【後編】大江健三郎「セヴンティーン」太宰治「女生徒」 書評
太宰治をよんでいた時期は、ちょうど今から一年前のことだったことを覚えている。太宰治といえば、「人間失格」であり、「人間失格」といえば中高生がこのんで読んで、「人間失格」で読書を習慣的にするようになったというひともおおい。私もそうしたひとをおおくみてきた。
私はといえば、読書をはじめるきっかけはぜんぜん「人間失格」ではないし、もっと個人的なことをいえば「人間失格」なんておもしろくないと思っている。今から一年前、ひょんなことから太宰治を読むようになって、もちろん「人間失格」に手