年商1,000万が目前に…!空き家を低所得者に貸し出す、スモールグッドビジネス立ち上げの舞台裏【Fukusen LIVEレポート2022年11月】
去る11月7日に開催されたFukusen LIVEでは、Fukusen卒業生で年商1000万円目前!スモールグッドビジネスを立ち上げ中の、篠原大貴さんをゲストスピーカーにお迎えしました。本業は転職エージェントという篠原さんは、Fukusenで何を学び、どこにビジネスチャンスを見出したのでしょうか。その驚きの行動力、篠原さんならではの”WILL“にFukusenメンバーは皆、大いに刺激を受けました。当日の模様をダイジェスト版でお届けします。
※実際のLIVE映像をご覧になりたい方は、30日無料のFukusenファームよりお申し込みください。
不動産から人材業界へ。
100億のビジネスを昨対5%伸ばすより、手触り感のあるビジネスがしたかった
細野:今日はゲストにFukusen1期生で、スモールグッドビジネスを絶賛立ち上げ中の篠原くんに来ていただきました。そのプロセスは学ぶところがたくさんあると思うので、皆さん、心して聞いてくださいね。まず篠原くんのキャリアから聞かせてください。
篠原:新卒の時はガッツリ稼ぎたいと不動産会社に入社し、不動産売買の営業職に就きました。給与が売上に連動する仕組み、かつ、会社近くの物件に住まないといけない(家賃9万円くらいのエリア)ということで、売上をあげないと生きていけない環境でした(笑)。
3年ほど働いて年収が上がったときに、やっぱりお金じゃないな、面白いことをやりたいなと思うようになりました。ちょうど東日本大震災も重なって、世の中に良い影響のある会社で働きたいと、大手人材紹介会社に転職しました。
そこで求人広告の営業や営業企画、新規サービス企画などをし、100億規模のビジネスに携わる中で、より手触り感のあるビジネスがしたいと、リクルートの知人が立ち上げた人材会社に転職をしました。当時は社員数3~4名。立ち上げ2期目というベンチャーで、ビジネスの立ち上げに携わってきました。この会社を通じて細野さんと知り合い、Fukusenに1期生として参加しました。
コロナ禍で個人商店が軒並み閉店に…地元を盛り上げたいと、チラシサービス実験中に気づいた「空き家」の多さ
細野:Fukusenで起案していたビジネスはどんな内容でした?
篠原:コロナ禍になり、私の住む川崎市では駅前の個人商店が次々と潰れ、チェーン店に置き換わって行きました。このままでは街の魅力がなくなり、地価も下がり、買ったばかりのマンションの不動産価値も下がってしまう危機感を感じていました。なんとか地元を盛り上げたいと、個人商店から広告をもらって複数店で共同してチラシを作成・ポスティングする、チラシのシェアリングサービスを考えて起案しました。
細野:マンション価格を維持するためにエリアを盛り上げたいという動機(笑)
篠原:そうです(笑)。ちょうど私のマンションの目の前に、大学の体育寮がありました。毎朝、朝練で近隣を走っていたので、彼らにチラシをまいてもらい、稼ぎながらトレーニングができるのは良いのでは?思い、声をかけてみました。コロナでバイトもなくなってしまったということで、彼らの援助にもなるかと。
そこで、A4のチラシに8件、個人商店の広告を掲載して学生にポスティングしてもらうビジネスを起案。しかし、8件の個人商店から広告料を継続的に集めるのは難しいのではないか、ということでFukusenでのビジネス化は見送りました。
ただ、ものは試しと自分で実験することにしました。個人店に飛び込み営業をし、広告料をもらい、友達のデザイナーに広告を作ってもらい、チラシを刷って学生さんに配ってもらう。
細野:いい行動力!みなさんも見習ってくださいね。
篠原さん:実際にやってみてわかったのは、Fukusenでの指摘通り持続可能性がないということです(笑)自分で飛び込み営業をし続けるのはきつい。受注ができても売上が大きくない。さらに学生にも稼いで欲しいですが、学生に払いすぎると手元に残る利益は少なくなります。
Fukusenが掲げる年商1000万円への道のりは遠いことを悟りながら、このビジネス実験は3回ほど回してみました。学生と一緒に僕自身もポスティングをしたのですが、近隣に意外と空き家が多いことに気がつきました。空き家にはポスティングができない上に、広い家も多くあり、次の家までが遠い。「くそー」と思いながら、ふと、この辺りの空き家がどれくらいで買えるのか気になりました。調べると土地100平米、建物100平米、3LDKの戸建が1000万〜1500万程でした。結構高いですよね。(ボロボロの空き家なのに)
ポスティングをしつつ空き家の価格を調べながら、ふと、する少し前に参加した同窓会を思い出しました。そこで同級生が離婚してシングルマザーになり、二人の子供を1DKの木造アパートで育てている話を聞きました。仕事の収入も上がらず、生活は大変という話。住まいに困っている方がいる一方で、広い空き家が近くにもある。こんな社会を変えたい。
広い空き家を、住まいに困る低所得者層に貸し出したい!
