生指の機能をもつ授業
タイトルにある「生指」。
「なまゆび」では、ありません。
「生徒指導」のことです。いきなりびっくりしないでくださいね。
秋が深まってゆくこの10月・11月は、若い先生方の授業づくりをサポートするための学校訪問が多くなってきます。
忙しい校務の中、自らの力量をアップするためにわざわざ臨んでいただく機会ですから、充実せねばなりません。
学校訪問の折には、子らへのまなざしの向け方、指導者としての言葉づかい、学習の場のつくり方、発問の是非など、さまざまな視点を持ってアドバイスにあたりますが、その中のひとつに「生徒指導の機能をもつ授業となっているか?」という視点があります。
この記事では、令和4年の12月に改訂された『生徒指導提要』にも示されている生徒指導の機能をもつ授業について記していきます。
この『生徒指導提要』とは、小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等についてまとめたものです。昨今の子らの現状をとらえて、つい先ごろ改訂されました。
その中には、実際の授業の中においても発揮すべき生徒指導の視点について、次のように記しています。
授業におけるすべての子らを対象とした発達支持的生徒指導とは、何か?
教科の指導と生徒指導を一体化させた授業とは何か?
なかなか難しいですね。
次の4つの点から確かめてみましょう。
(1) 自己存在感の感受を促進する授業
指導者が、子らそれぞれと向き合って、子ら一人ひとりが自分への自信をつけながら学び進めていく授業であるかということです。よく聞くようになった「個別最適な学び」というワードもこれをとらえています。「自分も一人の学習者として大切にされている」という自己存在感を感じられるような指導者の言葉がけも大切です。
(2) 共感的な人間関係を育成する授業
子らが互いに認め合い・励まし合 い・支え合える場面を授業の中に創出できているかということです。間違いやできないことがあっても、笑われないし、笑わない。そんな学習集団づくりです。これがベースとなって「対話的な学び」が成立します。もし、授業の中で子らに不適切な言動があった場合には、立ち止まって指導することも指導者の姿勢としてとても大切です。
(3) 自己決定の場を提供する授業
自分づくりの基本は、「自分のことは、自分で決める」です。まるで他人事のようなうつろな学習の場にしてはなりません。自分はどう考え、何を選択し、どうしたいのか。指導者が、そんな思考の場、試行錯誤の場を保障する授業にしているかということです。これは、「主体的な学び」につながる部分ですね。指導者によるファ シリテート力も必要です。
(4) 安全・安心な「居場所づくり」に配慮した授業
子らそれぞれの個性が尊重され、安全かつ安心して学習できるような「気」が教室に満ちている授業であるかということです。目には見えない「気」のことですから、指導者としての感性が問われます。指導者への信頼もこの「気」のひとつです。まずは、確かな学習規律を教室に根付かせることです。
私は、学校への訪問があるときには、若い先生方がこれら4つについても授業の中に息づかせようとしているかを見て取ろうとしています。
いっしょに勉強しましょう。