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サンゴ塾 春のフィールドワーク2023 徳之島&沖永良部島

今回の春のフィールドワークは「サンゴ礁の自然と人間の暮らし」をテーマに徳之島と沖永良部島のアイランドホッピングで行いました。徳之島では伊仙町を、沖永良部島では知名町をフィールドに研究を行いました。

今回はサンゴ塾生とその保護者の皆様、徳之島在住生に参加いただき、各地域のプロフェッショナルの方々にご協力のもと、五日間で約30名の皆様と一緒にフィールドワークを開催しました。成果発表会では、「子供チーム」と「保護者チーム」それぞれがフィールドワークでの不思議をまとめ、どちらも熱意のこもった発表となりました。

このnoteでは本フィールドワークに参加したメンター補によるレポートをお届けします。


サンゴ塾 春のフィールドワーク2023

サンゴ塾 春のフィールドワークとは

サンゴ塾は喜界島サンゴ礁科学研究所に付属する教育プログラムKIKAI Collegeの中で、小学生〜高校生を対象としたプログラムです。

 サンゴ礁が隆起してできた世界的にも希少な自然を持つ喜界島を拠点に、国内外のサンゴ礁研究者との連携を活用したレクチャーや実習を行い、次世代の地球環境リーダーの育成に取り組んでいます。本物の自然の中で、第一線で活躍する研究者と共に研究を実践し、自然の多様性や科学と社会のつながりを学び、感性とコミュニケーション能力を育成します。

 令和3年度から国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のジュニアドクター育成塾に採択されています。

 春のフィールドワークは、サンゴ塾のプログラムの一つです。サンゴ塾で身につけた思考力や問題解決力をもとに、巡検型のフィールドワークを実施し「新たな課題を発見する力」を育てます。

概要

日程:2023年3月26日(日)〜2023年3月30日(木) 4泊5日
巡検テーマ:「サンゴ礁の自然と人間の暮らし」
メンター:渡邊剛(サンゴ礁科学研究所/北海道大学)
     山崎敦子(サンゴ礁科学研究所/名古屋大学)
     駒越太郎 (喜界島サンゴ礁科学研究所)
メンター補:津田和忠(宮崎大学)
主催:NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所
後援:知名町教育委員会
協力(敬称略、順不同):伊仙町教育委員会、徳之島観光連盟、松岡由紀、松田りえ子、西村奈美子、常加奈子、林美樹、外山千草、大谷かなみ、後藤健太、松本康弘

メンター補自己紹介

津田和忠
宮崎大学農学部在学中
出身は大分県。高校2年の時に喜界島へ移住したのち、大学への進学のため宮崎へ。興味のある分野は生物学や地学など。アオサンゴから昔の環境を調べることができるかというテーマで研究を行っています。好きなサンゴはアオサンゴ。

世界自然遺産の島 徳之島

3月26日(集落散策、ビーチコーミング)

朝からやや小雨の降る天気でしたが、午前中には阿権集落という集落の散策を松田りえ子先生(奄美群島認定エコツアーガイド)とともに行いました。集落歩きでは石垣の説明から集落の神社、ガジュマル、住居などを見て回りました。石垣では参加者の皆さんが色々な生き物や化石などを発見して『まさか石垣にこんなに時間を使うのか!』と思うほどで、非常に嬉しく思いました。その他さまざまな植物や昆虫などを観察しました。

▲阿権集落の石垣
▲阿権集落にある邸宅。木に注目です!

午後は喜念浜でビーチコーミングを行いました。天気を心配していましたが雨も降らず、暑すぎもせず活動しやすい時間となりました。ビーチコーミングでは西村奈美子先生(阿権浜自然館 館長)に案内をしていただきました。磯ではクモヒトデやナマコなどを見ることができました。ハマサンゴの上部が干潮時に水面上に出ることによって生じる『マイクロアトール』も観察することができ、最後に浜から戻る際には闘牛に参加する牛の散歩に出会うことができました。

▲喜念浜で磯を散策中

3月27日(ギナヤマの森、ミヤトーバルの散策、中間成果発表会)

27日の天気は晴れ!午前中には常加奈子先生(伊仙町町史編纂室)・林美樹先生(ニライカナイ農園)の案内のもとギナヤマの森を散策しました。少し森へ入ると風で葉が揺れる音、鳥の鳴き声、小川を流れる水の音に囲まれ雰囲気が一気に変わりました。森の中には鍾乳洞なども見ることができました。普段とは全く異なる植生の森の中を案内していただきながら歩くという体験は貴重なものではないかと思います。また、サンゴ塾生の参加者の子の方が詳しいことは塾生に教えてもらうなど運営側の私としても勉強になる体験でした。

