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赤花フェス運営奮闘記⑤

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赤花フェス運営奮闘記④

今回の記事では、赤花フェスの公式グッズについて触れていく。公式グッズ作成までの経緯と、公式ストア開店からの紆余曲折について時系列に語っていくことにする。

グッズ作成のきっかけ

今まで紹介してきたアイコンリング、LIVE以外の機能の活用、ラジオ番組とのタイアップについては、昨年の『赤花フェス2021』でも実行していたことを、それぞれ“正統進化”させたような形となった。『赤花フェス2022』では、それらに加えて寄付に繋がるような何らかの新要素を取り入れたいと漠然ながら思っていた。

そこで色々と探してるうちに見つけたのが『SUZURI』というサービスだ。なんでも、画像1枚あれば誰でも簡単かつ瞬時にオリジナルグッズを販売することができるというものらしい。つくづく便利な時代になったものである。しかも、トリブンと言われる利益の額を任意で設定することができるという。これは分かりやすく寄付につなげることが出来そうだ。スプーンやバスターと違って手元にグッズが残るし、チャリティーグッズならユーザーにとっても気持ちよく買ってもらえるはずーーー!

画像1枚でオリジナルグッズが作れる『SUZURI』

これを利用しない手はないと、本番まであと10日というタイミングでグッズ制作を決定したのである。そのために、赤花フェスのアイコンリングに使われているイラスト素材の商用化ライセンスをイラスト素材サイトから購入し、さっそくグッズの作成に着手した。ところが、ここで問題に直面する。価格の設定である。

『SUZURI』でグッズを作成すると、グッズの原価+設定したトリブン=グッズの値段となるわけだが、このグッズの原価というものが中々にいいお値段となっているせいで、トリブンを設定するとグッズとしてはかなり高額になってしまうのだ。

もちろん、たった1枚の画像で多様なグッズを作れたり、こちらが在庫を抱えなくていいので初期費用が0円、しかも決済や発送まで代行してくれることを考えると妥当な原価設定なのかもしれない。しかし、ひとつも売れなければグッズを作った意味がなくなってしまう。それだけは何としても避けなければならない。

あくまで僕の感覚として高額に感じるだけかと思い、色んな立場の人、例えばライブハウスの物販経験者にアパレル関係者、そして主婦層に至るまでTシャツの試作サンプル写真を見せながら、「このTシャツを売るとしたら、いくらなら買いたいと思う?」と意見を聞いてみた。しかし、「1500〜2500円までなら出してもいい」という声もあれば、「チャリティーになるなら4000円以上出せる」という声もあり、なかなか意見がまとまらなかった。

公式グッズ「チャリTシャツ」の試作サンプル

グッズ断念から奇跡の逆転劇

ちょうどその頃、僕は企画にむけた諸々の準備やコラボ音源の録音、タイアップするラジオ番組での台本作りにボイスメッセージの監修、自分の出番に向けた練習と、やることが盛りだくさんであった。しかも日中は普通に仕事をしながらである。そんな中でグッズ制作に割ける時間は限られていた。

画像編集アプリと睨めっこしながら、少しでも価格に見合ったデザインにしようと徹夜に近い状態で作業をしていた。そのまま意識を失い、翌朝に目が覚めたら顔の上にスマホが落ちずにそっと安置されていたこともあった。まるで僕の顔でワイヤレス充電されているかのように。

朝目覚めると僕の顔の上にスマホが安置されていた

そして僕は、ある事実に気づいてしまう。Tシャツの原価を考えると、トリブンは高くても500円までが限度だ。寄付を目的とするならば、1250円分のスプーンを投げてもらえれば500円を発生させることができる。断然そっちの方がリーズナブルではないか。いくらTシャツが手に入るとはいえ、寄付を考えるとあまりにも非効率ではないか?そのために僕が顔にスマホがそっと置かれるくらいに徹夜で作業している意味って何なんだろう?そんな考えがよぎってしまったのだ。

