発酵_糠漬け

日本の発酵食は世界に誇れる健康食。ブームを繰り返しながら、世界市場も見据えたポジションへ。

日本は発酵大国。
発酵は日本の食文化の大きな特長の一つですが、近年は、ブームとして取り上げられることが多くなりました。

塩麹、甘酒、ギリシャヨーグルト、糠漬けなど、ここ10年間ほどで、発酵食品が次々とクロースアップされてきました。特に発酵食品の美容と健康に対する効果や栄養価値が評価され、若い女性にとっては、美容&健康食品として定番化したとも言えます。さらに近年の健康ブームから、より広い年代にも関心が広がり、今や一過性のブームを超えている様子です。


元来日本には、納豆、漬物、酒類、醸造酢、味噌、みりん、醤油、塩辛、鰹節など、伝統な発酵食品がたくさんあります。加えて、ヨーグルト、チーズ、キムチなど外国由来の発酵食品も現代の日本では日常食です。日本の伝統食はもちろん、世界の発酵食もとりいれて、数多くの発酵食品が食卓に登場している日本は、まさに発酵大国。さらに、健康効果だけでなく、2020年という世界からの注目を集める年を迎えるにあたって、発酵食品は海外からも注目される「和食」の大きなコンテンツとなりうる食材なのです。


外食産業にも発酵食ブームの流れ

近年東京では、オリジナルな発酵食を提供する店が続々登場しています。
自宅はなかなか食べる機会がないような発酵料理も体験できるので、興味のある人はもちろん、外国人が日本の発酵食に触れる機会としても大切なコンタクトポイントです。

発酵居酒屋5
「発酵」をテーマに、無添加であること、手作りであること、そして、気兼ねなく毎日通えることにこだわった居酒屋。鎌倉在住の発酵料理人・鈴木大輝による全てに発酵食材を用いたお酒が進むお料理をラインアップ。ワイン、日本酒、マッコリ、国産レモンの酵素シロップを使った薬膳レモンサワーやオリジナルブレンドの漢方茶なども取り揃えています。


にっぽんのひとさら
加熱殺菌していない「生きたお醤油」として、目の前で搾りたてを提供する「生揚げ醤油(きあげしょうゆ)」が看板商品。


発酵デリカッセン「Kouji&ko」
同時に既存のイメージにとらわれず、新たなスタイル「ヌーベル ハッコー(Nouvelle Hakkou)」をコンセプトにし、レストランのほかオンラインショップも展開。


東京850 PIT / STAND
オリジナル乳酸菌(TK-850)で作った“乳酸菌ボール”入りのドリンクを提供する発酵ドリンク専門店。


近年の食ブームは発酵ブームでもありました。直近10年間の発酵食品ブームの変遷を振り返ってみましょう。


2011年 塩こうじ

糀を塩の代わりに使える調味料としてアレンジした「塩こうじ」が一躍注目の食材となる。万能調味料として、さまざまな料理レシピが紹介されました。


2014年 甘酒
「甘酒」は、ビタミンやアミノ酸などが多く含まれ、疲労回復効果が高い健康飲料として知られるようになりました。“飲む点滴”とも呼ばれ、冬だけでなく、夏はアイスで飲むなど、通年飲料として販促される。現在も市場は拡大中で、 2022年には323億円まで販売額が伸びるとの予測もあります。


2016年 乳酸菌
腸内フローラの注目から「腸活」 がメディアで取り上げられる。発酵菌の代表である乳酸菌にはさまざまな体の悩みを解決する万能パワーがあること明らかになり、ヨーグルト、チョコ、サプリなどの乳酸菌関連商品が次々に登場。各社独自菌株の有効性を打ち出したプロモーションを活発化させ、一般食品業界にまで乳酸菌トレンドが席巻しました。


2018年 ぬか漬け男子
SNSで「ぬか漬け男子」という言葉が流行。無印良品の“かきまぜがいらない”「ぬかどこ」は、売上げが半年で400倍近く増加したそう。2019年は天候に恵まれ、野菜価格も安定。ここ数年、野菜相場に左右された市場だが今年の商戦に期待するメーカーは多いとされています。


