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赤い乗りにくそうなやつ②
ロードスターに乗るようになってしばらくはバイクから離れてしまった。
それにしてもロードスターは本当にいいクルマだと思う。日本の道にちょうどいいサイズのエンジンに、単純なFRの軽い車体の組み合わせ。車の動かし方を練習するには最適なクルマだとつくづく思う。車がどういう仕組みで動いているのかが手に取るようにわかるからきっと運転が上手くなると思う。
さて、そんな中instagramである方の投稿が目に入った。ロケットカウルを纏う、流れるようなラインの真っ黒な車体。その中にはメカメカしいエンジンが詰まっている。
abi900さんのDucati M900である。これが私とM900との出会いだった。
私は元々セパレートハンドルのバイクが大好物である。リアからフロントまでのラインが綺麗なバイクが非常に好きで、フルカウルのSSもいいのだが特にセパハンのネイキッドが大好きだ。(位置の高いセパハンはちょっと受け付けないw)
46worksの中嶋さんが作るマシンなんかは最高ですよね。このR75、車体のラインが綺麗すぎる。
abi900さんのM900に一目惚れした私はM900というバイクについて調べ始め、どうやら1990年代の初頭にデビューしたバイクで、ドゥカティの特徴であるL型2気筒エンジンに乾式クラッチを搭載しているらしいということがわかった。まあすなわちロマンの塊である。
さて、ここでDucati M900というバイクについて解説しようと思う。
1992年に発表されたM900は世界に大きな衝撃を与えたらしい。デザイナーのミゲール・ガルーツィはカウルを剥がれたスーパーバイク851(いわゆるストリートファイター)に着想を得てこのバイクをデザインしたとも言われているが、実際のところは彼がデザインしたタンクを載せるバイクを探していた。というのと、フルカウルスポーツの保険料が高いというヨーロッパの事情で、安く乗れるネイキッド車を売りたかったという二つの理由が重なってできた車両のようにも思える。
ただ、実際にM900はスーパーバイク851のメインフレームに900SSの904cc空冷エンジンが組み合わせられており、スーパーバイクの機敏さと空冷エンジンの味をストリートで同時に楽しめるという、まさにストリートファイターであったと言えるだろう。
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Back to Classics:Ducati Desmoquattro Models: 851 to 916 より
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Ducati:Monster 900 より
ただし、M900は2001年のモデルチェンジの際に使用されるフレームがスーパーバイク851のもの(いわゆるスモールフレーム)からツーリングバイクであるST4のもの(ラージフレーム)に変更されており、乗り味が大きく変化している。また2000年には燃料供給装置がキャブレターからEFI(電子制御の燃料噴射装置)になっているので、同じM900でも前期型と後期型では全く別物のバイクになっていると言っていいのではないだろうか。
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グーバイクより
機敏なコーナリングとキャブレターの味を求めるならば1999年までの前期型を、安定感を求めるならば2001年以降のモデルを選ぶのがいいだろう。
(個人的にはこの時代のDucatiの電子制御には触れたくなかったので私は問答無用で前期型にした)
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バージンドゥカティ:モンスター900S より
ちなみに1999年までのキャブ車(スモールフレーム)と2001年以降のラージフレーム車を見分けるのは簡単で、シート下のサイドカバー前に縦にフレームが入っている車両がラージフレームで、これが無いものがスモールフレームである。
また、インジェクション車はフレーム右側にスロットルを確認できる。キャブ車にはこれが無くインマニが顔を覗かせている。
他にもリアフェンダーやウインカーの形状が違ったり、フロントフォークが異なっていたりするが、これらは前後期で明確に別れているわけではなさそうだ。M900を探している方はぜひ参考にしてほしい。
さて、やること全てに物事の本質を求めてしまう私が初めてのバイクにM900を選んだのはもはや必然なのかもしれない。それはなぜか、次の項で書こうと思う。