僕の脳内にいる安○先生がそう囁いたのである。

こうして僕は、グッズ制作を一旦は挫折してしまったのである。ところがその直後、信じられないような奇跡が起こる。なんと『SUZURI』が、このタイミングでTシャツが1000円引きになるというセールを開催したのだ。しかもよりによって8月7日の23時59分までという、まるで赤花フェスの開催に合わせたかのようなタイムリミットである。それはもはや公式グッズを諦めてはらないという神からの啓示に等しいものだった。

どうやら神(SUZURI)は僕の味方らしいーーー

こうして僕はグッズ制作に再び取り掛かることになった。商用化ライセンスまで買っているのだ。もう後には引けなかった。Tシャツは両面プリントにすると高くついてしまう。それなら片面プリントのみにして原価を下げよう。その結果、セール込みかつ500円のトリブン設定で、Tシャツの白が1882円、紺が2619円となった。なんだかすごく良い感じの価格設定じゃないかーーー!?

1枚につき500円が寄付となる「チャリTシャツ」

赤花フェス公式グッズの目玉商品である『チャリTシャツ』はこうして生まれたのである。さらに主婦層かつ元ショップ店員として意見をくれたrin氏(のちに公式ストアアドバイザーに就任)から、「Tシャツは前面プリントだけじゃなくて背面プリントも用意した方がいい」という提案をはじめ、諸々のグッズについて監修を受けながらラインナップを決定していった。そして5日の金曜日に放送される『LODO FM』の特番での発表になんとか漕ぎ着けることができたのである。

もはや『SUZURI』様の厚意といえるタイミングだ

開店後から即リニューアルへ

ようやくオープンした赤花フェス公式ストアは、セールの後押しとアドバイザーの監修が功を奏し、特番で告知してから当日の本番前までに4300円の利益を上げており、それなりに順調な滑り出しではあった。正直なところTシャツが1〜2枚売れれば御の字だと思っていた当初の予想に比べれば、かなりの上方修正である。

ところが本番初日を終え、企画として盛り上がりのピークを見せていたにも関わらず、公式グッズは本番前から売上がピタリと動かず、いっこうに売れる気配を見せなかった。このまま明日を迎えて大丈夫なのだろうか?僕はその日の夜にrinアドバイザーに相談をしてみた。するとさっそくダメ出しされてしまったのである。

Tシャツをうちの家族お揃いで買おうと思ったのに、レディースとキッズのサイズがあるのわからなくて注文しちゃったから一回キャンセルしてまた注文し直したわ!!😡

これは盲点だった。『SUZURI』のサイトの仕様上、サイズをプルダウンで選ぶ仕組みになっているが、レディースサイズとキッズサイズは下の方にあるため、スクロールしないとわからずユーザーが見落としてしまう可能性があったのだ。もしかすると、サイズが合わないからと購入を断念してしまった人もいるかも知れない。早急に改善が必要だ。

そこで、すぐに商品説明文を見直すことにした。それまでは商品説明のところにも寄付先についての情報を書いていたが、アドバイザーから言わせると、わざわざ商品ページまでアクセスしてくれる人たちにとって見たいのはそんな内容ではなく、その商品の特徴やディティールであるという。寄付のことで頭がいっぱいになっていた僕にはない発想だった。確かにその通りだ。そもそも寄付先についてはストアのトップページに書いてあるではないか。商品ページにまでしつこく書く必要性はなかった。

rinアドバイザーの助言はいつも的確だ

ショップで商品のポップを書いたりしていた経験のあるrinアドバイザーの助言を受けつつ、商品説明のリニューアルについて細部に渡ってディスカッションを繰り広げた結果、気がつくと朝の4時になっていた。企画の真っ最中に関わらずである。その代わり、赤花フェス公式ストアは見違えるほど見やすくユーザーに寄り添った店へと変貌したのである。

