
育休中の友達がマウント星人に成り果てていた話
「なあんだ、星野リゾートとか泊まってるんだね。いつも喫茶店の写真ばっかインスタに載せてるから、お金ないのかと思った」
明るい笑顔で、正面に座る女友達に言われた。
それを聞いて私は思わず、飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。
その日は、育休中の同い年の女友達(以降Aとする)の家に遊びに来ている日だった。
Aの赤ちゃんと遊んだり、手土産を渡したり、お茶を飲んだりしながら最近楽しかったことやハマっていること、オススメ情報の共有など、ごく普通の雑談に花を咲かせていた最中に、冒頭の発言がぶっこまれた。
まさか自分がインスタに載せている写真のモチーフの単価で懐事情を邪推されていたとは思わなかった(そんな視座すら自分は持っていなかった)し、何より、私が知っているAはそんなことをズケズケと言うような人ではなかったので異変を感じ、ギョッとしたのを覚えている。
その視点で思い返すと、確かにAはいつもインスタのストーリーズで客室露天風呂付きの温泉旅館に泊まったり、シーズン最中の京都に紅葉を見に行っていたりする内容の投稿をしていた。あれは金持ちアピールのつもりということだったのか…?それにしても行き先は大抵伊豆や逗子などAの家から行きやすい関東の近場で(伊豆がめちゃくちゃ多い)、五つ星ホテルではない近場のレストランや温泉宿だったので、車で子連れで楽しくお出かけしたんだな☺️という単なる近況報告の印象を自分は持っていたのだが、確かに「客室露天風呂付きはマスト」と、わざわざストーリーズにテキストで強調して動画を投稿していたこともあった。そしてその投稿は、私が客室露天風呂がない大浴場スタイルのホテルをインスタのフィードに投稿をした直後のタイミングだった。
…あれは私へのマウンティングだったのか。
私は自分が仲良くなるタイプの人にマウント取るタイプの人がおらず、Aも元々そういうタイプではなく、尚且つ共通の趣味や似ているところなどがあって分かり合える部分があったので仲良くなったのだが、産休育休を経てAはハイブランドのアイテムで身を固め、インスタで自慢(当時私は気づかなかったが)を繰り返し、会うといつも気が滅入った様子で全く幸せそうではなく情緒不安定で、なんだかすっかり自信をなくしてしまっていたようだった。
自分軸でそれなりに自信を持って生きていれば、マウントなんで取らないし自慢もしないはず。
Aは他人軸の価値観や生き方のまま、初めて育休中にマジョリティと違う境遇を経験して、すっかり情緒不安定になっているようだった。
Aは浪人や休職や転職経験がなく、無職状態を味わったことなどもなくまっすぐに人生を歩んできているので(それ自体は素晴らしいことなのだけど…)育児のための真っ当な休暇制度の育休中なのに、仕事をしていない状態に耐えられなかったのかもしれない。
産休育休中に周りから置いて行かれてる気がする、休暇後復帰できるか不安と半泣きの顔で私に言う時もあった。
会うたびに今にも泣き出しそうな半泣きで泣きついてくるか、冒頭のように笑顔でマウンティングしてくるか、情緒がその2択だった。
今回は鬱、その次は躁、みたいな感じ。
側から見ていて明らかにメンタルをやられていて、産後ノイローゼのように見えたので、おすすめの漢方薬や婦人科の薬の情報を共有していたが、マミーブレインで毎度忘れてしまうらしく、毎回薬の名称を聞かれた。
他にもAからは、Aの育休中に書ききれないほどこれまでのAからは想像もつかなかったような、色々な不躾なギョッとする言動をされた。
流石に普通ではない、ちょっとこれはどうしよう、こっちも疲れてきたぞ、、と思い、私は最後に会った後から自分から連絡するのは控え、距離を置いていたら、1ヶ月ほどでAからインスタをブロ解された。
ただ、Aは私のインスタの投稿ほぼ全てにいいねを毎回押していて、それを取り消さずにそのままブロ解していったので(調子が悪い時に衝動的に行ったのかもしれないし、こちらを理想化して大好きモードor一つでも気に入らないと全否定のゼロヒャク白黒思考の持ち主なのかもしれない)、いいね履歴からいつでも簡単に相手のアカウントを辿れてしまう。定期的に見るたびにAのアイコンとアカウント名が変わっていて、今も変わらず情緒不安定な様子が伺えた。郊外に暮らしているのに高層ビルから夜景を見下ろす写真のアイコンになっていたりして、頭を抱えてしまう。そんな虚勢を張らなくても、あなたの価値は損なわれないのに。寧ろ同世代より先に結婚して家も車もあって子供にも恵まれて幸せじゃないか…なぜそう思えないのだろう。
きっと他人軸のAにとっては、常に周りと同じであることが本来幸せなのだろう。周りと同じタイミングで同じことをする。マジョリティでいることが安心なのだろうし、幸せなのだろうなと感じた。かなり歳上の旦那と結婚した関係で同世代より早くライフステージに変化をもたらすことになったようだが、それも自身の選択なので人に当たらず攻撃せず、自分で自分の決めた行動の責任を取って欲しかったなと残念に思う。
女友達はライフステージの変化で疎遠になるというが、それを初めて経験した実例だった。確かに他人軸の人はライフステージの変化に耐えられない局面が出てくるのかもしれないな。
自分軸が確立されてる精神的に自立した人とは変わらずずっと友達でいられているし、寧ろ年々そうした友達が増えている身としては、考えさせられるかなりショッキングな出来事だった。
いいなと思ったら応援しよう!
