独断と偏見に立ち向かう国産TCGのススメ

皆さんこんにちは、C先輩です。
齢30も後半に差し掛かろうかという中、彼女も作らず紙をシバいてるオタクです。
今回、こんな記事を書かれていらっしゃる方が居たんですよ。
私がメインでやってるのは遊戯王とヴァイスシュヴァルツなので、ちょっとそこを読んでみたんですが、評価が辛いんですよね。

筆者のロクサスさんは、これでカードゲームに触れるきっかけになってほしいって書いておられるのですが、「興味を持ってるけど、これ読んだら面白くなさそうだから辞める」って人が生まれそうで嫌だなと思いました。
どちらかというと、「クソゲーを始めてしまうリスクを下げる為に、disっとこ」という感じが滲んでいるような気さえしました。
カードゲームミリしらの一般人がどう感じるかの視点で言ってます。
誤解だったらすみません。
ただ誤解しないような書き方を努めて欲しいなと思います。
本心で触れるきっかけを増やしたいと書いて頂けるのなら大歓迎です。
(お気持ち表明ここまで)

という訳で、私がやり込んでない別タイトルはともかく、遊戯王とヴァイスシュヴァルツについての私なりの評価と見解をこの場でしておきたいなと思います。
要点絞ってもちゃんと説明しようとしたら、2タイトルなのに酷い文字数だ、どうしてこうなった!

遊戯王

まずロクサスさんの評価は以下の通りです。(5段階評価)
ここに、私なりの評価と見解を入れてみます。

入りやすさ:4(私の評価ではぶっちぎりの5)
漫画やアニメで見知った人が多く、イラスト自体も長い年月をかけて多種多様なカードが生まれている点は文句なし。
しかし新作アニメが無く、もはやかなり古い漫画の類と考えると低年齢層には厳しいため減点。(引用ここまで)

まずアニメ=漫画みたいな乱暴な表現はやめて頂きたい。新作漫画は複数ラインで走っており、OCGオリジナルの新作アニメが複数予告もされている。
知名度についてはわざわざ語るまでも無いですね。
ルール的な入りやすさに関しては、世界一です。
5枚引く
手札からモンスターを召喚する。
相手を攻撃して、モンスターの攻撃力ぶん相手のライフを減らす。
モンスター同士で攻撃するときは攻撃力高いほうが勝ち。
相手のライフがゼロになったら勝ち。
終わりです。
カードゲームぴちくりも知らない二人が初めてカードゲームとして戦う形が成立するまでに、マナの概念も土地の概念もおはじきもダイスも要りません。トップチェックも無ければトリガーも無いです。
最低限の覚えるべきルールが無い=入口がクソ広いってことです。
小学生のガキンチョが雑なルールの覚え方でちゃんとゲームとして一応正しい進行がしそうなほどに簡単です。これが入りやすさというものです。
これを勝とうとすると、アホほど複雑に、奥深くなっていくってだけです。

ゲーム性:1(私の評価では4)
「公式ですら細かいルールが分からない」と言われるほどルールが複雑だったり、「じゃんけん負けはプレミ」「誘発握ってない奴が悪い」と言われるほど拮抗した勝負が難しく、他人にかなり勧めにくい。
スタン落ちが無い、「青眼の白龍」「E・HERO」のような有名カード、カテゴリは後に強化される、妨害やリソースの読みあいが多い、といった他の主な国産TCGには無い面白さがあるものの、総じて「他人に勧めるのは難しい」といった評価になってしまう。(引用ここまで)

遊戯王に親でも殺されたんか?
それはそれとして、ちょっと乱暴すぎるんで1個ずつ訂正していきます。

「公式ですら細かいルールが分からない」
現在は運営事務局にルール問い合わせすると、かなり速いレスポンスで具体的な裁定を出してくれます。

「じゃんけん負けはプレミ」
じゃんけん負けというより、先攻勝率が偏ってるって意味だと思いますが、
まず大会トップ層の後攻勝率は45~50%程度には収束させて来ますし、後攻テーマで環境を席巻した天盃龍といったテーマは後攻テーマです。
あと先攻後攻勝率が完全に全テーマ50%のゲームはただの運ゲーでしょ。そんな面白く無いタイトルどこにも無いよ。

