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非日常が日常にある街バンコク (タイ・ベトナムほぼ女ひとり旅行記vol.3〜バンコク2日目〜)

これはタイとベトナムを12日間弾丸ほぼ女ひとりで旅した記録です。


トゥクトゥクのパンさんに出会う

強烈な日差しがカーテンの隙間から見慣れないベッドに差し込むのを眺めながらバンコク2日目の朝が明けた。
カーテンをあけるとそこは馴染みのないバンコクの雑多な街並み。
旅に出ている実感は朝のこういうふとした瞬間に強く香ってくる。

観光地には興味があまりなく、
その街で暮らすように旅をするのが好きな私は、この日も予定を全く決めていなかった。
とりあえず、朝ごはん食べるか…。

昨日見かけた、ホテル近くの屋台の通りをふらつこうと外へ出てみる。
少し歩くと、トゥクトゥクがいくつか止まっているトゥクトゥクの基地(といっても普通の家)から、ひとりのおじさんが近づいてくる。

「おはよう!朝ごはん食べに行くの?
トゥクトゥクで連れて行ってあげるよ!」

日本だったら絶対に危ないやつ。絶対行かない。
けれど、ここはタイ。
そしておじさんから危ないにおいは全くしない。
人の良さそうな笑顔に思わず、
「いいの?ありがとう!いくらぐらい?」
と返事をする。
しまった…。
トゥクトゥクは観光客価格で高く設定される(観光地付近だとたいてい最初は200BH=800円とか言われる)んだ…、と後悔していると、
「10BHでどう?」

……10BH(40円)!?

安い
是非に、と飛び乗り連れて行かれた先は川沿いのおしゃれなレストラン。
10BH硬貨の他に5BH(20円)の硬貨があったのでお気持ち程度で付けて渡すと、わたしの手を両手で包みこみ破顔笑顔の大喜びで受け取ってくれた。
(今考えると5BHなんてタイ人でさえほんの少しの金額だろうに…。もっとチップとして気持ちを渡してば良かったと後悔している。)
また来るね〜と言って嵐のように去っていったおじさん。
ひとり取り残された私は、とりあえずそのお店のメニューをながめる。

読めない…。
タイ語で書かれたメニューは全く読めないけれど、
カレーっぽいスープっぽいものが食べたいなあと写真を見てなんとなくでオーダー。

これがなんとも美味しい。

未だに名前の分からぬとにかくうまいスープ

にんじんやじゃがいも、たまねぎのごろっとした野菜たちと、えびが入っている。
ひと口すすって、見た目からは想像できぬその飲みやすさに驚き、
さらに、ときおり口にはいる何かのスパイスをかしゅっと噛むごとに爽やかな香りが広がる。それがまたほの辛いスープによく合う。

良い朝ごはんだったなあ、と店を出ると、
素晴らしいタイミングでトゥクトゥクおじさん登場。
次はどこ行く?と人懐こい笑顔を向けられ、
気になっていたバタフライピーラテの飲めるカフェを伝えると、
「そこは遠いから知り合いのバイク野郎を紹介するからとりあえず乗って!」と。
(タイではバイクもタクシーのように使われています)

楽しくて風が気持ちの良いトゥクトゥク

道すがら色々お話しして、おじさんは″パンさん″というらしい。
私よりも格段に英語が話せて、
私が「何言ってるかわからな〜い」と言うと
その度にまあいいやと大笑いしてくれた。

バイク野郎の元に到着するも、スコールに見舞われる。
パンさん、トゥクトゥクの中で待っててね、と。
明日は何するのか聞かれて、なんとなくアユタヤ遺跡に行きたいと思ってることを伝えると、
知り合いのアユタヤに詳しいタクシーの運ちゃんを紹介してくれるとのこと。
しかも私の言い値(バンコク→おまけでつけてくれた水上マーケット→アユタヤ遺跡巡り→バンコク のドアtoドアで1500BH6000円くらい)で交渉してくれた。
よし、これで明日の予定が決まったぞ。