手紙戦法で250万値切って物件を取得、多能工の職人さんの力を借りて安くリフォーム
篠原:川崎市で1500万の物件を買うのは厳しいものの、ほかのエリアならもう少し安く買えるのではないかと調べると、新宿から急行で40~50分程のエリア、厚木市や相模原市だと100平米400~500万円で買えることがわかりました。これを自分で手直しして、低所得者層に貸し出せたらいいのではないか?ここから、今手掛けている空き家の改修事業と、それを低所得者層に貸し出す事業がスタートしました。
細野:この着眼点が素晴らしい!空き家をカッコ良くして、高く貸し出す事業はよくあるけど、低所得者層に貸したいという篠原くんのWILLが繋がってスモールグッドビジネスを思いついた。そこからどう動きましたか?
篠原:僕のWILLをパワーポイント1枚にまとめて、街の不動産屋20件くらいに飛び込みました。低所得者に貸し出すために、安く買える空き家を探しているんだと。
細野:この行動力!第一号物件はどちらに?
篠原:JR相模原線が走る、座間エリアで駅徒歩15分の物件です。相続物件ということで、550万円で売りに出ていました。住んでいた親御さんが亡くなり、息子さんが相続したものの、違うところに住んでおり物件を売却したいと。相続税は相続から数カ月以内に払わないといけないのですが、この物件は売出されて、すでに3~4ヶ月が経過していました。
きっと早く売りたいはずだと思い、私のWILLを添えた手紙を相続人に送りました。すると350万で譲ってくれることに。
細野:恐るべき手紙戦法(笑)200万円のコストダウン!その時、借り手のめどは立っていましたか?
篠原:もちろんたっていません。とにかく快適に住めるレベルまでリフォームしようと、まずはリフォーム会社に問い合わせをしました。ただ、どこも高付加価値をつけて単価をあげようとするところばかりで、なかなか予算に合わず。アパートだと1棟あたりの部屋数が多いので、安く引き受けてくれるところもあるのですが、戸建だと採算が合わないと。そこで見つけたのが神奈川の土建組合に加盟する、多能工の職人さんでした。
細野:なるほど、1つ1つのプロじゃなくても、全部ができる人ならトータル安くなる。リノベのレベル的には快適に住めればいい、と。これもイノベーションポイントですね。
篠原:水回りなど、トラブルがあると入居者の方に迷惑がかかる部分は多能工の職人さんに頼みました。2LDKだったので、1部屋は職人さんに、もう一部屋は職人さんに講師をお願いして僕とDIY好きの友人を集めてリフォームしました。リフォームに必要な建材も最安値を探して自分で手配しました。
細野:安く貸すことがゴールなので、コストを最低限に抑えることはすごく大事ですよね。結果、トータルのコストはどれくらいかかりましたか?
篠原:リフォームに100万ほど、物件が350万で登記手数料や諸費用など入れても500万はかかっていません。これでなんとか貸し出せる状態まで持っていくことができました。
エリア最安値の物件を携え、いざ入居者募集!
しかし、入居者が見つからない…
細野:いくらで募集したんですか?
篠原:2LDK67,000円です。エリア最安値にすると決めていたので、この価格でどう利益を出すのかを考えてリフォームしていました。
細野:安い!入居者はすぐに決まりましたか?
篠原:それが、なかなか決まらなくて。リフォームのゴールが見えた頃、自力で間取り図つきのチラシを作って、賃貸の仲介会社に配って回りました。そこから2名、見学が入ったのですがリフォーム中だったのもあり決まらず…。そこでこのチラシをラクスルで刷って、同じエリアのアパートにポスティングすることにしました。結果、これが功を奏して、チラシ経由で見に来られたシングルマザーと高校生の息子さんご家族で契約が決まりました。募集から2ヶ月が経っていました。
細野:これだけ安い賃料でも、そう簡単には決まらない。新規事業のリアル感が伝わります。メンバーの皆さんから質問ありますか?
