「あぁ、どこかで企画生の誰かも頑張っているかなぁ」企画メシで過ごしてきた時間をいつか思い出せたら嬉しい。
みんな迷わずにつけるだろうか。
そうそう、この看板を下って、ドアを開けて、部屋の方へ歩く。
一歩踏み入れたら、
「わ、すごい…!」
思わず、声が漏れた。
「あなたを待っていたよ!」と言わんばかりに、いくつもの企画が会場の中を羽ばたいていた。
「こんにちは!お名前をお願いします!」
「対面では、はじめまして!最終講義のレポートライターを担当します。2021企画生の一倉莉奈(いちくらりな)です。本日はよろしくお願いします!」
終わりであり、始まりの最終講義
コピーライター・作詞家の阿部広太郎さん主宰の「企画でメシを食っていく」。2022年12月10日(土)、通称「企画メシ」は、横浜みなとみらい・BUKATSUDOで最終回を迎えた。
講義がはじまる5分前、企画生(企画メシの受講生)が少しずつ座り始める。
『キーンコーン、カーンコーン。企画メシ、いただきます!』
ある企画生たちがつくったオリジナルチャイムが鳴る。学生時代の懐かしさを呼び起こされたからだろうか?なんだか、ウキウキする。
阿部さんが会場にいる企画生に、オンラインで参加する企画生に呼びかける。最初の一言で、みんなの温度がぐっと上がったのを感じた。
改めて「企画メシ」とは、「企画する人を世の中に増やしたい」という思いから、阿部さんが2015年から始めた連続講座である。
2022年、企画メシに集った約50人の企画生は、月に1度のペースで講義と課題に取り組んできた。また、他の企画生の課題にも触れることで学びを深め、noteや感動メモ(講義と課題に対して、感じたことを全員に見えるように共有したシート)を通して、自分や仲間に言葉を贈り合い、学びを振り返ってきた。
今年「自分の道を言葉でつくるため」というテーマのもと取り組んできた課題は、阿部さんに加え、「自分で自分の道をつくってきた」ゲスト講師3名を迎え、下記6回あった。
7回目の最終回ではまず、半年間の振り返りとして、これまでの講義の中で印象的だった言葉を阿部さんがピックアップする。企画生は話を聴きながら、メモをとったり、うなずいたり、じっくりと噛み締めつつ、話を受けとめていた。
今まではzoom上だけだったからこそ、みんなが一堂に講義を受ける様子が新鮮でうれしい。
最終講義である「自分の企画」の課題は……
である。
企画生たちは、この半年間、課題に向き合う中で、「どうしよう?」「なにをしよう?」と時に葛藤しながら自問自答を繰り返し、自分自身の言葉を濃くし、そして仲間からの言葉で、自分を浮き彫りにしてきた。
「誰かの答えではなく、自分の答えを生きてほしい」という阿部さんからのエールを受け、自分の道をひらいていくための企画生たちの宣言がいよいよスタートする。
あなたは、どんな企画をする人になりますか?
「宣言をする」と手を挙げた人も、仲間の言葉を「受けとめる」ことを選んだ人も、会場全体が少し緊張していることが空気から伝わってくる。
1人3分という限られた持ち時間のため、次の発表者もドキドキしていただろう。会場下手(しもて)にコトンと置かれた「心の準備をするための椅子」に座って自分の順番を待つ。そのひとつの椅子さえも、この会場では「企画」なのだ。
企画生の中には、この日にプレゼンデビューを果たす人もいた。
さまざまな想いを持って集まった企画生たちは、どんな宣言をしたのだろうか?と気になる方も多いだろう。
ここで、発表をした28人の宣言を紹介したい。
「あなたはどんな企画をする人になりますか?」
宣言をする1人1人に向けられる眼差しや相槌に熱がこもる。
時には笑い声もあがり、会場はさまざまな感情で渦巻いていた。
「あぁわかるなぁ、そうだったんだね、あなたのことを応援しているよ」
そんな心の声が聴こえてきそうなほど、発表後の拍手には想いが込められていると感じた。
みなさんの言葉を聴きながら、私自身、1年前に震えながら宣言をした瞬間を思い出した。
しっかりと受けとめてくれる人がいるから、自分の言葉を声に出すことができるのだなぁと改めて思う。
この半年を駆け抜けて「自分の道をつくるため」の言葉を紡いだ企画生全員に拍手を贈りたい気持ちが溢れ、思わず涙を流していた。
「自分の道を言葉でつくる」
この言葉に惹かれ集まった企画生は、これからどんな道を歩んでゆくのだろうか?
道を進んでいると、疲れて思い切り休憩することも、迷子になることも、遠回りをすることだってあると思う。しかし、それらも全て言葉にすることで「自分だけの道」にしていくのだろうなと思うと、みなさんの姿がとても頼もしく感じた。
ご褒美である、最高の乾杯を
「みなさん本当にお疲れ様でした!乾杯!」
講義後に待っていたのは、美味しいご褒美である。
企画生の一人が製造に関わるビールで、思い切り乾杯をした。
企画生たちは用意されたライスバーガーや飲み物、お菓子をほおばり、思い思いに時間を過ごしていく。
対面では、初めましてという人も多いからこそ、話も弾む。
半年間を振り返りつつ、みなさんは、どんな話をしたのだろうか?
