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ひまわりをあなたへ
果たされることのなかった約束。
いつまでも覚えている。未練がましい約束だ。あなたと約束してから、10年近く誰と付き合っても、その約束をした。あなたが見せてくれると言ったひまわり畑。
あれから13年も経ったというのに、未だに見ることが叶わない。
あなたを含め誰ひとりとして、わたしにひまわり畑を見せてはくれない。どこかで叶わないことを願っているような気さえしてしまうほどだ。
この約束という名の呪縛を残したあなたを恨めもせず、思い出として約束だけが残ってしまった。
あと何年すればわたしはそこへ辿り着けるのだろう。もしかしたら、最期まで、それは叶わないかもしれない。
ススキ野原へ消えていく、あなたの夢をみたことがあった。ファインダー越しにあなたをみた、あなたはそのままどこかへ消えてしまった。
どこまでも続くススキのその向こうには海があった。ススキを掻き分ける気力もなく、わたしはただ立ち尽くしていた。
あなたが消えてしまった事実を、ただ静かに確かめていた。