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ディワリに思いを馳せたい:個性豊かなヒンドゥー教3大パワーカップルの面々
インドのお正月ディワリをめぐる物語は、インド国内や宗派によって異なるそうですが、共通しているのは女神ラクシュミーに祈りを捧げること。
ラクシュミーはヒンドゥー教のおもな女神のひとりです。
顔が象のガネーシャや、破壊の神のシヴァなど、ヒンドゥー教には個性的でユニークな神様が勢揃い。
そこで、2023年のディワリ初日を記念して、ラクシュミーを軸にしたヒンドゥー教のパワーカップル3組にせまってみたいと思います。
ビシュヌ神&ラクシュミー女神夫妻
まずはラクシュミー夫妻からいきましょう。
ご主人はヒンドゥー教3大トップ神の1柱であるビシュヌ神。
タイは仏教国ですが、王様はビシュヌ神の生まれ変わりとされるほど、篤く信仰されています。
ビシュヌ神
ビシュヌは、世界の維持を司ります。
身体的な特徴としては、青い肌に、4本の腕があります。
それぞれの手には、法螺貝や武器、蓮華の花などを持っています。
ヴィシュヌが手に持つ法螺貝を吹くやいなや、世界中の神様に連絡が届くそう。
乗り物は、ガルダと呼ばれる神鳥で、タイの王室に関連する建物には、ガルダ像が掲げられています。
ラクシュミー女神
ヴィシュヌの妻であり、ディワリの主役でもあるラクシュミーが司るのは、富、美、幸運、繁栄。
女性が欲しいものすべてお持ちですね。
身体的特徴は、蓮華色の肌に4本の腕。
手には蓮華を持っていて、赤い蓮華に乗っています。
遺跡から蓮華をもつ指先が出土されると、まずはラクシュミーとして調査されるようです。
ラクシュミーの持ち物で蓮華以外で有名なのは、なんと言ってもアムリタ。
アムリタとは、神話で語られる乳海攪拌により作られた不老不死の薬です。
乳海攪拌をひとことで言うと、不老不死の薬を作るために、神と悪魔が戦いながら地球の海を底からかき混ぜて作った、というスケールの大きなお話。
ちなみにラクシュミー自身も、乳海攪拌により海から生まれました。
なお、ラクシュミーは仏教では吉祥天として取り入れられています。
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おへそからでた蓮華に乗ってるのはブラフマー
シヴァ神&パールバティ女神夫妻
続いて3大トップ神で次に名前があがるのが、シヴァ神ではないでしょうか
シヴァ神
シヴァは、世界の破壊と再生と司ります。
「厨二病みたい」と、筆者の娘は言いますが、至って真面目です。
シヴァの代表的な身体的特徴は、額にある第3の目。それに4本の腕です。
また、三日月のマーク入りの帽子をかぶっています。
乗り物は、ナンディという白い牛。
一説では、このことによりインドで牛は神聖と考えられるようです。
ガネーシャのお父さんでもあります。
パールバティ女神
そんなシヴァの奥さんは、パールバディ女神。
パワー、愛、献身を司る、金色の肌を持つ美しい女神なのですが、もともとのお肌は黒かったそう。
それをシヴァに非難された彼女は、森に籠り苦行を始めたので、後述するブラフマー神が肌色を金色にかえてあげたそう。
シヴァ神、モラハラ気味です。
パールバディは金色の肌になりましたが、この時の黒い肌の女神は転生してカーリーという、首から連ねた髑髏をさげる恐ろしい姿の殺戮の女神になりました。
キャラが180度変わってます。
パールバディとシヴァの間には、ガネーシャ以外に軍神のスカンダという子供がいます。
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ブラフマー神&サラスヴァティー女神夫妻
パールヴァディの肌色を変えてあげた心優しいブラフマー神ですが、3大神に挙げられているのにも関わらず、ヴィシュヌやシヴァと比較して人気が高くないんです。
世界的にも、ブラフマーを祀る寺院はごくごく少ないそう。
その中で有名な所として、バンコク有名パワースポットのひとつ「エラワンさん」があります。
ブラフマー神
そんなブラフマーですが、世界の創造を司ります。重要なお役目です。
「ブラフマーが創造し、ヴィシュヌが維持し、シヴァが破壊と再生」という連なる3つのサイクルのひとつを担っています。
乗り物は、ハンサと呼ばれる白いがちょう。
身体的な特徴としては、4本の腕。これは他の神様にも見られますね。
ただし、もう1つの特徴はインパクト大です。顔が4つもあるんです。
しかもこの理由は、愛妻家すぎて震えます。
ブラフマーの妻サラスヴァティは、もともとブラフマーが自分の体から作り出したものでした。
しかし、あまりに美しくできたので、妻として娶ろうとします。
逃げるサラスヴァティを見つけるために、東西南北の全方向を向く4つの顔ができてしまったそうです。
サラスヴァティを妻としてからも、あまりの美しさにいつも見ていたいので顔は4つのまま。
ちょっと重いかも…
サラスヴァティー女神
さて、夫から愛されすぎなサラスヴァティが司るのは、芸術と学問。
いつもギターのような楽器を持っています。
身体的特徴は、白い肌、額に三日月、4本の腕。
乗り物は、白鳥または孔雀です。
仏教では、弁天さんとしてお馴染みの弁財天として取り入れられています。
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さいごに
ここまであげた3柱の女神全員は、実はもともとヴィシュヌの奥さんだったという説もあります。
3人の奥方たちの喧嘩が絶えなくて、嫌気がさしたヴィシュヌは、ラクシュミーだけを残して、あとの2人はシヴァとブラフマー押し付けたとか。
え…ちょっと、それキツイかも…
とまあ、そんなエピソードがあったりとインド神話って、知れば知るほどユニークで面白いんです。
マレーシアはヒンドゥー寺院も多いので、インド神話を知ると違った視点で楽しめるかも知れませんよ。
3柱の女神の中で、あなたのお気に入りの女神様はどなたですか?
筆者は、やっぱりラクシュミーかな。あやかりたいです!