ある少年の言葉

僕はある日、駅の改札でスイカにチャージを行うために券売機の前に立っていた。

その隣で小さい男の子が切符の値段が書いてある案内板を見ていいた。(身長が低いからよく見えない)

そこで僕はその子に「どこに行きたいんだい?」と聞いてみた
そしたら「〇〇駅(2つ先の駅)」と答えたので値段を教えてあげた。しっかり御礼を言ってきたし良い子だなという印象を持った。

だが、その子は財布を持っていなかった。なぜだ。
尋ねたら「普段はお母さんがスイカを渡してくれるから切符を買う必要はないんだ。でも今日は渡してくれなかったから切符を買わなくてはいけなくて。お金ない、どうしよう」

少年は考えて、困っていた。往復180円の切符だし、僕は200円あげた。少年に寄付をした。

少し困惑しながらも少年は御礼をもう一度言い、切符を無事に購入した。

偶然にも方角が一緒だったため、途中まで一緒に行くことにした。(怪しい人ではないことを伝えた。笑)

「お母さんがスイカをくれないせいでお兄さんに迷惑かけてしまってごめんなさい」と言ってきたから、それは違うとしっかり教えた。
「自分のことは自分でやらなくてはダメよ。お母さんが全部やってくれるわけないし、これからは自分で自分の事をしていかなくてはいけないんだよ。」

僕の白熱教室が電車内で始まった。笑

少年が「お兄さんは優しいね、お兄さん以外周りに大人が沢山いたけど誰も助けてくれなかったよ。大人って冷たいよね」

これを聞いて僕は言葉が出なかった。

あれこれ「今の時代の子は・・」とか、子どもに対して色々言う大人がいるけど。
自分たちの良くない行いを隠したいからそうやって弱者に対して攻撃的になると思う。まずは見直すべきは自分だなと思った。

この子にはどうかこの気持ちを忘れずにこの先成長してほしいと思った。もちろん少年にはそう伝えた。そして加えて、自分が周りに助けてほしい時はしっかり発信して、助けを求め、周りを使うことを教えてあげた。1人にできることは限られている。使えることは使っていきなと。

次に学校は楽しいか尋ねたところ
「いじめられているけど、楽しいよ!」

なんということだ。いじめられているけど楽しい?僕にはわからない感覚だ。

でも、少年の目はしっかり前を向いて僕と話していた。きっとこの子なら大丈夫。この先、自分で切り抜ける力と周りに頼る力をこの日の僕との出来事で学んだんだから。

僕が教員免許を持っていることを伝えると、かなり驚いていた。(だってゴリゴリの七三分けのスーツ着たやつが教員には見えないよね笑)

「僕の学校に来てよ!もっと面白い話をして!」
嬉しい言葉だね。もっと聞きたくなるような話をする。大事ね。

聞いたら学校の先生の話はつまらないそうだ。全然興味がわかないらしい。
僕はその先生のことは知らないから肯定も否定もしない。

最後に少年は去り際にこう言った
「お兄さん、紳士だね」

最高の誉め言葉だ。

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