機械制御システム学科 卒業生インタビューvol.5
2021年3月に本学科を卒業した遠藤君にインタビューをしてみました!
―芝浦工業大学に進学した理由について教えてください.
正直あまりいい理由ではないのですが、他の志望校に落ちてしまったので芝浦に入学しました。もともと、パソコンがなぜ動くのか、ネットワークとは一体何なのかということを不思議に思っていました。ただ、高校時代にプログラミングなどは未経験で、漠然とやってみたいと思っていました。パソコンの仕組みやプログラムについて学びたいと感じ、機械や情報工学系に興味を持ちました。特に情報工学の方への興味が強かったので、芝浦も併願で情報工学系の学科を受けていましたが、そっちがダメで機械制御システム学科に入った形です。
―大学生活の中で特に印象的なことはありますか?
製図の授業を通して、ものをつくることの大変さを実感したことが一番印象的です。ものをつくるためには、ここまで考えて設計する必要があるのかと、その大変さを感じました。また、機械はいろいろな要素を含みます。先ほど言った設計や、動かすための電気回路やプログラミングも学ぶ必要があり、機械と一口に言っても多くの分野について学ばなくてはいけません。工学系は大学院に行くことが普通とよく言われますが、これほど学ぶことがあると確かに4年間では足りないなと思いました。こういった考えや、将来的に設計や開発に関わりたいという考えがあり、僕は大学院に進学することを決めました。
―卒業研究のテーマについて教えてください。
研究テーマの名前は「テンプレートマッチングを用いた移動物体検知手法の提案」です。現在、視覚障がい者の歩行補助器具として、カメラデバイスと機械学習やオプティカルフローを利用したものが行われています。これは静止物体の検知はできるのですが、移動物体を検知することは非常に難しいです。そこで、障がい者が身につけられるほど小型かつ軽量デバイスで、移動物体を検知することが僕の研究テーマです。障がい者の歩行補助のためには、移動しているカメラから移動している物体を検知する必要があります。そのため、物体が動いているのか、カメラが動いているだけなのかを判断することが難しいです。動いているカメラから動いている物体を検知する、ということが僕の研究の肝ですね。
―最終的には情報系に戻ってきましたね。
そうですね(笑)。実は、大学に入ってからプログラミングは自分には合わないなと実感していました。C言語の授業なども出来なくて、面白くなかったです。あの時は情報工学系の学科に入らなくて本当によかったなと思いました(笑)。ですが、研究テーマを決めるときに、それでも設計よりもプログラミングやソフトウェアをやりたいなと思い、指導教員の田中先生にもいろいろ相談しながらこのテーマに決めました。
―でははじめのころはかなりつらかったのではないですか?
そうですね、本当に大変でした。この研究はプログラミング言語としてPythonを使うのですが、Pythonを使うための環境構築が全く分からず、インターネットで調べながら進めていました。まずPythonがきちんと動作するようにすることが大変でした。自分の研究テーマは新規のものだったので、教えてくれる先輩がおらず一からから自分で調べる必要がありました。研究を通して1番大変だったのはこの環境構築だったかもしれません。一回はあきらめかけるほどでした(笑)。最終的には卒論発表までたどり着けて本当に良かったです。
実は、僕の研究って1回失敗しているんですよね。12月の中旬ごろにプログラムが完成して実験をしたのですが、これが失敗してしまいました。しかし、これまでいろいろ調べていく中で、テンプレートマッチングという方法を知り、これを使えばうまくいくのではないかと思い、田中先生にこの方法でやらせてほしいと頼んでプログラムを書き直しました。リスクがあるので失敗したその考察を書いてもよかったのですが、どうしてもやりたくて。早い人であれば論文を書き始めるような時期にプログラムを書き換えて実験をし、結果うまくいきました。実は結構ドラマがあります(笑)。
―大学院でも同じ研究を進める予定ですか?
そのつもりです。視覚障がい者の方のための物体検知の研究をすると思います。
僕は推薦で大学院進学が決まったので、5月くらいには院進学が決まっていました。ですが、丁度このころ環境構築がうまくいっていないときで、卒業研究もうまくいくのか分からない状況でした。大学院に行ってもこんなに大変なことを2年間もやらなくてはいけないのかと少し後悔をしていました。しかし、12月くらいになって僕が今プログラミングで何をやっているのかがようやく分かりました。このときはすごく楽しくて、大学院への進学を決めて良かったと思えました。
―卒業後にやりたいことはありますか?
具体的にどの業界に行きたいとかはないのですが、今研究が本当に楽しくて希望が当初の設計開発から変わってきて研究職も考えています。まだ何の研究をするかは考えてないので、これから考えていきたいです。
―受験生にメッセージをお願いします。
いい意味で人生は何が起こるか分からないです。大学に入る前に将来何がやりたいか考えることはもちろん大切ですが、やはり大学に入らないと分からないことは多いです。よく、大学は通過点でしかないという言葉はある意味本当に正しくて、大学に入ってからのほうが人生は楽しいと思います。受験は本当につらくて、人生で初めての大きな試練だと思います。受験がどのような結果であれ、大学に入ればそれから絶対に楽しいことがあります。僕は、特に友人関係が楽しくて、大学での生活が本当に楽しかったです。飲み会へ行ったり、旅行へ行ったりと。だから、ほどほどに自分に厳しく、大学に入ってからのことも楽しみに頑張ってほしいです。