「誘発握ってない奴が悪い」
手札誘発という、相手ターン中にも手札から介入できる妨害に関しても、
確かに持っていれば先攻1ターンキルや、完全制圧と呼ばれる系統の先攻番長系デッキに対抗できる数少ない命綱ではあります。
ただそんなデッキはそもそも少数派です。
こういう台詞を平気で言っちゃう人は、デッキ枚数を上限の60にして誘発のドロー確率を限界まで落としたうえで、手札誘発採用率1位を「増殖するG」と争う「灰流うらら」というカードを1枚も採用していない融合60GSというテーマを生み出したねいつさんみたいな大会上位層プレイヤーをどう説明する気なんだろうか。
誘発で止められる、誘発が握れない手札もある、それを加味して乗り越えていく為の手数を確保する。といったバランスを考えながら悩み、試し、また調整していく、時には正解だったけど誘発の投げ方が悪かった、突破できるはずだったのに誘発読み間違えて止められたといったプレイングで反省する。
そういう深さが遊戯王にはあるんです。この読み合い、歌のサビのような、心理戦の盛り上がる瞬間が1ターン目から発生します。
最初からクライマックスです。
一番美味しい所を楽しもうとしてないんだから、悪い所として挙げるのも仕方ないのかなって思います。

スタン落ちが無いといった辺りの文言は褒めてんのかdisってんのか要領を得ませんでしたが、スタン落ちが無いからこそ、遊戯王というパッケージの顔を張るブラックマジシャンやブルーアイズホワイトドラゴンが今尚公式大会の場でも登場する訳ですから、良いじゃないですか。
新しいカードのパワーインフレに引っ張られるように強化もされます。
知ってますか?今大会上位層のデッキ分布に、青眼の白龍が入っているんですよ。

ただ、クライマックスを終えて相手のライフが残ってターンが帰ったあとの、消化試合が多い所は減点かなと思います。マナが必要無いので1枚でミラクルが起きる時も無いでは無いですが、本当に稀です。
世界大会でこの前1度それをお見掛けして、泡吹きそうになりました。
面白いですよ遊戯王。
おすすめです。

値段:2(私の評価では5)
最近は構築済みデッキで一線級の強さを持っていたり、汎用カードよりカテゴリのカードを重視する事もあるが、やはり汎用カードの必要性が高いデッキが多い、エクストラデッキが高い、あるいはなくても組めるが一部のデッキに限る等といった問題点が大きく、決して安いTCGとは言えないだろう。
(引用ここまで)

多分ですけど、汎用カードが高いからどれ組んでも金かかるよって事ですよね。
まず大前提ですが、遊戯王カードは全体的に安いです。
ごく一部の、強力だが、再録も無く、レアリティも高くて市場枚数が少ないカードのみ高騰します。
汎用カードは再録が定期的に行われており、高くても1枚平均600円前後で収束していきます。
それ以外はシングル価格が他のあらゆるタイトルよりも平均して安い為、安いTCGと断言できます。
そして汎用カードも、この度タクティカルトライデッキというシリーズが多数輩出され、主要な汎用性の高いカードが複数封入されるなど、初心者~上級者問わず新デッキ構築の障壁が著しく下がりました。
何なら、このタクティカルトライデッキは1箱だけでも実は「公式交流大会でそこそこ戦える」レベルであると、上手い人は気付いてます。
汎用カードもテーマに沿うように無駄なくセットされ、先攻後攻どちらでも動けるようシングル戦を想定した構築にちゃーんとなってるんです。凄い。また、一部の限定パックを除き転売ヤーのようなゴミクズの標的にならないことも、シングルが安い証拠といえるでしょう。
そして高い高いいうてる汎用カードも、スタン落ちが無いから禁止カード化でもされない限り、新しいデッキ組んでも使いまわせるじゃないですか。
(ヴァイスシュヴァルツなんかだと、現行のネオスタンルールでは、同タイトルパック内のカードしかデッキに組み込めないので、まったく同じような効果を持つ汎用性のあるカードを、デッキごとに新しく揃える必要があります。)
もう兎に角安いです。ヴァイスシュヴァルツのデッキ1個の予算で、3つぐらいは平気で組めます。

