痩せろブス

大金持ちの家に生まれて貧乏人に嫌われた

綺麗な男の人に生まれたぼくは醜女に嫌われた

賢く格式ある大学に入ってバカに嫌われた

港区のど真ん中 故郷
田舎者から嫌われた

君は貧乏人で醜女で、教養のない田舎者

君は貧乏人で醜女で、教養のない田舎者
ああ！
ぼくの持つものが全て、なにか役立てば良いのにな

ぼくの欲しいもの、君と
君の欲しいもの、それ

細っそり最低限の筋肉で太った人から嫌われた

さらさらストレートの黒い髪でくせ毛薄毛に嫌われた

若く瑞々しいから老いさらばえた人に嫌われた

ははは！

ぼくの長い睫毛、大きな黒目
すうっと通ったきめ細かい鼻
咲くように華やかな白い肌

ぼくは陶器でできた、ブルベ春の王子様

君は太ってボサボサの髪も少ないオバさんだよね

流石に
自覚はあるみたいだけど？

大きな会社で専門職で、派遣女に嫌われた

風邪もひかない丈夫な体で、障害持ちに嫌われた

人が途切れずぼくを囲んで、孤独な人から嫌われた

Instagram更新するたび、センス無い人に嫌われた

君は病気でクビになったし、LINEも鳴らない惨めな女
センスも才能も魅力もなく、面白いことも言えない女

身の程ってものを知ってるから、意識せずとも自然とわきまえてるから、ダサい男と連れ立って歩く

きっとその男は君を嫌な気持ちにしたり、イライラさせたり、不幸にしたりしないんだろうね

ぼくが居るよりずっと、心安らかな存在なんだろ

ぼくが欲しいもの、君
ぼくの持ってるもの、全部
君が欲しいもの、どれ

どれ

君の嫌いという気持ちが、全てひっくり返ればいいのに

いや、ぼくの好きという気持ちを、君と交換できればいいのか

そうすれば君はぼくを追いかけ、不釣り合いなくせに図々しく、卑屈に

ぼくは君に優しくするよ

「ああ、君、居たの！気づかなかった」