えーと、あれ、ほら、なんだっけ?
ここ1週間で言葉が出てこないことが増えた。昨日は「チャイルドシート」が出てこなかったし、その前の打ち合わせ中にはいつもお世話になってる相手の名前が出てこなかった。
「というわけですから、......えーと、あのですね、ほら、あのですね......いやー今日は天気がいいですね。暑い暑い」
全然ごまかせてない。
不思議なもので文字はスラスラ打てる。言葉も出てくる。しかし口に出そうとすると出てこなくなる。おかしいな。
文字を読んでいてもおかしな気分になることが増えた。文字列を読んでいるときに「た」と「に」の区別がつきずらい。漢字をみていても「あれ? こんな字だったっけ?」と思ってしまう。おかしい。
怖くなってくる。私はいま33歳だが、33年この身体を乗っ取り生きてきて初めての経験である。これほど頻繁になにかを忘れたり、文字に読みにくさを感じたことがない。なにかの病気か? 脳神経外科に行くべきか? それともストレス? 心療内科に殴り込み?
妻に聞いてみた。
「最近の俺、物忘れ激しくね?」
「あー、なんか1人で言ってるよね」
「あとさ、文字も読みにくいというか」
「?」
「文字見てて『た』と『に』とか『わ』と『れ』とかの区別がつきずらかったりしてさ。なんか病気とか、若年性ウンタラハイマーだったりして」
「老化だね。旦那もうすぐ死ぬよ」
老化らしい。ついでに死を予言された。妻は私の4歳上の37歳なのだが、そういや物忘れが激しい。何かを思い出せなくなるという道をすでに通過済みなのだ。この前の妻は「タルタルソース」が出てこなかった。
「えーと、旦那、あれ、なんだっけ、ほら」
「がんばれ、思い出すんだ」
「えーと、ほら揚げ物とかのさ」
「がんばれ」
「エビフライとかにたまにかかってる、白いやつ」
「そこまでいったら思い出せる」
「えーと、あーと、んーと、なんかすっぱいような、チキン南蛮というか」
「もうそれ答え出そう」
「あーと、なんかタルタルしてて白くて。美味しか不味いかで言うとタルタル美味しくて」
「言ってる言ってる!」
「あーん、......なんだっけ?」
その後ほかのいろんな大人に聞いてみた。
「私いま、物忘れ激しくて、言葉出てこないし人の名前も忘れちゃうし、ごくたまになんですけどね、にっちもさっちもブルドックソースなんですわぁ」
「あー、イトーさん、それはキテますね」
「老化なんですかね」
「ええ、そうです」
「死なないですよねぼく」
「死にはしないと思いますよ」
よかった〜。
自然なものだということにしておこう。
不思議なもので文字はスラスラ打てる。言葉は出てくる。だから文章を書くという点で支障はなさそう。
うわ、今日って土曜日か。
【関連】もちろんnoteのことも忘れてる