安いですよ遊戯王。
おすすめです。

ヴァイスシュヴァルツ

まずロクサスさんの評価は以下の通りです。(5段階評価)
ここに、私なりの評価と見解を入れてみます。

入りやすさ:2(私の評価では3)
前述の通り作品の偏りは激しく、大衆的な目線で見た場合の入りやすさはかなり厳しい。
さらにカードのイラストもアニメやゲーム作中のイラスト、及び広報用のイラストから流用されたものが大半を占めているため、そこでも好みが分かれる。
とはいえその手の文化を嗜んでいる人からしたら引っかかるタイトルも多い為、一般向けでないだけで言うほど悪印象とも限らないだろう。
(引用ここまで)

かつてはエロゲータイトルからも多く参戦していたので、認知度から来る参入障壁はそれはそれは厳しいものでした。
何ならFate stay nightもエロゲー枠ですよ。
タイトルに全年齢版の[Realta Nua]と書かれて居ないですしね。
地上波とか、映画、OVA作品の有名所がどしどし参戦した頃には、
unlimited blade worksとかheaven's feelと表記された追加パックが来ました。
今となってはパックシリーズ最多のソードアートオンライン然り、バンドリ、なろう系、変わり種だとクレヨンしんちゃん等裾野は広いです。
ゲームバランスが極端にインフレしないので、自分の推し作品で戦うという楽しさはあまり他では得られない良さなので、心にティンと来る作品があれば、きっと楽しいです。

ゲーム性:2(私の評価では5)
ゲームの性質が運に偏っている点は好みが分かれるところだろう。
勿論プレイやカードを詰めればある程度変動させられるのだが、それでも最終的な勝敗が運に委ねられがちな点は嫌われる事も多い。
そしてゲームとしての発展性が良くも悪くもほぼ望めない点も見逃せない。
一般的なTCGは新しい能力、新しいカードの種類、新しいルール等を増やし、盛り上げるのが一般的だが、このゲームの場合「Aの能力に特化したタイトルA」「Bの能力に特化したタイトルB」「AとBの能力を半々に取れるタイトルC」のようなカードのマイナーチェンジが非常に多い。
インフレが緩やかという点で肯定的に捉える事も出来るのだが、基本的に1度出たタイトルの強化はアニメ2期、ゲーム続編が出ない限りほぼありえない為、タイトルの強さが頭打ちになりやすい点も発展性の面から見てマイナスだろう。

順番に行きます。
まず運に偏っているというのは偏った味方です。
本タイトルの決着は、最終的な相手へのダメージが命中した時ですが、このダメージが命中するかの判定をデッキトップからトリガーチェックします。
50枚デッキに8枚だけ入れれるクライマックスカードがめくれた時、ダメージを無効化しますので、ヴァイスシュバルツのゲーム進行は、盤面の取り合い、リソースの確保、そして最終的なデッキの防御率(クライマックス封入率)を調整していく戦いです。
本当に最終盤面のダメージ命中運だけが勝敗に帰するのであれば、戦記絶唱シンフォギア収録の、「ノイズ」構築のように、他のギミックが搭載できない代わりに、徹底的にデッキ圧縮して高打点をほぼ確実にキャンセルできる構築が大会入賞しまくっているはずです。
この構築は正攻法だと強いのですが、デッキと控室を入れ替える光景互換に弱すぎる(デッキにため込んだクライマックスが全部ドロップして全弾被弾する)といった明確な弱点もありますし、盤面の取り合いに終盤勝てないので、特攻していく必要があり、手札が足りなくなるので自傷ダメージを受けて2枚ドローという行動が必須となり、ダメージレースでも追い抜かれます。

