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ブラック社員がやってきた話


こんにちは。


今日は少し力を抜いて、ブラック社員の話をします。

みなさんがもし起業して、社員を雇う未来があるならば、

どこかで必ずブラック社員と出会います。

その時のために参考になればいいなと思います。


ブラック企業がニュースやネットを騒がす今の時代ですが、

ブラック社員は確実に存在しています。


ブラック企業は退職することで難を逃れることができますが、

企業は社員がたとえブラックであっても、簡単に解雇できません。

その上、ブラックな社員ですから、解雇なんてした日には

どんな副産物的悪影響がでるかわかりません。

ブラック社員からしてみれば、日本の法律は会社が弱く、

社員が強いものです。

このあたりは、起業してみると痛感すると思います。


さて、私が起業2年目に出会ったブラック社員のお話です。


そのブラック社員は社会人1年目、

「きちんと評価されない会社にいる意味がない」

とわずか7ヶ月で会社を辞めました。

この1社目の会社で、私は役員をしておりました。(起業前)

このブラック社員(以降、ブラックん)の面接をしたのは私です。


すでに就職戦線は売り手市場でITベンチャーの採用はなかなか厳しいものでした。

社長からは絶対にあと2名採用するようにと言われ、私も焦っている中で、

ブラックんが面接にやってきました。


履歴書の文字は、まさにミミズののたうち回るが如し。

質問にはカミカミで、まともに答えることができない。


正直、不採用になるのに1秒もいらないクオリティでした。

私は最後に1つだけ質問しました。

「本当に本気でやる覚悟はありますか?」


こんな質問したら即座にブラック企業と言われそうですが、

はっきり言ってしまえば、なんの取り柄もないわけですから、

せめてやる気があるなら信じるしかなかったのです。


「あります!」


と唯一、勢いよく答えましたので、採用しました。


さぁ、ここからブラックんの独壇場です。

内定者懇親会では、社員から見えないところでタメ口で他の内定者を見下す。

入社後には、すぐに何人かのダメ社員先輩とつるんで会社批判、上司批判、同僚批判を繰り返す。

やる気など見せることもなく、成績はさっぱり。


当然ながら、査定は同期の中で最低評価です。


7ヶ月後、冒頭のセリフを吐いて退職していきました。


私が、彼に最後に掛けた言葉は、

「次は腹を括って3年間はやり遂げなさい」

という月並みなものでした。


ブラックんが転職した会社は、私と同じ業界なので、当然噂が耳に入ってきます。

「ロクに何もできないのに、文句ばかりいう奴がいる」


だろうなと思っていました。

そして7ヶ月後、ブラックんから連絡がありました。


「会社がブラックなので辞めたい」


事情を聞くと、とにかくブラック企業。

じぶんはきちんとやっているのに、会社が自分のいうことを聞いてくれない。

評価してくれない。

自分が自分が自分がジブンガ・・・。


私がブラックんの会社関係者から聞いている話と正反対のことを言っています。


私はブラックんに言いました。


「今の上司に自分の主張をきちんと言いなさい。もしそれが正しい主張ならば、相手も聞くでしょう」


ブラックんは上司に言ったそうです。


「僕の主張を聞いてくれないなら、会社辞めます」


上司の回答は、即答でした。


「今月で辞めていいよ」


ブラックんは大焦りです。

当然次の就職先など決まっていません。

転職活動しても、1年4ヶ月で2社も転職している自分が、

どこかに内定を貰える自信もない。


で、再び私に連絡がありました。

「御社で働きたいです」


私はブラックんに聞きます。

「なんで?」


ブラックんは答えました。

「やっぱり広告の仕事が好きなんで、それを全力でやりたいです」


私の頭の中ではすでに警告音が鳴り響いています。

が、そこが私の愚かなところでして、1期目から会社が順調だった私は、

こんなブラックんをまともなビジネスマンにするのも社会貢献と思い、

役員、社員、元社員などの反対を押し切って、雇用を決定しました。


さて、ここからはブラックんのミラクルな活動をダイジェストでお届けします。


●内定を出した翌週、「友達とか先輩からそんな起業したての会社はやめろと言われたので、入社辞めます」

