珈琲とナポリタンのお店。2杯目

いらっしゃい。

珍しいね。稽古の後に来るなんて。
今日は飲みに行かないのかい?

…まあ、お酒を飲んで、
仲間と語り合うのも必要なことだけど、
それと同じくらい、時には1人で、
温かいモノでも飲みながら
自分と語り合うのも、必要なことだ。

どうぞ、カフェオレ。
ミルクを多めに入れたから
苦くないと思うよ。

...もう歳なんだから
夢ばっかり見てちゃいけない、か。。
若い子にそれを言われると
堪えちゃうね。

...それで、夢を追いかけ続けるのが怖くなった。

もし、その夢を綺麗さっぱり忘れる事が
出来たら、キミはどうする?

どこかの会社に就職して、
楽しい人生を過ごせそうかい?

それとも何か物足りなくて、
新しく夢を探すのかな?

悩みっていうのは、
独りで生きてたら生まれない。
自分の気持ちと誰かの気持ちを
比べなきゃ。

もちろん、誰かの気持ちを優先させる事も
時にはあるだろう。
でもそれは、相手を大切にしたいっていう、
自分の気持ちがあるから。

キミが大切にしたいのは、何かな。

ソレを無くさない為に、
時間を掛けてでも考えてみるといい。

いくら歳を取ったとしても、
キミが死ぬまでキミの時間だ。

ナポリタンしかないけど、
良かったらご馳走するよ。


#短編 #小説

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