文字だけでは伝わりにくい。この手法の体験デモはやはり重要であると改めて痛感させられる。
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