Fukusenメンバー:まさに当初狙ったターゲットが入居されたようですが、篠原さんが選んだのでしょうか?
篠原:そうですね。チラシ経由でお問い合わせのあったもう1組は若いご夫婦でした。僕の物件ではなくても、十分借りられる方だと思い、シングルマザーのご家庭と契約させていただきました。アパート暮らしで、高校生の息子さんが所属する部活がスポーツ系で荷物が多く手狭で。なおかつお母さんが水商売のため審査落ちが多く、なかなか賃貸を貸してもらえないと苦労されている方でした。このエリアは賃貸の戸建が3%しかなく、広い戸建に住めることをすごく喜んでいたのが印象的でした。
現在は8棟目の売買契約が成立。
年商1000万円のその先へ
細野:月に6.7万円の収入で年間80万ちょっと。10棟まで増やせれば、年商1000万が見えますね。
篠原:まさに本日、8棟目を買うことができました。1棟目の経験から、現金化ニーズが強い相続物件が狙い目だとわかりました。相続案件にリーチするために弁護士の先生と連携したり、更地にする前提で事故物件に近いものを購入したりと安く仕入れるための工夫をしています。
たまたま、所有している物件の隣が売りに出て、購入したこともありました。隣接した土地を購入すれば、戸建を取り壊した後、さらに大きなものが建てられます。いつか高齢者向けのグループホームを作りたいと新しい目標ができました。小さな実験を繰り返し、走り続けることで「半年後こうなりたい」「3年後こうなりたい」という新しい景色が少しずつ見えてきました。
細野:どんどんビジョンが広がってきていますね。
篠原:物件をさらに買うために、政策金融公庫さんからの借り入れもスタートしました。それに伴い、法人も作って運営しています。
細野:こういうビジネスは仕組みを作るところ、最初の一周が大変なんですよね。
篠原:まさにリフォームも、1棟目は手間もかかりましたが、だんだんどこを誰に頼めばいいか勘所がついてきました。多能工の職人さんに息子を紹介してもらってもらったり、いろんなツテから、職人の友達も増えました。どの部分のリフォームが一番大変そうかを見極めて、得意な職人さんをアサイン。それ以外は自分でやることで、購入から3週間ほどでリフォームできるようになりました。今は新規の物件を見に行くくらいで、手間もかなり抑えられています。
細野:今後の見通しは?
篠原:日本の木造住宅は築年数50~60年が限界と言われています。僕の所有する物件はどれも、持って後10年ほど。ただこれも、外壁の塗装や修繕によって延命できることがわかってきました。メンテナンスをし続けることで住宅の寿命を延ばす挑戦をし、一方で土地がまとまったエリアはグループホームなど、新しいものに生まれ変わらせたいと考えています。
細野:なるほど。何事も、やらないと見えてこないし、課題が出てきたらその時に解決すればいい。篠原くんの今日のお話は、僕が常々Fukusenで話しているお手本のような、最上級事例だと思いました。
普通はカッコよくリフォームして高く貸す。でも、広いところに住みたいシングルマザーの友達の話を聞いて、「カッコよくなくていい。快適に住めるレベルのリフォームをすればいい」。ここに着目した。業界の平凡発想ではなく、脱平凡発想でこのモデルを考えたというのが、このストーリーの全てと言っても過言ではないでしょう。業界の平凡発想を真似していては、普通にやっている企業には勝てない。だからスモールグッドビジネスを狙うときは脱平凡発想が必要です。篠原くんの事例はこの点が本当に素晴らしい。
今後も「ついに100棟行きました!」とか「グループホーム建ちました!」とか進捗があればまたここで話を聞かせてください。
手触り感のあるビジネスがしたい、副業で年商1000万稼ぎたい、ビジネスは最初の一回しが大変…その全てを、Fukusenがサポートします
2022年11月のFukusen LIVEの模様をダイジェスト版でお届けしました。実際のお話はもっと具体的で濃密。驚きと発見、学びがたくさんありました。このLIVEをご覧になりたい方は、30日無料のFukusenファームにご登録ください。
また、Fukusenファームでは篠原さんのように「手触り感のあるビジネスがしたい」「副業で年商1000万稼ぎたい」「ビジネスは最初の一回しが大変」…。こんな思いを抱えている方に向けて、スモールグッドビジネスの立ち上げサポートをしています。ビジネスの種を着想するための基礎講座や、立ち上げ期の迷いを壁打ちするビジネスデザイナーによるサポート体制も充実しています。興味のある方は是非、30日無料のFukusenファームにご登録ください。
(取材・文/藤井恵)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?