メディアの「インターン選考」の話


 23年入社世代のマスコミ就活は早くも中盤に差し掛かっているらしい。興味本位で読売新聞の採用ページを覗くと、8月から既にインターンシップを開催していたようだ。在京キー局など一部の全国メディアでは内々定を出しているところもあるとか。勝負は大学3年次から始まっているのだ。 

 ▲2019年5月1日時点の大卒内定率を報じる共同通信のニュース(当時撮影したもの)

 往々にしてメディアの「青田買い」は比較的早い傾向にある。令和入社世代の筆者の時もそうだった。ざっくり言うとマスコミ就活のスケジュールは以下の具合である。新型コロナウイルス禍でイレギュラーな採用日程になりつつあるが、順番としては変わっていないはず。 

①在京キー局のアナウンサー職採用(入社2年前の夏)
②全国紙、一部ブロック紙、NHK、通信社の早期採用(入社2年前の秋冬)
③全国紙、NHK、テレビ局、通信社の本採用(入社前年の1~3月ごろ)
④全国メディア2回目の採用、地方紙、ブロック紙の本採用(入社前年の4~7月ごろ)
⑤一部地方紙の秋採用、2回目の採用(入社前年の8~12月) 

 特殊なのは②の早期採用である。多くの場合、メディア側は「採用選考」と明言しない。あくまで「インターンシップ」と銘打っている。理由は定かではないが、堂々と青田買いをしている様が見られるとバツが悪いのかもしれない(ちなみに経団連が今年3月末に発表した「2022年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」では採用活動の日程について「広報活動開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」「採用選考活動開始は卒業・修了年度の6月1日以降」としている)。 

 しかし実態は「優秀な学生を採用するための早期選考」である。ある公共放送に入局した男性は「『面接の練習に来てほしい』と言われ放送局へ行くと役員から面接を受けた。後日採用担当者からの電話で『ここだけの話…』と言われ内々定を受けた」という。また、某ブロック紙では「インターンで内々定をもらったあと『念のため筆記試験の時は会場に来て他の就活生と一緒に試験を受けてほしい』」と言われていた。各社、優秀な学生の囲い込みに躍起になっている様子がうかがえる。

 こうした実情から私を含めた首都圏のマスコミ就活生たちは「インターン選考」と呼んでいた。同期の中には「複数社のインターン選考で内々定の一歩手前まで来たのに全て落ちてしまった」と嘆き、ショックで年明けの採用試験時まで引きずる者もいた。このように落ち込む学生は今後も出てくるかもしれないので老婆心で言うと、インターンで受かった学生が入社後に優秀な成績を残すわけではない。むしろ就活で艱難辛苦の果てに内定をつかみ取る学生の方がタフだと私は思う。そもそも「インターン選考」という枠を設けている時点で個人的には疑問を覚えるのだが…。 

 マスコミ就活界隈ではウワサも飛び交う。某社の面接でセクハラがあったとか、各社の採用担当が連絡を取り合って優秀な学生の情報交換をしているとか。出所不明の情報に惑わされる学生もいた。匿名の私が書いているnoteもまさに「出所不明」の域ではあるけれど。

 ただ、折を見て自らの就活から役立ちそうな情報をより抜いたり、就活生の悩みに応えたりしたい。

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