そし本番を終えて、後夜祭での集計までに公式ストアの売り上げは、なんと14700円にもなっていた。もはや匠のなせる技である。まさに劇的ビフォーアフターであった。それと同時に、モノを売ることにおいては、やはり女性ユーザーの目線(特に主婦層の目線)に立つことが大切であると学ぶことができた。彼女たちの心を掴むことができれば、その商品は家族にも波及し大きな利益を生み出すことができるからだ。世の中の経済は女性が回しているということを思い知らされた。やはり女性は偉大である。

本番終了から現在まで


『赤花フェス2022』の本番が終わり、同じくして『SUZURI』のTシャツセールも終了となってからは、公式ストアの勢いもそれに従って落ちていくのは仕方のないことであった。しかし、せっかく立ち上げた公式ストアを本番が終わったからといって閉めてしまうのは忍びないので、寄付への事務手続きが完了するまでは営業を継続することとした。

そうは言っても、多くのリレー企画は終わってしまえば人々から忘れ去られてしまうものだ。このまま営業終了まで何もしないでいれば、寄付が完了するまでに赤花フェスの記憶が風化していってしまうのは目に見えていた。そうならないためにも、何らかの新商品を投入していく必要がある。

購入者のもとに続々と届きつつある公式グッズ


そんな中でカナイstage出演者のサクラン氏が、ふと「SUZURI見てたんだけど、ああいうデザインでグラスとかあったら可愛いよね」と、とある配信でコメントしているのを見かけた。じつは公式ストアの商品説明でアドバイザーとディスカッションしている時にも、グラスをラインナップにするかどうかは検討していたものの、Tシャツを前面に推すために見送っていたのだ。

なるほど、もしかしたらグラス類は本番が終わった今だからこそ記念品として需要があるかも知れない。すぐにアドバイザーと相談して数量限定にする等の戦略を立て、サクラン氏にも価格帯等の意見をもらいながら商品化に至ったのである。するとこれが爆発的に売れ、さらに寄付額を伸ばすことに成功した。

右から「かりーグラス(ロング)」と「かりーグラス」
ビール等を注ぐと見え方が変化しさらに美しくなる


さらに他の配信の枠主から、「ギターの弦や機材を濡らさないように結露が出にくいサーモタンブラーがあるといいかも」という意見もあった。なるほど、配信者ならではの目線だ。さっそくサンプルを作ってみたところ、これがまたイイ感じの仕上がりである。300円のトリブンを設定すれば3047円となり、『SUZURI』の会員登録特典の500円OFFクーポンが使える3000円をちょうど上回る価格になる。タンブラーを投入することにもはや迷いはなかった。

そこからさらに「琉ッ球(りゅっきゅ)サック」という新商品を投入していくことになるのだが、これについては完全に僕の“言いたかっただけ”シリーズである。売れ行きについては、悲しい気持ちになるのでここでは触れないことにする。(と言いつつも1個売れているので、作ってよかったと思っている笑)

そして日頃の行いが良かったのか、“SUZURIの女神”が再び微笑んだのである。営業終了まで残り3日を迎えようとしていたタイミングで、Tシャツセールに引き続き今度はドリンクウェアセールを『SUZURI』が開催することとなったのだ。8月28日(現在)までなので、今日ここまでこの記事を読んでくれた方は是非手に入れて欲しい。(現在は終了しています。)

もはや『SUZURI』は『赤花フェス』のファンである

赤花フェスにとって新たな挑戦となった公式グッズの制作を通して、僕は多くのことを学んだ。その中でも一番大切なことは、どんなことでも真剣に取り組んでいれば必ずチャンスを掴めること、そして、自分にはないものを持っている人が力を貸してくれるということだ。

(そんなつもりではないだろうが)2回ものセールで公式ストアを後押ししてくれた『SUZURI』の運営様と、グッズの監修から商品説明、ポップ画像の作成や編集にと、公式ストアをあらゆる面で支えてくれたrinアドバイザーに、この場を借りてお礼を言わせてください。本当にどうもありがとう!

次回はいよいよ本シリーズの最終章です。リレー企画の主催者にとってもっとも大切なこと、そして、『これからの赤花フェス』についての話をしたいと思う。

<次章>

赤花フェス運営奮闘記⑥

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