会場内には第5回『チームの企画』の課題を通して実際にかたちにした企画が溢れていた。
企画生が首から下げているのは「企画メシがきっかけで生まれたモチーフを描いた名札」と「格言シール」。10種類以上ある名札のデザインはどれも可愛らしく、1つを選ぶのにもついつい迷ってしまう。
「ことばの赤い糸展」は、綴られた物語の結末を自分で選んでいき、結ばれていた言葉に出会うという展示。物語もデザインも、丁寧に紡がれている。だからこそ、体験をした時間を含め、宝物をもらった気持ちになった。
1度目は自分の視点で、2度目は他者の視点で言葉を鑑賞する「ことばの二度見展」。2度見ることで言葉の印象が変わる経験には発見も多く、つい隣の人と驚きを共有したくなった。
これからも積極的な解釈のもと、企画ができるようにという願いがこもった「企画パスポート」。最終講義後には、実際に企画生が住む地域に足を運び、判子を押してもらうという楽しみ方をしている人もいた。
新たな出会いや更なる企画が生まれるきっかけに、と作られた「企画メシ2022 卒業アルバム」。きっとこのアルバムが、これからの企画生のつながりをより濃くしてくれることだろう。
『チームの企画』は1人の課題とは違う難しさがあったと思う。その難しさを知っているからこそ、笑顔で自分たちの企画を紹介する姿が本当にかっこよかった。(書ききれなかったが、現在進行中の企画もあると聞いている。これからも本当に楽しみである。)
たのしい企画に溢れた懇親会はあっという間。企画生たちは展示を鑑賞したり、記念写真を撮ったり、阿部さんとも話しをしたり、たくさん交流を深めながら、思い切りその時間を味わった。
「今日直接会えた人も、会えなかった人も、また再会しよう」
そんな約束をして、2022年の企画メシは幕を閉じた。
企画メシとは、企画者としての自分を耕し続けられる場所
最終講義から帰って1週間「#企画メシ」のハッシュタグをSNSで眺め余韻に浸りつつ、私にはどうしても気になることがあった。
それは、改めて「企画メシとは、どんな場所なのだろう?」ということである。
2021と2022の2年分の最終回を体感し「共通点」や「違い」の両方を感じた私だからこそ、そのリアルを知りたくなり、できる限り今年の企画生に「企画メシでの半年」についてインタビューをすることにした。
そこでもらったアンサーは、当たり前ながら十人十色であった。
彼らの言葉の多様さに、私自身ぐんっと景色を広げてもらった。
そこから私が気がついたのは、企画メシとは「企画に向き合うことで、自分と向き合える場所」であるだけでなく、職業、年齢、地域、魅力もバラバラな「振れ幅の大きい」人たちが集まるからこそ「自分の幅も、広げ続けられる場所」であるということだ。
この場では、企画を通じて今まで会ったことのなかった人たちに出会い、互いに認め合い、感動を贈り合い、刺激をもらうことで、いろいろな自分に出会うことができる。
つまり、企画メシとは「企画者としての自分を耕し続けられる場所」でもある。そんな風に、私は思った。
仲間とともに、それぞれの幸福を目指して
ここでの「企画者」を「自分や自分の大切な人を幸せにするために考え、それを実行する全ての人」と捉え、みなさんの「宣言」を振り返ってみた。
もしかすると、あなたが宣言した道を歩んでいく中には、1人では進み続けられない瞬間もくるかもしれない。樹海のような場所に迷い込んで苦しくなったり、ここじゃないと心が叫ぶような想いをする経験が、あなたの前に立ちはだかる可能性だってある。
でもそんな時こそ、「企画メシ」という居場所を思い出してほしい。
ここは、期を越えて企画生という仲間を頼り、時には助け合って、応援しあって、あなたの味方に出会い続けることができる場所だと思う。
いろいろな出会いを重ね、大小問わず、誰かを幸せにするための企画を積み重ね続ける。そうすることで、予想もしなかった道がひらける。さらには自分や大切な人を幸せにでき、人生を豊かにし続けられるのではないだろうか。
これから進んでいく企画生全員の道が、幸せで溢れていて欲しいなと願い、阿部さんの言葉を贈る。
「企画とは幸福へ向かう意志」だ。
心にあかりを灯したい
最後になるが、本レポートを書いた私、一倉は1年前、「心のチアリーダーとして、懸命に生きる人々の、心にあかりを灯せる企画をする人になる」と宣言をしていた。
それは、何かに懸命である人ほど、できない自分に悔しくなったり、辛くなる夜があるのではないか?と思っていたからである。でも、そんな時には誰かの「温度ある想い」が、自分の心を救ってくれるのだと、企画メシを通じて知ることができた。
だから、企画メシを駆け抜け、これから先「自分の言葉で道をつくっていく」あなたの心に「少しでも、あかりを灯すことができたらなぁ...」という願いを込めて、シンガーソングライターの向井太一さんと阿部さんが共作詞した「FLY」を贈りたい。
あなたにも「なりたい自分」があるからこそ、涙が出る瞬間もあるかもしれない。けれど、きっと大丈夫。
「あぁ、どこかで企画生の誰かも頑張っているかなぁ」
企画メシで過ごしてきた時間を思い出しながら、一緒にこの曲を聴けたら嬉しいなぁと思う。
お結びに🍙
これからも企画生のみなさんが、自分の道を言葉でつくり続けていけますように。そして、企画メシに関わった全ての人が幸福へと向かえますように…!
「久しぶり!最近、元気にしてる?」と気軽に言い合える仲間で居続けられたらなあ。
「企画メシ2022」を見守り続けてくれた阿部さん、きゃわのさん。
本当に本当に、おつかれさまでした&ありがとうございました。
いつかまたみんなで集まって乾杯する日が心から楽しみです。
「企画メシ2022」企画生のこれまでの歩みも是非ご覧くださいね。
それでは、またどこかでお会いしましょう!