そんなこんなで待てど暮らせど雨はやまない。
友人から連絡が来る。
昨日なんとなく行ってみようかと話していた、
とてつもなく美味しいと評判のピンクのカオマンガイ屋さんに行こう!、と。
パンさんに、「友人と落ち合うので…」と謝ると、
雨だし仕方ないね〜と快く受け入れてくれた。
お代を渡そうとしても、
明日のタクシー代もあるからいいよ!とついに受け取らなかった。
明日朝8:45に私の泊まっているホテルの入り口で落ち合おう、と約束をしてパンさんとさよならをした。


水上ボートに乗ってワット・ポーへ

お昼近くに、友人と落ち合う。
とてつもなく美味しいと評判のピンクのカオマンガイ屋さんは、
とてつもなく美味しいと評判ゆえに、
お昼の時間帯ジャストで行くと長蛇の列に巻き込まれるそう。
どうせならバンコクらしいところをぶらついてから時間をずらして行こうか、となった。

わたしが気になっていたバタフライピーを使ったラテが飲めるカフェの近くにどうやら有名な寺院があるみたい。
行ってみよう。

バンコクには交通手段として、grab(配車サービス)、鉄道(BTS,MRT)、路線バス、トゥクトゥク、水上バス(エクスプレス・ボート)などがある。
どうせなら面白い乗り物に乗りたい。
チャオプラヤー川を運行する水上バスは、川沿いの観光地を訪れるのに便利だそう。
ちょうど私たちが行きたい有名な寺院(ワット・ポー)も水上バスの駅の近くだった。
水上バスの駅っぽいところに到着し、そこにいたおばちゃんからチケットを買う。
ユニクロのショルダーバッグをさげた欧米の観光客たちとしばらく待っていると、足元の船着場が揺れ始め向こう側に船が見えてきた。
(ユニクロのショルダーバッグ、すれちがう旅行客ほとんどみんな使っていて驚き。もれなく私も使っていた。)

チャオプラヤー川を運行する水上バス

思ったより大きな船で安定した運行。
船尾に出ると水上をきる風が強く吹いていて、ぐっしょりと汗ばむ肌にとても気持ち良い。
乗り合わせた観光客と簡単な会話をしながら、
いくつかの停泊場を経由し、目的の駅に到着。
ワット・ポーから一番近い駅は現在工事中でその一個手前の駅で降りた。
歩いてワット・ポーまで。

さよなら煩悩こんにちは仏の美足裏(inワット・ポー)

タイの寺院では肩を出したタンクトップや丈の短いショートパンツなど、
肌の露出の多い服装はNG。
私も暑さのあまりタンクトップで入ってしまって「かた!」と日本語で注意された。
手持ちのシャツを羽織る。

日本庭園ならぬタイ庭園?
細かいタイルがいちめんに塗り固められた色鮮やかな塔

仏教ではあっても、日本とは全く違う雰囲気の寺院。
明るくてカラフルで、そこはかとなく陽気な空気が寺院からも漂ってくる。

建物いっぱいに寝ころがる涅槃仏

この仏像を見ながら進むと、
何やらみんな小銭をさらに細かい小銭に両替し、
壁沿いにずらっと並ぶ小鉢に順繰りに入れて行っている。
訳はわからないけれど、なんだかご利益ありそうだね、と私たちも小銭を手に入れていく。
後で調べてみるとその小鉢は全部で108個あって、
煩悩の数を意味しているのだそう。
その鉢へとコインを一枚ずつ入れていくことによって、煩悩を捨てることができる、らしい。
あの時感じていた開放感は旅の中にいる高揚か、
この煩悩さよなら鉢のおかげか、
はたまた気のせいか…。
108個の鉢に律儀にコインを入れ終わった達成感のまま進むと涅槃仏の足まできた。
仏は足の裏まで美しい。
貝殻みたいな輝きがある、と思ったらどうやら貝殻で描かれているらしい。なんて緻密。

