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メディアの筆記試験の話


 昨日投稿した「インターン選考」はさておき、新聞社の採用試験には原則として筆記試験がある。社によって出題数や問題形式に違いはあるものの、時事問題+作文である場合が多い。毎日新聞社と下野新聞社(栃木県)はニュース時事能力検定2級以上を持つ受験生について、筆記試験における時事問題を免除する優遇措置をとっている。スポーツニッポン新聞社も同検定2級以上で筆記試験を加点している。

 また、一部地方紙ではSPI試験のみとする社も。ただSPIのみの社もエントリーシート(ES)に求められる文章量が多い傾向があり、いずれにせよ最低限度の文章力が求められる。今回は記憶でたどれる限り、どのような試験内容かを記していきたい。筆記試験対策にも触れようと思う。
 
 筆記試験は60~90分で実施される。時事問題では試験当日までおよそ1年以内に起きた出来事を問われる。かつては玄人にしか分からないような難解な問題が出題されていたようだが、昨今は全国紙を1部購読していれば解けるような難易度に設定されているようだ。問題を考えているのは各社のデスク級以上の社員とみられる。ほとんどが選択式で、記述式の問題は両手で数えられる程度。私が就活生の時は「GAFAとまとめられる4つの巨大企業を述べよ」とか「中朝国境を流れる川を以下の選択肢から選べ」といった問題があった。
 
 気をつけたいのは地方紙の試験である。全国紙には載っていないニュースから出題される。北陸地方のある地方紙では「昨年新発売された県産米の品種名は」という問題があった。地方紙の経済面を毎日チェックしていないと分からない。また、東北地方の地方紙では「東京電力福島第一原発事故によって帰還困難区域に指定されている市町村名を述べよ」という問題が。報道で名前だけ知っていても漢字が出てこない、という場合もある。
 
 時事問題のほかに漢字の読み書きを問う社もある。例えば近畿地方のある地方紙で出たのは「科白」。恥ずかしながら当時の私は空欄で提出すまいと苦し紛れに「かはく」と書いた。当然、不正解であった。某通信社では「菅義偉」が出た。当時「令和おじさん」とばかり呼ばれていたので、記念受験者対策として出題したのだろうか…。変わり種では近畿地方の地方紙で難読地名が出題された(例:「信楽」など)。最初から「漢字は捨てて時事問題に力を注ぐ」と宣言していた同期がいた。ただ先達の記者から「漢字問題の1点で泣きを見るやつもいるぞ」と教えられた。作文ができれば時事問題はどうでもいい、と割り切る者もいた。あながち間違ってはいないかもしれない。が、あまりに時事問題が解けていない場合は「常識が無い」と判断され面接も受けられずに落ちる場合がある。
 
 時事問題の対策に奇策はない。毎日欠かさずニュースを読んで聞くこと。気になった新聞記事はスクラップ帳に貼っておくことだろうか。最近ならスクショで保存して読み返すこともできる。定番は「新聞ダイジェスト」を定期購読することだ。一時期休刊になってしまったが、復刊を果たした同誌はまさに就活生の味方である。主要紙の読み比べや時事問題練習が1冊でできる。マスコミ就活経験者の記憶の中には必ずどこかに新聞ダイジェストが出てくるはず。それくらい必読書だと勝手に思っている。
 
 私は全国紙の試験はスクショと新聞ダイジェストで対策した。地方紙に関しては図書館や各社の東京支社で地方紙を手に入れ気になるニュースをノートに書き留めた。既に、その頃のノートはどこかに散逸したが。
 
 作文試験の対策については改めて別のnoteに記していきたい。

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