▲森に入る前にこの地域の説明をしていただきました
▲ギナヤマの森の中


午後からは海岸沿いへ向かいミヤトーバルの塩田跡を訪れました。サンゴ礁を平らにして海水を撒くことで塩田として用いられていたようです。

▲ミヤトーバルの塩田跡


塩田から伊仙町へ戻ってくると“ほーらい館”にて沖永良部島で学んだことを発表しました。沖永良部島では二日間の調査でした。沖永良部島で見たこと・学んだことを上手にまとめて素晴らしい発表だったと思います!!

▲徳之島での中間発表

フェリーで特別講義!

翌日3月28日は、徳之島から沖永良部島へフェリーに乗って移動しました。
徳之島から沖永良部島への移動はフェリーで,船の上から徳之島・沖永良部島の地形をみながら駒越先生が解説を行いました。海の上から見る島の様子は陸地に立っている時とは少し違って見えます…。
参加していただいた皆さんも質問したり、数時間の船旅を楽しんだりと良い時間になったのではないでしょうか。

▲喜念浜の沖。フェリーから見学
▲沖永良部の沖での駒越先生のレクチャー

隆起サンゴ礁の島 沖永良部島

3月28日(笠石海浜公園)

和泊港に入港し下船したら笠石海浜公園へ向かいました。沖永良部島はユリの花が有名で、まだ咲いてはいませんでしたが蕾のユリが町中に植えられていてあと何日かで咲き始めるようでした。

▲笠石海浜公園の様子
▲笠石海浜公園でのビーチコーミング


海岸にはきれいなハマサンゴのマイクロアトールやコカメノコキクメイシも観察することもできました!

▲海の様子。白波が見えます!
▲笠石で見つけたハマサンゴ

3月29日(地下ダム、昇竜洞の見学)

沖永良部島は喜界島と同様、隆起サンゴ礁からなる島です。沖永良部島にも地下ダムが存在しており琉球石灰岩の中にある隙間に地下水を貯蔵しています。

▲ボーリングコアを見せていただきました


地下ダムに貯めている水を集めるための井戸である“集水井”を松本康弘さん(農林水産省)の案内で見学しました。螺旋階段を下りて水面へ向かいました。

▲地下ダムの取水井の写真


揚水機場は集水井からくみ上げた水を貯めて、高台にある大きな水槽へ水を押し上げるための設備とのこと。ポンプは二台ありとても大きな機械でした。帰る直前にポンプが動きだし、とても大きな音がなっていました。この音を聞けたのはラッキーでした。

▲水をくみ上げるためのポンプ
▲ポンプ室の壁に絵を描かせていただきました


11時過ぎからは昇竜洞という鍾乳洞へ向かいました。昇竜洞ではリムストーンやカーテン、石筍など美しい鍾乳石を見ることができました。一部鍾乳石がキラキラ光を反射しているものもあり、見ていて興味深いものでした。

▲鍾乳洞の様子①
▲鍾乳洞の様子②


沖永良部島のいくつかの地域では暗川(くらごう)と呼ばれる地下河川が流れており、これは石灰岩と基盤の間にできた石灰岩洞窟に水がたまることによってできています。この暗川は古くから生活用水として用いられてきたとのことでした。

▲暗川の水を採水


3月30日(成果発表会)

5日間の徳之島・沖永良部島フィールドワークの最終日。このフィールドワークで学んだことをスライドにまとめプレゼンテーションの準備をしました。
お昼ごはんを食べたら発表会!参加者の皆さんの発表はとても上手で大学生の私も見習わないといけないかもしれません…。
最後には今回のフィールドワークを修了した証として認定式も執り行いました!

▲今回のフィールドワークの成果発表会


発表の後、飛行機に乗って帰る前にフーチャと呼ばれる海食洞を訪れました。帰る直前でギリギリでしたが海とサンゴ礁からできた興味深い地形を見ることができ良かったと思います。

▲沖永良部島に見られる海食洞「フーチャ」


今回参加してくださった皆様、ガイドして頂いた皆様。私自身皆さんから学ぶことが多くとても充実した5日間になりました。ご参加いただき大変ありがとうございました。

文責:津田和忠

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このコースでは、サンゴ礁をフィールドとして一線で活躍する研究者の博士たちから、講義「レクチャー」を毎月実施しています。研究者たちのさまざまな分野の視点を通して、分野横断的な思考力を身につける経験を積んでいきます。

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