基本的にこのゲーム、終盤でやる事というのは、テーマで出せるキャラの固有能力を組み合わせて、相手のダメージキャンセルを搔い潜って打点を押し込む事と、デッキの防御率を少しでも上げて相手の最後の猛攻凌ぐ事になります。
そして攻め手は、倒しきれない事も想定する場合、リソースとデッキを追加圧縮して、防御率を下げてコンボに必要なカードを引き込むかどうかの判断に迫られたりします。倒しきれなかったら、自分が次の相手の攻撃を防ぎ切れないかもしれない、でもクライマックスカードを1枚追加でデッキに仕込んでおけば生き残る確率が高いなら、状況次第でその選択に勇気を出す。
そういう駆け引きもあるわけです。
運は運ですが、実は構築とプレイングでその確率を結構なレベルまで調整できます。
そしてデッキごとのエースキャラクターに設定されたバグムーヴのような力を駆使して、相手のテンポを崩したり、一気に勝負をかける訳です。
例1:1枚手札を切って、1枚別の欲しいカードをデッキから引き込むのが一般的なシステムカードなら、条件付きだがコスト無しで2枚デッキから引き込める
例2:ヴァイスでは基本的に1ターン3回攻撃(3キャラで1回ずつ)だが、
連続攻撃で4回攻撃したり、追加打点を効果で発生させる
例3:3回攻撃されて1回でも通ったら終わりだが、デッキにクライマックスが2枚しか無いタイミングで、使い終わったクライマックスをデッキに戻してシャッフルする事で、3回連続ダメージキャンセルができるようになった

もちろんこれだけやっても酷い運や、相手の凄まじい防御率のデッキで押し込まれる事もありますが、本当に運だけが悪くてその勝負を落としたというのなら、何度か戦えば確率は収束します。
最後の瞬間まで勝負が分からないから、ひり付く勝負が出来る。
人事を尽くして天命を待つ。
最後の最後まで戦っているという実感が得られるのが、ヴァイスシュヴァルツの良い所です。
運用素というカードゲームの根底を余すことなくしゃぶりつくせるゲーム性を評価しての5です。
これを否定したら将棋とかやってろって話に今度はなっちゃいますからね。

あと、強化パックが続編無いとほぼ絶望というのは、例えばスニーカー文庫出身タイトルの合同強化パックといった感じで、最近は対策も取られています。

値段:4(私の評価では2)
実は値段だけ見た場合安いタイトルも多く、上記の通り1回限りのタイトルが多い点や露骨な封入操作が行われていない為、気に入ったタイトルでデッキを組む程度なら他TCGのガチデッキに比べ以外と安い。
とはいえ原作が超人気タイトルなら値段は上がりやすいし2期や続編で強化が入ると昔のカードが入手困難になったりすることもあるのだが・・・

人気タイトルが高いというのは誤りです。
人気タイトルかどうかよりも、システムとしての効果の強さx流通量です
例えばですが、ヴァイスシュバルツにはGODZILLAという超マニアックな、アニメ版ゴジラなやつが参戦してるんですが、超人気だと思いますか?
当然そんなことは無いですが、このタイトルだと“翼竜型生物”セルヴァムというカードが、超高いです。
1枚の単価としてみると、1000円は切る店舗も多いです(他タイトルのエースや強力なシステムは時折2000円台)
普通のデッキならば、それを投入上限の4枚揃えることで骨子が出来るんですが、この“翼竜型生物”セルヴァムは特殊裁定ルールにより、投入上限無し且つ、構築上、20枚前後の投入がまじめに強い構築だったりします。
もうこの時点で、遊戯王の中堅どころデッキが何個組めんねん!です。
しかもこんな、キラキラしてるわけでもない雑魚モンスター20枚如きにですよ。
何故高いのかといえば、効果もこの構築上必須級で必要枚数が多いくせに、人気が無いから買いまくる人も居なくて、中古市場にも中々流通しないからですね。
逆にソードアートオンラインのような超メジャータイトルのパックは皆剥きまくるので、システムカードもダブりが多く、結構シングル買いしやすい訳です。
なので構築力が身につけば、コンパクトな予算で組み切る事は可能です。
ただそれは参戦タイトルごとで随分都合が違うので、買いやすいか、と聞かれればノーです。
安く組む事もできるがそれはビルド力がついてからなので、参入障壁の視点でいえば、否定よりと言わざるを得ない。よって3より低い2とする。です

あとは、遊戯王はマスターデュエルというように、プレイングやビルドを学ぶ練習用の場がありますが、ヴァイスには基本的ありません。
なので最初は好きなテーマを箱買いするか、デッキレシピを参考に丸々コピってシングル買い構築して、少ないプレイヤー層の仲間を探す&見つけて練習する必要があるという点もハードル高いです。
やってる人がいるor一緒に始める人がいるなら、良いゲームなのは保証します。

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