●その翌週、「やっぱりやりがいがあると思うので入社します」

※当然、詫びの言葉など一言もなし。お願いしますの一言もなし


●入社後、ほとんど営業活動をしない

●会社経費であれが欲しい、これが欲しいを繰り返すもすべて却下

●あまりにも売り上げが上がらないことを上司に指摘されると、

「会社が自分のために何もしないからだ!」とキレる

●そこまで言うなら、辞めた方がいいんじゃないと言われると、

翌日、「うつ状態なので病院いくんで休みます」

●仕事と称して出入りしていたコワーキングスペースで女子大生などとぺちゃくちゃする毎日

●そこで出会ったフリーランサーなどに奢ってもらい風俗やキャバクラに

●会社で受けた案件を承諾もなくフリーランサーに横流し

●出張先で勝手に高価なお酒を購入し、経費で落とそうとする

●コワーキングスペースで知り合ったフリーランサーの仕事を隠れてやるようになる

●会社の文句を顧客、コワーキングスペース、元上司など、あらゆる場所で言いまくる

●家を引っ越したいので、敷金とか出せと主張

●自分、フリーランサーになるので退職しますと言う

●しかし、実はコワーキングスペースで知り合った会社に行くことが決まっているとバレる

●労基署や裁判所に訴えますと脅しをかける

ここまでがわずか7ヶ月の間に起こったことです。

幸いだったのは、向こうから辞めてくれると言ってきたことですかね。


これだけ見ると、お互いの主張が正反対で、ブラックんは弊社をブラック企業といい、弊社はブラックんをブラック社員と言っています。


まぁ、どっちが本当かは当人たちにしかわからないわけですが・・・。


ブラックんの退職時に、貸与物の返却を求めました。

その際、「PCの履歴を消さないように」と指示をしました。


なぜなら、ブラックんの悪行はすべてLINE、メールなどで証拠に取ってありましたが、なにせブラックんなので、何をするかわかりません。


私には確信があって、その証拠のためにパソコンのログを見たかったからです。


送られてきたパソコン、ブラックんはしっかりとブラウザの履歴を消していましたwww


「なんで履歴消したの?」


と聞くと、


「間違って消しちゃいました」


と言っていました。


返却されたパソコンとデジカメは、まったく掃除もせず。

パソコンは傷や汚れが、デジカメは砂まみれ。

さすがにブラックんのやることはレベルが違います。


で、私はパソコンのブラウザログではなく、

操作ログをチェックしました。



ブラックんは

「朝から晩までほとんど働いている」

が口癖で、だから弊社はブラック企業だそうです。


さて、そのパソコンの操作ログ。


なんと・・・



入社初日から、朝の定時前からほとんどYoutubeや中華サーバなどに

アクセスして、ドラゴンボールやら弱虫ペダルやらエッチな動画やらの

閲覧履歴がてんこ盛りwww


もうね、たまに観るとかじゃないんです。

毎日毎日観るんです。

ひどい日だと8:50から19:00まで一日中です。

これが入社した直後から、退職する日までびっしりです。

たまに会社から注意や訓告処分を受けた時には

「ブラック企業 弁護士」

「パワハラ 訴訟」

などでサイトを閲覧していました。

法はそんなに甘いものじゃないんですが・・・。


「朝から晩までほとんど働いている」

とはつまり

「朝から晩までほとんど遊んでいる」

の間違いでした。


こんなブラック社員が確かにいます。

彼は、自分の周囲には、

「自分はめちゃやってるし、自分の給料以上に稼いでいる」

と主張していたそうですが、

めちゃ就業規則違反してアニメみてるし、自分の給料の半額は稼いでいる

の間違いでした。


みなさんが起業したのち、こんなブラック社員を採用することがありませんように心から祈ります。


ポイントは、「全力でやります」などという言葉を信じないことです。



後日談として、ブラック企業を訴えるとか、仲間内で威勢のいいことを言っていたらしいので、


「ブラウザ履歴消して、ばれてないと思ってるみたいだけど、

操作ログも今までのやりとりもすべて記録してあるから」


と伝えることでピタっと黙りました。


ブラックんを最後に、私の会社にはブラック社員が在籍しておりません。

平和そのものです。


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