自分の小さな商いをもっておくとおもしろい
僕は従業員5人の会社をやっている。
小さいし、業種は流行りのIT企業、ではなく昔ながらの飲食・小売業だ。
クライアントワークではないので初期投資も大きく、現代ではあまり推奨されていない起業の仕方だろう。
なかなかうまくいかないことも多いし、基本的にはおおもうけする種類の仕事ではないと思っている。
でも、自分の心は緊張感はありつつも、晴れやかだ。(少なくともそこそこには!)
辛いことは無くはないものの、生きているという感覚を感じさせてくれる、意味のある試練という感じがする。
(余裕ぶっているようだけど内心ドキドキ、手汗ダラダラのことも多い)
これまで楽しく続けてこれたのは、自分たちが生活の中で感じる違和感をとらえたり、本当にほしいと思うことをつくることを大事にしているからだとおもう。
一方で、便利、安心といった数値ではかれることを提供することに専念していたら、途中でやめていたのかなとも感じる。
やってきたことの例としては
・築100年近い民家の空間を残すために、カフェを開業する
・土地の文化と今の暮らしを近づけるために、新しい日本茶のブランドを立ち上げる
・自分の住まいを自分の手でつくるために、DIY可能シェアハウスをはじめる
という感じ。それぞれの詳細はまた別の機会に書いていきたい。
どれも自分の中で生きていく中の課題だと思ったり、こういうものがあったらいいのに…と思ったものばかりだ。
その結果、各事業はすぐに結果が出なくても、腰を据えてじっくり取り組めるし、じっくりながら事業の形が見えてきたところだ。
ここからが大事なことだと思うけれど、そうした自分のコアから出てきた小さな商いをやっていると、とても蓄積があると感じている。
投資とそれに対する回収、ノウハウの蓄積、のようなビジネス的な観点ももちろんあるのだけれど、人に関することが大きいと感じる。
これまで自分たちの商いを通じて、たくさんのすてきな人たちと出会い、共感しあうことができた。
それはもう、こんなにすてきな人たちが世の中にはいるんだなあと、嬉しくなるような人たちだ。
・無茶な提案にも一緒になって飛び込んでくれて、時に厳しく、時に夢を語り合えるクリエイターの方々
・迷惑をかけることもあるのに見守ってくれ、困ったときにヒントやチャンスをすっと差し出してくれる経営者の先輩
・心意気をもって商いをしていて、悩みや楽しみを共有できる戦友のような事業者さん
・想いを共有することができて、解決に向けて奔走してくれる士業の方々
・次になにをやってくれるのかな?と楽しみにしてくれるお客さんたち
・一緒になって目標を追いかけられる頼もしいスタッフのみんな
紹介しきれないけれど、どれもゼロから始めてうまくいくか半信半疑の中なんとか続けてきた自分たちにとっては、ありがたすぎる話だ。
自分の商いをはじめていなければ出会えなかった人たちだろう。
こうした人たちとビジネスだけでなく、ひとりの人として関われていることが僕にとっては何よりも満たされ、楽しくいられる理由だと思う。
これからを見据えたときに、僕たちはやれることを増やして、新しい景色が見てみたくて、金銭的にもいろいろなチャレンジをしてしまっているけれど、
自分と一つのお商売だけ。という関係性でやっていくのも、とても幸福な形で続けていけるのではないかと思う。
11月末には2店舗目ができて、ここに書いたことよりは少しスケールが大きくなるので、そうなった時にどんな景色が見えるのか、楽しみだし、じっくり見ていきたい。