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これがあるから死ねない。
ありがたいことに死にたいと思ったことはない。
むしろできることならずっと生きていたいと思っている。いやなことはたまにある。それよりもいいことのほうが多いと思っているから悪くないよなと思っている。
私が生きているうちに、この宇宙の秘密が解き明かされる可能性は低そう。どこでもドアみたいなものができる可能性も低そう。世界から戦争がなくなることもなさそう。
でもONE PIECEは完結するだろう。
これがあるから死ねない。死にたくない。つまりONE PIECEの正体がなんなのかがわかるまでは死ねない。
だってずっと読んできたのだ。あれだけ長期で連載しているのに、かつ考察系の人たちがあれだけ考察しているのに、いまだにその片鱗すら見えないONE PIECEの正体。すごくないか。
連載当初からジャンプでONE PIECEを読んできたが、最初こそただのドラゴンボール的な冒険活劇として読んでいた。でも高校生くらいで気づく。あれ? この物語ってめちゃ壮大じゃね?
もしも、私がこの数年以内に危篤状態になって、それでもONE PIECEが続いていたら。
やっぱ死にたくない。家族がいるから家族のためにとか、仕事があるから仕事のために、みたいな生きる理由なんてたくさんあるのだけど、その中のひとつに「ONE PIECE」がある。
そういえば、幽遊白書の16巻で、敵キャラの樹という妖怪が、今際の際にこう言ってた。
「できればもう一日生きたい。明日『ヒットスタジオ』に戸川純が出る」
それまで妖怪だと思っていた敵キャラの、人間ぽい一面が出る名シーンだ。
生きる理由を考えるほど意味のないこともないのだが、あえてそこに理由をつけるとしたら、この程度でいいのかもしれない。
逆に言えばONE PIECEが完結したら、もう生きる意味がないかと言われると、それもちがって。
少なくとも今は、これがあるから死ねない。
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<あとがき>
ルフィがんばってるよなぁ。尾田栄一郎は少年時代にどんなことを考えてどういう着想でONE PIECEを思いついたのでしょうか。しかもすごいのは、尾田栄一郎がONE PIECEに飽きていないという点も挙げられます。様々な状況の人の生きる理由のひとつにただの漫画がなっているという事実は、クリエイターとしてすごいなぁと思ったり。今日も最後までありがとうございました。
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