涅槃仏の足の裏
108つの仏教の世界が描かれている

ブルーホエールカフェ〜青い飲み物が飲みたくて〜

寺院や観光にそれほど興味がない私たちは「暑すぎる…。」と、
早々にその場を後にしカフェへ。
ワット・ポーの近くにある「ブルーホエール カフェ」
バタフライピーを使ったラテを飲みながらひとやすみ。

パタフライピー(蝶豆)を使ったラテ

強烈な青にどんな味がするのだろうと期待していたけれど、
植物の素朴な香りがほのかにする気がするだけで、あとはほとんど牛乳といった感じ。
なるほど、見た目を楽しもう。

ブルーホエールカフェは3階くらいのお洒落なカフェ
ブルーホエールカフェのホエール


とてつもないカオマンガイ

良い感じに時間を潰せたので、いよいよ噂のピンクのカオマンガイ屋さんへ。
少し離れた場所にあるのでgrabでタクシーを呼んで乗り込む。
ああ、なんて快適…。
ピンクのカオマンガイ屋さんは
「ガイトーン・プラトゥーナム」といって、
ミシュランガイドにも選ばれたお店だそう。
いくつか店舗があるけれど、私たちは有名な本店へ。

到着したのは15時半過ぎだというのに、しっかり列ができている。
友人に連れられて来たものの「どうやら美味しいらしい」以外の予備知識がない私は、
店員さんたちがみんな着ているユニフォームを見て、なるほどそれでピンクのカオマンガイ屋さんだと知る。
みんなピンク。
そこに偶然か必然か、地元の体育祭の打ち上げらしきピンクのユニフォームを着た大勢の客が紛れ込み、そこはさらなるピンクでカオスに盛り上がっていた。

やっとのこと順番が回って来て席へ座る。
クーラーもない、通りに突き抜けた店内にテンションが上がる。
もちろん頼んだのはカオマンガイ。
それと苦瓜と豚肉のスープを。

はじめにスープが運ばれて来てさっそくひとくち。
う、うまい…!
ほろほろとほどけるよにやわらかなやさしい旨味の豚肉に
苦味のきいたとろりとした苦瓜があう。
これは、カオマンガイも期待できそう。

タレがまず到着し、おまちかねのカオマンガイが緑の簡素なプラスチック皿にのって運ばれて来た。

お待ちかねのカオマンガイ
ブラウンライスに帽子のようにチキンがのっている

これがミシュラン…。
カオマンガイ自体の見た目もなんて素朴。
訝しがる気持ちを胸の片隅に抱えながらも、
まずはお米を、と口へ運んだ私は次の瞬間天国にいた。
絶妙…!!
絶妙にやさしく鶏の出汁が染み込んだ、
絶妙なかたさのお米たちが、
ほろほろと口の中でほどけてゆく。
興奮で声も出せぬまま、
鶏肉をタレに漬け、絶妙ごはんにのせてぱくりともうひと口。
こんな美味しいものたべたことない…!
食べた瞬間私が思ったこと、だ。
驚くほどやわらかなほくほくの甘い鶏肉は、
ほどよい絶妙ライスによく合うし、
にんにくがピリッときいたタレがこれまたとんでもなく美味しく、
このめくるめく楽園をグンとひとつの料理として、締めてくれている。
すごいぞ、タイ。来てよかった…。
またこれを食べるためにタイに来たい。
そう思わせてくれたとてつもなく美味しい感動のカオマンガイでした。


この日はたくさん歩いてぐったりとしていたので一度ホテルに帰り、ひと眠り。
この日も全身タイ式マッサージ30分150BH(600円くらい)を受け、
夜のバンコクを散歩し、
昨日と同じ屋台でおいしいクイッティアオを食べ、
夢さえもみない深い幸せの眠りについた。

バンコクのあつい夜

タイ・ベトナムほぼ女ひとり旅行記、次回は🇹🇭バンコク3日目アユタヤ編!→













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