辻野葵果

辻野葵果と書いてつじのきかです。名前を変えました。毎日投稿中です。短歌の他には、音楽とゲーム、占いと文房具が好きです。

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連作 春生まれではない(四十首)

まなうらの息のできなさ 恋と愛 悲鳴のようにネイルがずれる ままごとのよう心臓に感情を覚えさせたくなかった夜明け 中指のブラックリングが揺らいでる海の深さで窒息をする 隣室の住人みたいに遠ざかる星 なにひとつ手に入れられない 深々と抱きしめられる 黎明のような毛先でわらってくれるな 君という感情 春の階段を上がった先に靡かない骨 直立のうつくしいひと 頑なな鎧のようで最初の萌芽 落涙の跡をぬぐっていくような低い声から生まれる酸素 リネンでも拭き取れなかった横顔の君をあらわす数

    • 連作 いつものわたし

      第三者の目から見てみたい月光を受けてきらめくココアの空き缶 果物の傷みやすさをもったまま誰にもやさしくなれない夜長 夜闇で水に戻っていく氷 ゆっくりいつものわたしにもどす

      • 連作 狼少年になった+

        水曜のどうでもよくない溜息を愛想笑いでひとつ飲み込む 何度目のくるしい 狼少年になったみたいに心で溺れる わたしには無理でした。で終えたくて期待しないで玄関を出る ひとつダメになると、階段から転げ落ちるみたいにダメが続きますね。 前々から気になっていたことが年末だからと一気に姿を現して、こっちは一人パーティーなのに、向こうは本気の六人パーティーで戦いを挑もうとしている感じです。年末って問題が顔を出してくる季節なんですかね。ここで問題を解決しないと、年始を迎えられないぞみ

        • 連作 街路樹を見ずに

          街路樹を見ずに歩いた十分で気になったことを忘れたい月 パーキングエリアはずっと遠いまま ひとつひとつを治していくしか わたしには進化の石も使えない地道なレベル上げの街道

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        連作 春生まれではない(四十首)

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        • 自己紹介
          4本
        • 三首以上の連作短歌
          2本
        • 365短歌(2022)
          358本
        • 365短歌(2021)
          47本

        記事

          連作 自分

          いつだって自分ばかりのつぶやきに紛れて消える夜の白波 出汁を吸い膨らみ続けたはんぺんのような自分という紙風船 変わりたい 呪いにも似たわたしから生まれるかなしみしかないシチュー

          連作 自分

          連作 秋の日にクッション

          うれしさが続かない夜にちょっといいりんごのケーキを食べるしずけさ 感情を乱したい この秋の日にクッションを抱くようなインストで 取説を探すみたいにぐるぐると回してみている自分の心

          連作 秋の日にクッション

          連作 恋とこいねがう

          もしきみに逢うなら築きかけていたつみきの城を蹴り壊すだろう 均等な苦しみだろうか 色づいた世界を恋とこいねがうこと おずおずとリボン結びを解く なにもきみには何も与えられない

          連作 恋とこいねがう

          連作 椿が落ちても

          閉め切ったガレージみたいな心では自分の涙が最後の海だ しめやかに涙から雨へ変わるのをいじめの当事者みたいに見ていた 祈りでも(言ってはいけない)四文字の(言ってはいけない)椿が落ちても

          連作 椿が落ちても

          連作 ただしく息をしなくては

          まなぶたが渦巻くような眠気には抗えないほどやさしい嘘を ひとよりもただしく息をしなくては、嫌いな人からもらった食パン 矯正のとげを自分に刺しながらわたしはあなたに笑ってほしい

          連作 ただしく息をしなくては

          連作 誰もいない惑星

          半分で生きていこうかパトラッシュしずかなまぶたを閉じてゆくまで いつだってわたしひとりが悪くって回る家庭で余所者みたい ほんとうはカウンセラーだけ知っているわたしは誰もいない惑星

          連作 誰もいない惑星

          体調不良のため、今日の連作短歌をお休みします。実は、毎日投稿している短歌は書き溜めたものではなく、毎夜詠んでから投稿しています。書き溜めた方が楽なのは分かっているんですが、その日に感じたことを短歌にしたいのでそうしています。ということで今日は早めに寝ます。おやすみなさい。

          体調不良のため、今日の連作短歌をお休みします。実は、毎日投稿している短歌は書き溜めたものではなく、毎夜詠んでから投稿しています。書き溜めた方が楽なのは分かっているんですが、その日に感じたことを短歌にしたいのでそうしています。ということで今日は早めに寝ます。おやすみなさい。

          連作 数週間書いてない

          言い訳をするなよ日記は数週間書いてないから生えてくる苔 もうだれも聞いてなくても止まらない式典みたいに言葉を吐き出す 他意はないから忘れてね、回想で出てくる幻覚みたいな光景

          連作 数週間書いてない

          連作 フラワーロック+

          感情のあまり動かない家にいて紅葉を見ても退屈している きれいだと分かっていても思わない口先だけのフラワーロック どの曲も平均の好き 霧雨に濡れても海に濡れたとしても 時々鬱っぽいときは何を聴いても三~四十点の好きになることはあります。今日の連作の三首目みたいに。そういうときに新曲を聴くと、プレイリストに入れるべきなのかをとても悩みます。全部別日に聴きなおしますが。感情が低めの位置で均一化されるというか、そんな感じです。 今まで誰にも言ったことはなかったんですが、短歌を詠

          連作 フラワーロック+

          連作 解体工事

          初冬とおもえる絵だった隣では解体工事が進むさびしく 心だけログアウトしている部屋の虚構の一方通行の恋 音飛びを繰りかえすように寒暖差 隣の工事は止まったままだ

          連作 解体工事

          連作 インザフラワーガーデン

          失望は『し』からはじまるあかるさで高速道路を歩きたい夜 どこにもない 今は自分の未熟さをただ恥じるインザフラワーガーデン そのドアを開けてくれますか、雑談の芽もない業務用のありがとう

          連作 インザフラワーガーデン

          連作 夜の自己防衛

          ウキみたく浮いてばかりの生活でわたしはわたしの裁判長だ たよりない人間性で見る夜の自己防衛のできなさをわらう 口角を上げても自省はおわらない歌が詠めるまでご飯は食べない

          連作 夜の自己防衛