誰も見てない
誰も見ていないのに肝心な時だけは見られている
あっ
まつ毛が抜け落ちて
肝心な時を見ていなかった
まつ毛は悲しくなった
まつ毛生の集大成
黒目下の斜め四十五度
そこを狙ってダイブした
どうにか少し引っかかり
6秒後に事の根源へと落下した
悲しくなっていたのはその落下中
最早まつ毛はまつ毛を終え
何も思うことは無い
そのように皆大抵の事は見ていない
それなのに
見られたくないことを見られていた
見ていた奴を呪ってやろうか
その前に
見られていた奴はまつ毛に呪われていた
歩け歩けど想いが溢れ
想い探れどあぶれた想い
呪われていた奴の呪いは跳ね返る
しかしそこはまつ毛一本
渾身の呪いはまゆ毛一本抜かして砕け散る
とは言え見ていた奴は
呪われずに助かったのでありました