2019年春には、東京・大阪で同時期に発酵テーマのイベントが開催され、エンターテインメント性も持たせて盛りあがっています。

東京 
渋谷ヒカリエ 
Fermentation Tourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜
2019年4月26日〜7月22日
47都道府県のローカル発酵食品を一堂に集結した展覧会。発酵デザイナーの小倉ヒラク氏のキュレーションのもと、47のローカルな発酵食品からみる、郷土料理の多様性、それらが育む人々の精神性を通して、日本の個性を再発見。開催に先立ち、11月よりクラウドファディングプラットフォーム「CAMPFIRE」にて、プロジェクトサポーターの募集も行った。
主催:D&DEPARTMENT PROJECT
協賛:「カルピス」(アサヒ飲料株式会社)
株式会社環境ダイゼン/株式会社ビオック・株式会社糀屋三左衛門


大阪 
アベノハルカス近鉄本店 
HAKKO de Happy

2019年5月15日〜21日
味噌や納豆などの伝統的な食品をはじめ新しいグルメが大集合するほか、セミナー・ワークショップも開催。
・発酵ドリンク「カルピス」+発酵食品で新しい味わいを
・発酵食品チーズや味噌、酒粕のスイーツ
・新感覚ポタージュ。洋風な味噌汁
・滋賀県の伝統発酵食コーナー「ハッコウ百貨店」
・麦みそ作り体験
・「発酵調味料セミナー」「発酵お家ごはんセミナー」など


そして、メジャーブランドからも、発酵をテーマとした商品が登場。

スターバックス
「レモンヨーグルト 発酵フラペチーノ」
スターバックス コーヒー ジャパン株式会社は、2019年6月19日より、サマーシーズン第三弾として『レモン ヨーグルト 発酵フラペチーノ』を全国のスターバックス店舗(一部店舗を除く)にて発売。世界の食文化の中で古くから親しまれ、いま新たに注目を集めている“発酵”に着目し、スターバックス初、3つの発酵素材を使用。濃厚な味わいのヨーグルト、風味豊かなチーズ、隠し味としての甘酒といった、和と洋を代表する発酵素材を組み合わせ、ジメジメとする梅雨どきにもぴったりの爽やかでワクワクするようなフラペチーノに仕上がっています。


アサヒ飲料
発酵BLEND「ヨーグルト&カルピス」
アサヒ飲料株式会社は、発酵BLEND「ヨーグルト&『カルピス』」沖縄パインを2019年5月14日から9月末までの期間限定で全国発売。
「カルピス」とヨーグルトという2つの発酵食品の組み合せに、沖縄県産のパイン果汁をミックスした甘ずっぱくさわやかなおいしさが楽しめる乳性飲料。発酵BLENDシリーズは「『カルピス』発酵BLEND PROJECT」の一環として昨年6月に期間限定で発売し、今年2月に再発売した発酵BLEND「ヨーグルト&『カルピス』」も、計画を大きく上回って推移。
さらに、“発酵”の魅力を伝えるポータルサイト「みんなの発酵BLEND」を立ち上げており、さらにコンテンツを充実させ、“発酵”に関する幅広い情報を発信しています。



その他の発酵食品の今

納豆
史上最大の絶好調ぶり。

納豆のスーパーマーケットでの売上金額は、2018年8月時点で、同月比114%(2018/08『TrueData』調べ)。2018年は1月から前年割れをした月が一度もないという絶好調ぶりです。納豆ブームは数年前から静かに始まっているようで、17年は納豆の市場規模が過去最高を記録していて2018年もその記録を更新しています。 

味噌
味噌からMISOへ。

長期に渡り減少してきた味噌の国内消費は、2016年でいったん下げ止まり、2017年には微増。時短レシピとして注目された「味噌玉」などもありますが、国内市場全体ではインスタントや出汁入り製品など、手軽に利用できる商品が市場を支えています。
一方、世界的な日本料理の需要増もあり、海外への輸出・PRに力をいれる企業も増えていて、味噌の輸出実績は2010年に初めて輸出量が1万tを超え、2016年には1万4759tと過去最高を記録、今後も記録更新が予想されています。                      

ヨーグルト
プレーンの細分化へ進むか。

プレーンヨーグルトの2018年4~8月の販売状況は、金額ベースで前年比3%~4%増で推移、昨年度は踊り場だったが復調が顕著。機能性ヨーグルトのヘビーユーザーの一部が、価格的に継続しやすいプレーンへ戻っていることなどで、カテゴリー内でのスイッチが進んでいると言われています。
「体に良いもの」という位置付け自体は変わっていないプレーンタイプが、機能性タイプの受け皿となっている状況でしょう。機能性の急成長に押され道半ばだった「プレーンの細分化」に、大手メーカーが力を入れてくることで、業界の長年の課題であるプレーンの同質競争(価格競争の悪循環)から脱出に繋がるか注目です。





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