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まぶしすぎる部屋。
私の部屋の窓は西向きで、ベッドは窓際に置いてある。カーテンはしていない。するとどういうことが起きるかというと、朝の日の出とともに日光が差し込んでくるので、まだ目を覚ますべき時間ではないのに目が覚めることになる。
この部屋にきた当初は、朝の気持ちよさとか、本当の意味での朝ぼらけというべきか、清少納言も見たであろう「紫だちたる雲の細くたなびきたる」光景がガチで見えて、眠気まなこをこすって「おお〜」と言っていたものである。
がしかし、まだ眠っていたいのに無理やり起こされるというのはとてもいやだ。日光の眩しさで目が覚めるというのは、一見よさそうな響きなのだが、やられる側になるとたまったもんじゃない。
「じゃあ、窓にカーテンをつければいいじゃん」
妻はそう言うが、求めているのはそういうことじゃあない。窓にはカーテンをつけたくないのだ。幸い私が住むマンションのこの部屋。人が外からは覗けないくらいの高さにある。だから外から見られる心配はない。
窓にカーテンをしないというのはつまり「おしゃれ」を気取っているのだ。たいていの日本の部屋がダサくなるのはカーテンのせいだと思っている。だから最近はブラインドだとか、バーティカルなカーテンで洒落乙を気取る丁寧な暮らし勢が幅をきかせているが、私の場合はさらに上をいきたいので「カーテンをしない」という選択肢をとった。気持ちいいものである。
が、しかし朝の日光。
眩しくて目が覚めるので、光を避けるために布団の中に潜ってみる。呼吸が苦しい。しかも巨大な布団というわけでもないので、顔を隠すと足が出る。足が出ると寒いので身体を丸めることになるが、丸めるとなんか開放感がない。
ベッドの位置の変更も検討した。検討しただけで終わった。ベッドはいまは窓際に置いておきたい気分なのである。
3ヶ月ほどが経って、革新的な攻略法に気づく。
アイマスクをすればいいのである。これなら光を遮断することができるわけだから、朝になって日光が差し込んでも眩しくなさそうだ。
アイマスクは幸いなぜか、机の引き出しの奥に長いこと眠っていたので、先日の晩からつけて眠ってみた。すると。
眠れるのである。まるで死んだように。
朝、どんなに天気がよくとも、どれほどに燦々と日光が降り注いでこようと、私はアイマスクをしているので眩しさを感じることがなくなった。これはすごい。アイマスクってこのために存在するんだな、と喜ぶ私。
アイマスク、サイコー。
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〈あとがき〉
今日で連続1000日目です。今までありがとうございました。