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卒業すること

少し前の出来事。
その日は会社の先輩の送別会だった。
ほんのり切ない気持ちをもって、週末の終電に乗り込んだ。電車には大学の卒業式終わりであろう大学生二人組が乗っていた。紙袋と小さな花束を持っていた。普段と変わらない様子で談笑している二人を見ていると、自分自身の卒業したときはどんな感じだったのか思い出そうとしてみた。

卒業して早10年近く、はっきりとした記憶はないが、不思議とあっさりとした日を過ごしたような気がする。きっと当人にとっては案外とそんなものなのかもしれない。

卒業したあと、就職して半年くらい経った頃だろうか当時お付き合いしていた人に仕事を辞めたいと相談をされた。どうしても合わない上司がいると。当時の自分は、どんな職場でも苦手な人はいるがんばれと諭した。だけど、働き始めて数年、今の自分なら無理せず辞めたらいいじゃんと言うはずだ。大切な人ならなおさら。
結局、お付き合いしてた人は苦手な人を乗り越えて今も同じ職場で頑張っているようだ。あの時、辞めるようにアドバイスしてたらどんな未来が待っていたんだろう。

でも、仮定でしかないので考えるのをやめた。
きっとどちらも幸せだったにちがいない。

ほどなくすると、別々の駅で二人は降りて行った。
これから新しい出会い、困難が待っているかもしれない。

でも、きっとステキなはじまりになりますように。

やっぱり別れの季節はひとをしんみりさせる。
早く春が訪れますように。